「自己破産すると持ち家は失うの?」
「家を残して手続きする方法はある?今の家に住み続けたい!」
あなたはこんな疑問を持っていませんか?
結論からお伝えすると、自己破産すると差し押さえによって持ち家が競売にかけられるため、基本的には残すことができません。
しかし、自己破産後も持ち家に住み続ける方法はいくつかあります。
この記事では、自己破産後も持ち家に済み続けたいあなたのために、以下の情報について解説します。
- 自己破産と持ち家について
- 自己破産後も家に住み続ける方法
- 手続き後の住居について
思い入れのある家に住み続ける方法が見つかるかもしれませんので、ぜひ最後までご覧ください!
Contents
自己破産すると持ち家は失う
まずは自己破産をすると家がどうなるのか、詳しく見ていきましょう。
1. 家を含めた財産は処分される
自己破産を行うと、以下の「自由財産」以外は差し押さえの対象になります。
- 差し押さえ禁止財産
- 自由財産(99万円以内の現金)
- 自己破産後に新たに得た財産
- 破産管財人によって放棄された財産
- 自由拡張財産
原則として、99万円までの現金や生活・仕事に必要とされる財産、価値が20万円を超えない財産は処分されません。
しかし、持ち家は一定以上の価値がある財産とみなされるため、自己破産すると競売にかけられて売られてしまいます。
2. 共有名義の家も売却されてしまう
共有名義だったとしても、自己破産すると家を失ってしまう可能性が高いです。
もし共有名義の家を持っている状態で自己破産を行った場合、家が売られた後、破産者の持ち分のみが差し押さえられます。
もし共有名義となっている他の人が、破産者の持ち分を買い取ることができれば住み続けることも可能ですが、金額を考えると現実的には難しいでしょう。
3. 破産後にローンを組むこともできない
自己破産後に住宅を買い直そうと思っても、現実的には難しいでしょう。
というのも、自己破産をはじめとする債務整理手続きを行うと、ブラックリスト入りしてしまうためです。
ブラックリストの状態は、著しく信用を喪失しているため、住宅ローンの審査にはまず通りません。よって、自己破産後に買い戻すには、一括で購入する必要があり、実際には非常に難しいでしょう。
自己破産後も持ち家に住み続ける3つの方法
自己破産すると、基本的に持ち家を失ってしまいますが、以下の方法を実践すれば住み続けられる可能性があります。
- 自分で買い取る
- 家族に購入してもらう
- リースバックを活用する
それぞれ詳しく解説します。
1. 自分で買い取る
破産管財人から許可をもらうことができれば、後で持ち家を買い取ることができます。
とはいえ、そもそもお金がないから自己破産しているはずですから、そう簡単には自宅を買い戻すことはできないでしょう。
先に解説した通り、破産後は住宅ローンを組むこともできませんから、第三者の協力がないとこの方法は難しいです。
2. 家族に購入してもらう
破産管財人から許可されれば、家族に持ち家を購入してもらうことも可能です。
ただし、この場合自宅は一括で購入する必要があるため、よほど経済力のある人の協力がないと難しいでしょう。
3. リースバックを活用する
こちらも破産管財人の許可が必要ですが、リースバックを活用するという手もあります。
リースバックとは、不動産会社に家を買い取ってもらった後、その不動産会社に家賃を払って方法のことです。
この方法には欠点も多く、まず家賃を不動産会社が決定することから高額になりやすく、さらに家賃を滞納すれば強制退去となってしまいます。
自己破産して借金が解決しても、家賃で生活が圧迫されてしまっては本末転倒ですから、結局は他のところに住み直した方が良いことも多いでしょう。
自己破産以外の手続きなら持ち家を残せる
持ち家を残すなら、自分で買い取ったりリースバックしたりするより、自己破産以外の方法を選んだ方が現実的です。
債務整理には、主に以下3つの手続きがあります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
各手続きの違いと、持ち家の影響について解説します。
1. 差し押さえは自己破産のみ
債務整理手続きで、差し押さえの規定があるのは自己破産のみです。
したがって、借金額や収入によっては任意整理や個人再生を選んで差し押さえを免れることもできます。
ただし、住宅ローン返済中の場合は残せるかどうか状況によって変わるため、各手続きについて詳しく解説します。
2. 任意整理は住宅ローンだけ残せる
任意整理とは、債権者と交渉して利息のみを免除してもらう手続き。
住宅ローンを債務整理すると家は引き上げられてしまいますが、任意整理はどの借金を残すか自由に選べるため、その心配はありません。
ただし、任意整理では借金の元本部分は一切減らないため、住宅ローンを返済する負担まで考えるとある程度の収入が必要になります。
3. 個人再生には「住宅ローン特則」がある
個人再生とは、裁判所に申し立てて借金の大部分を減額してもらう手続き。
個人再生はすべての借金を債務整理する必要がありますが、住宅ローンだけは「特則」によって残すことができます。
ただし、こちらも任意整理と同じく手続き後も返済義務が残るため、返済分 + 住宅ローンを支払い続けられる収入がなければ、持ち家を残すことはできません。
住宅ローン特則という抜け道はあるものの、実行できるかどうかは難しい問題だと言えるでしょう。
自己破産前に家の名義人を変更してはいけない
差し押さえの対象になるのは破産者の財産だけですが、かといって自己破産前に名義変更してはいけません。
自己破産の際に選任される「破産管財人」には、住宅の名義人を破産者に戻す権限があるためです。
また、財産隠しは自己破産の免責不許可事由に該当します。
もし自己破産前に持ち家の名義人変更をすれば、悪質な財産隠しとみなされ、免責が下りなくなってしまう可能性もあるでしょう。
自己破産で家を手放すなら任意売却すべき3つの理由
自己破産で家を手放す決心をしたなら、あらかじめ自分で家を売却する「任意売却」を活用しましょう。
任意売却した方が良い理由は以下の3つです。
- 売却価格を高くできるから
- 自己破産手続きがすぐに終わるから
- 連帯保証人の負担を減らせるから
それぞれ具体的に解説します。
1. 売却価格を高くできるから
自己破産をして競売にかけられると、相場より安い価格で売られてしまいます。
しかし、任意売却すれば不動産相場と同じくらいの価格で売却できるため、より多くの金額を債権者に配当することが可能です。
ただし、不当に安い価格で売ったと指摘される可能性もあるため、複数社から見積もりをとってなるべく高く売るようにしましょう。
2. 自己破産手続きがすぐに終わるから
自己破産には以下2つの手続きがあります。
- 同時廃止
- 管財事件
自己破産時に住宅が残っていると、確実に「管財事件」となって、破産管財人を選出する手間や費用がかかります。
しかし事前に任意売却していれば、手続きを簡略化した「同時廃止」となり、手間も費用も抑えることが可能です。
任意売却しておけば、自己破産の負担を大きく減らすことができるでしょう。
3. 連帯保証人の負担を減らせるから
住宅ローンには多くの場合、連帯保証人がいるはずです。自己破産すると、債務が保証人に移るため、多大な迷惑をかけることになるでしょう。
しかし、任意売却によって競売よりも高い金額で住宅を売却すれば、住宅ローン残高を減らすことができます。
そうなれば、連帯保証人が支払う借金を減らし、負担を減らすことができるのです。
自己破産後の住居について
多くの方は、自己破産後はどこに住めばいいのか悩むはずですので、この項では手続き後に住まいについて解説します。
1. 破産後6ヶ月程度は住み続けられる
自己破産しても、即座に持ち家が失われるわけではありません。
競売は、自己破産が開始してから半年後に開始されるため、その間は持ち家に済み続けることが可能です。買い手が見つからない場合、半年以上住み続けることもできます。
この間に新しい住居を探すと良いでしょう。
ただし、任意売却で家を売却する場合はこの限りではありません。
2. 自己破産しても賃貸契約はできる
自己破産しても賃貸契約は可能です。
確かに、保証会社の審査が必要になる場合や家賃をクレジットカードでしか支払えない場合、賃貸契約はできません。
しかし、そういった物件を避ければ、特に問題なく賃貸契約できます。
自宅が競売にかけられている間、次の住宅を探しておきましょう。
自己破産を行う際は弁護士に相談しよう
自己破産を行う際は、必ず弁護士に相談しましょう。
自己破産手続きは、必要書類の準備や裁判所への出頭など、法的知識がないと難しいことも多いからです。
きちんと弁護士に相談すれば、ほとんどの業務は代行してもらえるため、知識がなくても安心して手続きを進められます。
なお、最近では後払い・立替払いに対応している事務所も多いため、費用がなくても諦める必要はありません。
自己破産すると持ち家は失う!他の手続きも検討しよう
自己破産を行うと、基本的に持ち家は失うことになります。
持ち家というのは、一定以上の価値のある財産とみなされるため、差し押さえの対象となります。
手続き後、競売にかけられて売却されてしまうでしょう。
しかし、以下の方法を用いれば自己破産後も持ち家に住み続けることは可能です。
- 自分で買い取る
- 家族に購入してもらう
- リースバックを活用する
また、借金額や収入によっては自己破産以外の方法で解決できるかもしれません。
いずれにせよ、正確な判断は専門家でないと難しいため、困っていればまずは弁護士に相談してください!