自己破産と給料~債務整理をすると給与も没収されるのか

自己破産は、借金が返せなくなったときの最終的な救済手続きです。

自己破産をして免責を得られれば、自己破産の時点で抱えていた借金の返済義務がすべて免除されます。

しかし、自己破産は、無条件に借金を免除してくれる手続きではありません。

自己破産するときには、債務者(破産者)がもっている財産を拠出して債権者の配当に充てるのが原則です。

その意味では、破産免責は、「誠意を尽くして返済したけれども返せなかった場合の救済措置」と捉えることもできます。

自己破産では、精一杯の返済をしなければならないと考えると、「自己破産したら給料も差し押さえられてしまうのではないか」と不安に感じる人もいるかもしれません。

先に結論をお伝えすると、自己破産をしても給料を差し押さえられることはありません。

ただし、自己破産をする前には注意をしておかなければならない事もあります。

記事では、自己破産における給料の取扱いについて、解説していきます。

また、『生活が破綻しているのは分かっているが、借金問題を後回しにしてしまっている。』

『給料が出ても結局、借金の返済で生活が厳しく、またお金を借りてしまう。』

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

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それでは解説をしていきます。

自己破産すると給料は差し押さえられるの?

結論からいえば、自己破産をしても給料を差し押さえられることはありません。

自己破産は、「破産手続き開始決定の時点」で破産者の財産と負債を清算する手続きだからです。

また、破産した人であってもその後の生活を続けなければいけません。自己破産後の収入も借金返済に充てなければならないのであれば、自己破産する意味がかなり減ってしまいます。

このことについて、破産法は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする」と定めています(破産法34条1項)。

「破産財団」とは、債権者に配当するための引き当て財産のことです。

つまり、破産手続き開始決定よりも後に得た財産(新得財産)は、破産財団とならない(差し押さえられない)ということです。

給料日直後に破産手続き開始決定が下されたときはどうなる?

原則論を先にいえば、すでに受け取った給料は、現金もしくは預金として取り扱われます。

したがって、「現金であれば99万円を超えているかどうか」、預金であれば「20万円を超えているかどうか」が差し押さえされるかどうかの基準となるのが原則です。

たとえば、1月25日に給料として25万円振り込まれ、1月26日に破産手続き開始決定が下された場合には、「口座残高が20万円を超える預金」は差し押さえの対象になる可能性があるということです。

また、「給料計算の締め日(給料の確定日)」が1月10日で、1月20日に破産手続き開始決定となった場合には、給料の1/4が差し押さえの対象となる可能性はあります。

新得財産かどうかを決める基準は、実際に受け取った日ではなく、債権(給料)の発生が確定した日が基準となるからです。

しかし、実際には、それが「給料である」ことが明らかである場合には、自己破産によって差し押さえを受けることはありません。

なお、月収額が100万円を超える場合のようにかなり高額な給料をもらっている場合には、差し押さえられる可能性は残されています。給料が高額な人であれば、1/4を差し押さえても生活を維持できないことはないからです。

すでに給料が差し押さえられている給料は自己破産するとどうなるのか?

自己破産を申し立てるケースでは、自己破産申立前に消費者金融や銀行といった債権者から給料の差押えを受けていることもあると思います。

すでに給料の差し押さえを受けている場合には、逆に自己破産を申し立てることで、債権者の差押えの効力を消滅させることができます。

申し立てた自己破産が管財事件(少額管財事件)になれば、破産手続き開始決定と同時に、債権者による個別の差押えは取り消されます。

したがって、破産管財人の事務処理が終われば、差し押さえられた給料は返金してもらえます。

他方で、同時廃止となった場合には、免責が確定した段階で返金を受けることになるので、管財事件となった場合よりも返金までには時間がかかります。

いずれにせよ、自己破産がはじまると、債権者は個別の権利行使をストップさせられるのです(債権者平等の原則)。

自己破産するとボーナスはどうなる?

いわゆるボーナス(賞与)についても、給料と同じように考えることができます。

つまり、「破産手続き開始決定後に手にしたボーナス」は、新得財産となるので、自由に使えるというのが原則となります。

ただし、「ボーナス額が確定した(ボーナスが振り込まれた)直後」や、「ボーナスを支給日直後」に破産手続き開始決定を受けた場合には、ボーナスを差し押さえられる可能性があることに注意が必要です。

一般的に、ボーナスは金額も大きく、1/4を差し押さえたとしても、破産者の生活維持に支障がない場合も多いと考えられるからです。

生活維持に必要な限度を超える財産は、債権者への配当に充てるというのが、破産法の基本的な考え方となっています。

「ボーナスを手元に残したい」ということであれば、自己破産を申し立てる時期に配慮する必要があります。

自己破産と退職金

自己破産では、退職金が差し押さえの対象となる場合があります。

もっとも、実際には、自己破産したからといって退職を迫られるというわけではなく、「自己破産した時点で退職した場合に受け取ることが出来る退職金見込み額」が差し押さえの対象となります。

自己破産した際に退職金(見込み額)が差し押さえの対象となるのはなぜか

法律では、退職金は「給料の後払い」として位置づけられています。

つまり、法律では、毎月の給料から少しずつ積み立てた金銭に利息をつけたものを退職時にまとめて受け取るのが退職金であると考えているわけです。

したがって、自己破産した場合には、「自己破産の時点で受け取れることが確定している金額」が差し押さえの対象となります。

上で解説した、「給料額確定日直後に自己破産した場合」と同様に考えるわけです。

給料差し押さえの対象となる退職金の範囲

退職金は「給料の後払い」である以上、差し押さえの対象となる退職金の範囲も、給料と同様に1/4が原則です。

たとえば、定年退職直前で、退職後に1,000万円の退職金を受け取れることが確定している人が自己破産すれば、その1/4である250万円が差し押さえの対象となります。

しかし、定年退職直前ではない(退職金の額が最終的に確定していない)場合には、1/4を差し押さえるというのは、破産者にとって酷といえる場合が少なくありません。

そのため、定年が先であるときには、1/4にさらに1/2をかけた1/8の金額が差し押さえの対象となるにとどまります。

たとえば、自己破産の時点での退職金見込み額が160万円(1/8の金額が20万円)を超えていなければ、差し押さえの対象とはならないということです。

勤続年数の浅い人であれば、自己破産の際に退職金が問題となることはあまりないでしょう。

なお、退職金を「すでに退職金を受け取ってしまった」という場合には、預金・現金と同じ扱いとなります。つまり、「現金であれば99万円を超える部分」、「預金であれば20万円以上の場合」には差し押さえられてしまうということです。

会社への体裁もあるから、「退職してから自己破産しよう」という対応は、手元に残せる財産を大幅に減らす可能性が高いので注意しましょう。

退職金の差し押さえを回避する方法

自己破産によって退職金見込み額を差し押さえられる場合でも、会社を退職しなければいけないわけではありません。

退職金見込み額の回収は、破産管財人が勤務先に直接支払いを求めることで行われるからです。

退職金が「給料の後払い」である以上、勤務先には支払いに応じる義務があります。

当然のことですが、破産管財人に支払った金額は、退職時に受け取れる退職金から差し引かれます。

しかし、自己破産を考えるほとんどの人は、自己破産したことを勤務先に知られるのは回避したいと考えるものです。

破産管財人から勤務先に請求がいくのを回避するためには、退職金見込み額の差し押さえ額に相当する金額を、新得財産(自己破産後の給料)や、自由財産として残った現金・預貯金などから支払うことで対応します。

退職金相当額の支払いは、分割で行える場合も少なくありません。

関連記事⇒債務整理と退職金?自己破産や個人再生をすると退職金は没収される?

まとめ

給料は、自己破産後の生活にはなくてはならない重要な収入です。

したがって、自己破産しても給料は差し押さえの対象とならないのが原則です。

また、すでに給料が差し押さえられている場合でも、自己破産によって差し押さえを解除することができます。

しかし、本来は「給料の差し押さえを受けない」ことが理想です。

借金返済に行き詰まったときには、弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、給料の差し押さえを回避することができます。

銀行や消費者金融が給料差し押さえに踏み切るときのほとんどは、「債務者が連絡もよこさずに借金返済を放置した場合」だからです。

弁護士・司法書士が間にはいれば、給料の差し押さえまで発展することは、ほとんどないといってよいでしょう。

債務整理の相談は、ほとんどの弁護士・司法書士事務所が「無料」で対応してくれます。

債権者から給料を差し押さえられてしまったときだけでなく、借金の返済が苦しいと感じたときにも、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談してみましょう。

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