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秘書が債務整理をする前の注意点と方法
秘書の仕事というと華やかなイメージがありますが、実際には生活が大変ということがあります。
秘書やグループセクレタリーとして働く人には、派遣社員や契約社員という方が少なくないからです。
「正社員ではないから債務整理できない」
「債務整理や借金がばれると派遣切りに遭う」
ということが心配という人もいるのではないでしょうか?
今回は、秘書の方が債務整理する際に知っておきたい7つのポイントについて解説します。
借金の問題は早期に対応すれば、誰にも知られずに解決することも不可能ではありません。
また、『借金を返済する為に他の消費者金融からもお金を借りている。』
『返済できる見込みは無いと頭では分かりながらも放置してしまっている。』
このような状態の方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。
手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。
それでは解説をしていきます。
契約社員や派遣社員でも債務整理できる
「派遣社員だから自己破産以外の債務整理はできない」と諦める必要はありません。
派遣社員や契約社員でも、「任意整理」や「個人再生」を利用できます。
「3~5年の分割返済」で「借金(の一部)を返済できる」だけの収入があれば、正社員でなくても自己破産以外の債務整理をすることができます。
「同居家族の収入」を加味して「返済の可否」を判断してもらうことも不可能ではありません。
関連記事⇒派遣社員と債務整理?派遣社員が自己破産や任意整理をする方法と注意点
契約社員と債務整理?契約社員が自己破産や任意整理をする方法と注意点
「返済が苦しい」と感じたら早めに任意整理
借金の問題は、「早期対応」が一番大切です。
返済が行き詰まりだした借金は、対応が遅れるほど深刻化します。
「借金が少ないから債務整理できない」ということはありません。
「返済が苦しい」、「延滞するかもしれない」と感じたときには、できるだけ早くに弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。
100万円前後までの借金であれば、「任意整理」で解決することが一般的です。
任意整理の特徴をまとめると次のようになります。
たとえば、消費者金融や銀行カードローンからの借金が「3社150万円」あるときには、毎月の返済額は35,000円~40,000円ほどになります。
しかし、2万円以上が利息で消えてしまうので、返済しても借金はあまり減りません。
任意整理で利息を免除してもらえれば、返済した分だけ確実に借金は減って息ます。
また、利息が免除されれば返済期間が延びるほど、毎月の返済負担は軽くなります。
150万円の借金でも、毎月25,000円ずつ返済できれば、「5年で完済」することができます。
任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。
参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点
多額な借金でも自己破産せずに個人再生で解決可能
たとえば、借金総額が収入の1/3を超えるようなケースでは、利息を免除してもらっただけでは「借金を返済できない」ということもあるでしょう。
多額な借金で困っているときでも、「個人再生」を利用できるなら「自己破産しかない」と諦める必要はありません。
個人再生の特徴をまとめると次のようになります。
個人再生では、裁判所に認可された「再生計画」にしたがって「3年かけて借金の一部を返済」します。
そのため、「3年の間で返済を続けられるだけの収入」がなければいけません。
必要な収入を確保できるのであれば、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトといった身分を問いません。
個人再生で減免してもらえる借金の金額は民事再生法で決められています。
たとえば、150万円の借金は100万円、600万円の借金は120万円が最低弁済基準額です。
個人再生(小規模個人再生)では、「最低弁済基準額」と法律の基準にしたがって計算した「保有資産の価額(清算価値)」の高い方の金額を3年かけて返済します。
返済計画にしたがった返済を完了すれば残った借金の返済は免除されます。
個人再生では、自己破産のように保有している財産を強制処分されることはありません。
しかし、「自動車ローン」や「不動産ローン」が残っているときには注意が必要です。
個人再生では、「整理の対象とする借金」を選ぶことができません。自動車ローンや不動産ローンが残っているときには、債権者によって担保権が実行されます(自動車の引き上げ、不動産の競売)。
個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。
参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある
「待機」や「契約打ち切り」との関係
個人再生や任意整理は、3年以上の返済期間があります。
この間に「長期間の待機」となったり「契約打ち切り」で無収入になれば、返済が難しくなります。
そもそも、「契約終了」が確実なときには、個人再生を利用できないこともあります。
ところで、派遣社員の場合には、「会社の都合による休業(待機)」のときでも、「給料の60%」が法律上保証されています(労働基準法26条)。
派遣元の会社によっては、法律にしたがって給料を支払わないところもあるようです。
この際には、早期に「雇い止め」をしてもらって失業保険の手続きすることが必要な場合もあるでしょう。
「将来の収入」に不安があるときは自己破産
収入が足りなくて個人再生が利用できないときには、自己破産で借金を清算します。
自己破産した後に、免責を得られれば、借金の返済義務はすべてなくなります。自己破産の特徴は次のとおりです。
「自己破産はデメリットが多い」と思っている人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
不動産などの高額な資産を保有していない人のケースでは「自己破産してもあまりデメリットがない」ことも珍しくありません。
他方で、自己破産には「返済義務が完全に免除される」という大きなメリットがあります。
手続き終了後に「1円も返済しなくて良い」のは自己破産だけです。
浪費やホスト通いが借金の原因となっているときでも免責してもらえる可能性があります。
免責不許可事由に該当する場合でも裁判所の裁量で免責を認めてもらえるからです。
ただし、裁量免責を得るためには、財産のない方の自己破産でも管財事件として取り扱う必要があります。
管財事件となれば、20万円以上の予納金を納める必要があります。
自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。
参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?
債務整理しない方が「会社バレ」のリスクは高い
「借金」や「債務整理したこと」は誰にも知られたくないものです。
秘書の仕事は業務のクオリティだけでなく、「その人のイメージ」も重要視されることが多いので、なおさらかもしれません。
「勤務先にバレるのが怖いから債務整理できない」というのは、実は大きな誤解です。
債務整理したことを「勤務先」や「友人・知人」に知られることはまずありません。
任意整理が他人にバレることはほとんどない
任意整理で借金を返せるのであれば、「会社バレ」を心配する必要はほとんどありません。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すれば、弁護士・司法書士がすべての窓口となります。
あなたのところに、債権者から電話がくることなどは一切ありません。
また、弁護士や司法書士から書類を受け取る必要があるときには、事務所に受け取りに行けば、郵便物から家族などにバレることの予防できます。
個人再生・自己破産しても他人にバレることは珍しい
個人再生や自己破産すると、「官報」という政府発行の広報誌に氏名などが掲載されます。
しかし、一般の方や企業が「官報」をチェックしていることはまずありません。
「会社から借入がある」や「未払い給料がある」といったケースでない限り、個人再生・自己破産したことが勤務先に連絡されることはありません。
また、秘書の仕事は、破産者の資格・職業制限とも一切関係がないので、勤務先に報告・相談する必要もありません。
借金が「会社バレ」する3つの場合
借金していることが「会社バレ」するのは、債務整理したときよりも「借金を放置したとき」の方が遙かに多いです。
借金が会社バレするケースの例は、下のとおりです。
「債務整理したくないから」と「借金の返済のため」にさらに借金することは非常に危険です。
借金は借入先が増えると悪化の速度も速くなります。
延滞が続くようになれば、「電話督促」にでることが精神的に辛くなることもあるでしょう。
そのような悪循環が原因で、「会社に督促の電話が来る」ことになってしまうことが少なくないのです。
関連記事⇒債務整理が会社に知られる可能性?自己破産でも勤務先にバレない方法
秘書の債務整理まとめ
秘書やグループセクレタリーの人には派遣社員の方が少なくありません。
「派遣止め」に遭いたくないと「借金の会社バレ」を怖がる気持ちはよくわかります。
「会社バレ」を防ぐためには、債務整理がベストの方法です。
弁護士や司法書士に債務整理を依頼すれば、消費者金融や銀行・クレジットカード会社といった債権者は、債務者本人や勤務先に連絡することを禁止されます。
むしろ、債務整理した方が「会社バレ」を積極的に防げるのです。
収入や身分が不安定な方ほど、早めに債務整理して、秘書の仕事に集中することが大切といえるでしょう。