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着手金0で債務整理をする方法と注意点

債務整理を弁護士や司法書士に依頼するときには、報酬を支払う必要があります。

債務整理を依頼する方はお金に困っているので、「できるだけ安く済ませたい」と思う人がやはり多いでしょう。

最近では「着手金ゼロ」という弁護士・司法書士事務所が増えてきました。

しかし、今まで弁護士や司法書士に依頼したことがない人にとっては、「着手金ゼロ」では何がゼロ円なのかよくわからないということもあると思います。

そもそも、一般の方にとって弁護士・司法書士の報酬体系はちょっとわかりづらいかもしれません。

また、弁護士や司法書士に「報酬のことは質問しづらい」と感じている人も多いでしょう。

「Yahoo!知恵袋」や「教えてgoo」、「弁護士ドットコム」といったサイトでは、「依頼した弁護士・司法書士が債務整理に着手してくれない」という相談が寄せられることがあります。

これらのケースの多くは、「着手金ゼロ」や「報酬分割払い」の誤解が原因となっていることが少なくありません。

そこで、この記事では、弁護士・司法書士にかかる費用について知っておいてもらいたい7つのポイントについて説明します。

また、『借金が1年以上減っていない、または増えている。』

『給料が出ても返済や支払いをすると月末まで足りず、カードでしのいだり、結局また借りてしまう。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している危険な状態です。

1人で悩み続けて手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。

それでは解説をしていきます。

弁護士事務所・司法書士事務所の報酬体系

弁護士や司法書士の報酬体系の基本について確認しておきましょう。

弁護士・司法書士に支払う費用には、おおむね次のようなものがあります。

細かな費目の名称は、事務所によって違う場合があるかもしれません。

なお、弁護士報酬については、日本弁護士連合会が発行している小冊子(市民のための弁護士報酬ガイド)が参考になります。

参考⇒市民のための弁護士報酬ガイド

弁護士報酬・司法書士報酬は「自由設定」が原則

弁護士や司法書士の報酬は、かつては「弁護士(司法書士)報酬規程」に基づいて金額が決まっていました。

たとえば、弁護士の法律相談料の相場は、「30分5,000円」とされているのも、報酬規定の名残といえます。

しかし、現在では「報酬設定は自由」というのが原則となっています。

債務整理報酬についての自主規制

「報酬の自由化」は、一般的には利用者にとって歓迎すべきものです。

報酬額設定が自由競争となることで、市場によって適正額に導かれるはずだからです。

しかし、弁護士や司法書士の報酬は、必ずしも市場原理だけで決まるわけではありません。

それぞれの事務所の事情で報酬額が設定されることも少なくありません。

また、依頼人となる一般の方にとっても、「報酬額が適正であるかどうか」を正しく判断することは簡単ではありません。

なぜなら、弁護士・司法書士報酬の仕組みや相場を知らない人がほとんどだからです。

必ずしも「安いから良い」、「大手事務所の価格だから安心」と断言できないのが、弁護士・司法書士報酬の難しいところです。

この記事を読んでいる方にも「そもそも着手金がどのような報酬かわからない」という方も少なくないと思います。

過去には、弁護士・司法書士報酬の自由化を受けて、一部の悪質な弁護士・司法書士による不適正・不正な報酬請求が注目を集めたことがありました。

特に、債務整理事件では、「依頼人は弁護士・司法書士に示された金額を拒めない場合が多いこと」から、「報酬額の設定」は非常に重要な問題です。

そこで、日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会は、それぞれ、「債務整理事件の報酬基準」を定めています。

それぞれの規程については、下記のリンクを参照してください(いずれもPDFファイル)

債務整理事件処理の規律を定める規程(日本弁護士連合会)
債務整理事件における報酬に関する指針(日本司法書士会連合会)

弁護士・司法書士報酬の基本は、「着手金」と「報酬金」

弁護士・司法書士報酬は、次のような費目から成り立っています。報酬費目のなかで最も重要なのが、着手金と報酬金です。

・着手金
・報酬金
・事務手数料
・実費

 

下の表は、着手金と報酬金について、内容と日弁連・日司連の報酬規程(指針)で定められている上限額をまとめたものです。

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着手金は、「弁護士・司法書士に依頼した業務の成否にかかわらず発生する報酬」です。

つまり、任意整理の交渉が失敗した場合でも返金されない報酬となります。

プロ野球選手等の年俸に例えれば、「成績に関係しない基本年俸」に該当するのが着手金です。

したがって、着手金は、弁護士・司法書士に業務を依頼する際に支払うのが一般的です。

報酬金は、いわゆる「出来高払い」の報酬です。

債務整理であれば、「任意整理の成功(債権者との和解成立)」、「再生計画の認可」、「破産免責確定」といったように、依頼業務が成功した場合に支払う報酬のことです。

報酬金には、依頼人が受けた経済的利益の大きさによる変動の有無の違いで、「基本報酬金」と「減額報酬金」とにわけられます。

報酬金は「依頼内容の結果」に伴う報酬なので、業務完了後に支払うことが一般的です。

また、債務整理の際の減額交渉と過払い金を回収した場合とでは、報酬金の額(歩合の割合)が異なることにも注意が必要です。

減額交渉よりも過払い金請求の方が難易度は高いとされるために歩合に違いが生じます。

借金問題は時間がたてばたつだけ取れる対応策も減っていきますし、事態も悪化していきます。

当然、解決するのにもより多くの手間がかかるため費用も高額になるのは言うまでもありません。

あえて繰り返しますが、1人で悩み続けるのではなく早い段階で今すぐ専門家に相談することをおすすめします。

今すぐ専門家に相談する⇒

その他の費用

自己破産や個人再生にかかる費用(裁判所に支払う手数料など)は、弁護士報酬には含まれません。

依頼人自身が負担する必要があります。また、弁護士の交通費や通信費、コピー代といった諸費用もかかります。

債務整理の依頼では、大きな金額になることは珍しいと思いますが、弁護士・司法書士の出張にかかる手当(交通費や日当)が発生することもあります。

特に交通費が発生するときには、移動手段(自家用車か公共交通機関か)、座席の等級(普通車か特別車か)といったことを予め確認しておく必要があるでしょう。

「着手金ゼロ」についてよくある勘違い

債務整理の依頼では、「着手金ゼロ」という弁護士・司法書士事務所が増えてきました。

「着手金ゼロ」という言葉は、次の内容を含んでいる場合があります。

債務整理が失敗したときには、報酬は発生しない
債務整理の「依頼時」に報酬を支払う必要がない
弁護士・司法書士報酬を支払わなくても、「債務整理に着手」してくれる

しかし、実際には「着手金ゼロ」を謳っている事務所でもその内容に違いがあることは少なくありません。

上のうちで、「着手金ゼロ」の事務所で確実に適用されるのは、「債務整理(依頼した業務)に失敗したら報酬は発生しない」ということだけです。

「着手金ゼロ=安い」ではないケースもある

「着手金ゼロ」と聞くと、「支払う報酬が安くて済む」という印象を持ちがちです。

しかし、実際には必ずしもそうとはいえません。

「着手金が必要な代わりに報酬金が安い」事務所もあれば、「着手金不要の代わりに報酬金が高め」という事務所もあるからです。

債務整理を依頼した際の弁護士・司法書士報酬は、上で紹介した報酬規程(指針)の範囲内であれば自由です。

それぞれの依頼内容に応じて報酬面で有利な事務所は違います。必ず複数の事務所の報酬額を比較するようにしましょう。

「着手金ゼロ」は報酬後払いとは限らない

通常の依頼では、委任契約締結時に着手金を支払います。

したがって、「着手金ゼロ」というと、弁護士・司法書士報酬は「債務整理が完了した後に支払えば良い」と思いがちです。

しかし、実際には、「着手金ゼロ=完全後払い」ではないことが多いでしょう。

債務整理を受任する弁護士・司法書士が最も恐れているのは、「業務を行ったにもかかわらず報酬を受け取れないこと」だからです。

「分割払い」も「債務整理完了後の支払い」ではない

最近では、「着手金ゼロ」だけでなく「報酬の分割払い」に応じてくれる事務所も増えています。

しかし、「分割払い」も「債務整理完了後」とは限らないことに注意が必要です。

「弁護士・司法書士報酬の分割払い」のほとんどは、「履行テスト」とよばれる支払い方法による場合がほとんどです。

「履行テスト」とは、弁護士・司法書士報酬を、債務整理の依頼から債務整理が完了するまでの間に分割で支払う方法のことをいいます。

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任意整理における履行テストを図解すると上の通りになります。

弁護士・司法書士が債権者に受任通知を送付すると、債務整理が終わるまで、借金の返済が停止されます。

弁護士・司法書士報酬はこの間に分割払います。

つまり、履行テストの方法では、「借金の返済」と「弁護士・司法書士報酬の支払い」が重複することはありません。

任意整理や個人再生では、債務整理完了後も借金の返済が続きます。

弁護士・司法書士報酬の分割払いが「履行テスト」と呼ばれるのは、債務整理後の「返済の予行練習」の意味合いも兼ねているからです。
「履行テスト」は、依頼人と弁護士の双方が安心するための工夫といえるでしょう。

参考⇒債務整理の費用を後払いや分割できる法律事務所と自己破産や任意整理の相場

わからないことは必ず確認する

「着手金ゼロ」の事務所に依頼しようとしている方の多くは、「手持ち資金すら不安」という方が多いと思います。

また、「弁護士・司法書士報酬の支払いすら不安」という場合には、すでに借金が相当深刻な状況となっていることも珍しくありません。

弁護士・司法書士報酬についてわからないことが多い依頼をすると、予期しないトラブルとなることもあります。

特に、報酬の支払いと「受任通知送付」や「交渉着手」、「自己破産・個人再生申し立ての時期」の関係については事前に確認しておいた方がよいでしょう。

事務所によっては、「1回目の分割払いが完了しなければ債権者と交渉しない」可能性もあるからです。

なお、日弁連・日司連の決まりでは、弁護士・司法書士は報酬について依頼人にきちんと説明する義務があります。

「お金のことは相談しづらい」と思う人も多いかもしれませんが、わからないことはきちんと質問することが大切です。

報酬について丁寧に説明してくれない事務所は、「費用が安い事務所」でもおすすめできない事務所であることが多いと思います。

まとめ

弁護士・司法書士報酬は、一般の方にはわかりづらいと感じることが少なくありません。

報酬仕組みを正しく理解していないために、弁護士・司法書士とトラブルが起こることは実は珍しくありません。

通常は、「着手金ゼロ」の事務所でも報酬を支払わなければ債務整理を完了してもらえない場合の方が多いでしょう。

報酬の支払いを債務整理完了後にしたい場合には、「後払い可」の事務所を選ぶか、個別に弁護士・司法書士と相談する必要があります。

しかし、ほとんどのケースでは「履行テスト」の方法で弁護士・司法書士費用を支払えると思います。

報酬について不安なことは相談の段階で必ず確認しておくようにしましょう。

いずれにしても借金問題は時間との勝負です。

取り返しのつかない状態にならないよう、今すぐ専門家に相談することをおすすめします。

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