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会社経営者の為の法人が債務整理をする方法
債務整理は個人だけが行うものではなく、法人格であっても手続きをとることが可能です。
『会社を経営していたけれど事業がうまく行かず、多額の借金を抱え支払いが滞ってしまった。』
近年では、中小企業を中心に法人を対象とした、債務整理を行う経営者が増えています。
特に、東日本大震災後から法人の債務整理は急激に増加傾向にあると言えるでしょう。
ですが、安心してください。法人の債務整理を行った後でも再起を図る事は十分に可能です。
一番良くないのは明らかに経営に行き詰ってしまっているのに、問題を放置してしまう事です。
今回は、法人が債務整理をする上で注意したい事、実際の手続きの流れについて解説していきます。
また、大切なことなので結論からお伝えします。
法人の借金問題は、個人以上に大きな問題で1日でも早く対応をすることが鉄則です。
借金問題は後回しにしていても、状況が良くなることは絶対になく状況は悪くなるだけなのは言うまでもありません。
最後に待っているのは違法な会社からの借入。すなわち破滅です。
実際に、頭の中では自力で借金を返済していくのが厳しいと分かりつつも、後回した結果、最悪の結末を迎えてしまった方は少なくありません。
手遅れになる前に、1日も早く専門家に相談をすることをおすすめします。
それでは、法人の借金と債務整理について解説をしていきます。
法人の借金は債務整理をすることができる?
法人が運転資金として借りているお金も、債務整理の対象となります。
ただし、事業者の場合には消費者金融やビジネスローン、銀行など金融機関からの借り入れだけではないケースがあります。
商売上、繋がりのある取引先や関係者、関連企業等から貸付を受けているというケースも多いですよね。
債務整理を行うことによって、法人としての事業そのものの存続が危ぶまれる事態に発展しないように、注意する必要があります。
そもそも運転資金を、銀行や消費者金融からの借り入れに頼っている状況は、会社経営としては当然望ましいことではありません。
先述のとおり、東日本大震災やアベノミクスの影響により特に中小企業においては、運転資金に目途が立たなくなり倒産が増加しています。
※追記
2016年4月に起こった熊本大震災の影響で九州地方ではまた倒産が相次ぐことも予測されています。
2020年現在、倒産件数は昨年から4.15%減少しました。
ですが、自己資金でまかなうことができていない状況は「自転車操業」といわれ、できれば避けるべき状態です。
資金繰りに追われている状態では、本来力を入れるべき本業の仕事に支障が出てしまいます。
厳しい状況が1年以上続いているのなら、債務整理によって借金を減額してもらうことも選択肢に入れる必要があります。
法人の債務整理は自己破産、個人再生、任意整理の3つ
一言に債務整理といっても法人の場合、手続き方法は3つあります。
将来発生する見込みの利息や、遅延損害金を免除してもらう「任意整理」
事業を清算して再スタートを切るための「自己破産」
そして、借金を元本も含めて減額してもらった上で数年間の、再生計画に従い返済を行なっていく「個人再生」があります。
それぞれの手続きの詳細とメリット・デメリットについては以下で解説しています。
個人再生についてとメリット・デメリット
自己破産についてとメリット・デメリット
任意整理についてとメリット・デメリット
事業者の場合には、どの方法を選択するかは慎重に検討する必要があります。
債権者数が多数に上る場合には、手続きも複雑になります。
できればキャッシュフローに問題が生じてきた早めのタイミングで、弁護士や司法書士など専門家に相談をするのが望ましいです。
なお、債権者が複数いる時には、任意整理の場合では、個別に交渉を行う必要がありますが、個人再生や自己破産の場合には裁判所で一括で手続きをすることができます。
法人が個人再生、自己破産をする時の注意点
任意整理は債権者側の同意がなければ成立しませんが、個人再生や自己破産は債権者側の同意がなくとも成立します。
また、任意整理と比べ金銭的なメリットは大きいです。
個人と比べ借金の金額が大きくなる法人の場合、個人再生か自己破産どちらかを選択するケースがほとんどです。
しかし、個人再生や自己破産では対象とする債務を選ぶことができません。
『この借金は自己破産の対象にしたいけど、○○にはお世話になったし何年かかってもお金を返したい』
上記のように、返す人と返さない人は選択できず全ての借金に対して清算する必要があるという事です。
友人や親族、大切な仕事関係者等からの借り入れがある場合は注意が必要です。
また、計画倒産を考える経営者もいますがそもそも犯罪ですし、従業員やその家族、取引先にも多大な迷惑がかかります。
モラルの問題以前に、そのようなことは絶対にやめましょう。
法人の債務整理にかかる費用ってどれくらい?
個人が行う債務整理と、法人が行う債務整理では費用も異なります。
借金の総額が多くなるケースが多く手続きも複雑になる為、個人の債務整理より高額になるケースがほとんどです。
では、実際にどれくらいの金額がかかるのでしょうか。
実は、個人と違って法人の債務整理に関しては、明確な金額はありません。
理由は、法人といっても1人で経営している会社もありますし、ソニーやトヨタのように世界的な大企業まで様々だからです。
いずれにしろ、法人の借金の費用については法律事務所に相談を行った際に算出してもらうしかありません。
法人の借金と社長個人の債務整理について
法人が破産手続きを行う場合には、社長個人の自己破産も同時に行うのが普通です。
多くの場合、法人の借金は社長個人が保証人になっている事がほとんど。
例え、法人の破産が認められたとしても、借金の請求が社長個人に来てしまう為です。
法人の場合、破産手続きをとる際には、裁判所に対して収める必要がある「予納金」が高額になるというのも難点です。
予納金を準備できない場合には、まず社長個人の自己破産のみを行い、法人側の借金についてはノータッチのままにしておくという手段をとるケースもあります。
法人と同時に破産宣言を行いますので当然、社長個人の預貯金や持ち家、車等も没収されます。
ですが、この点も早期の段階であれば自己破産、個人再生を選択することなく、借金解決できる可能性も十分に残されています。
個人がする債務整理の費用や方法については、こちらの記事で詳しく解説をしています。
いずれにしろ今すぐに専門家に状況を総合的に判断してもらい、最善の対応をしてもらうのが1番です。
法人の借金は債務整理で解決する事ができる
個人だけではなく法人でも、債務整理をおこなう事は可能です。
手続きや金額は個人と比べると、比較的大きくなるケースがほとんどでしょう。
最後に、企業経営者がしてしまいがちな失敗についてお伝えします。
それは『法人の債務整理については税理士ではなく、弁護士に相談をする』という事です。
当たり前のことですが、意外と税理士に相談をしてしまう経営者は多いです。
税理士は会計や税金のスペシャリストですが、個人再生や自己破産に関する知識を必ずしも持ち合わせているわけではありません。
いくら会社のお金の流れを追っていて財政状況が把握できていたとしても、すべての税理士が正しい判断をできるとは言えないでしょう。
運転資金の雲行きが怪しくなって来たら顧問税理士ではなく、顧問弁護士に早めの相談を行う事が重要です。
顧問弁護士がいない場合には、当サイトでまとめている都道府県別の法律事務所情報を参考にしてもいいでしょう。
また、先に紹介したチャット相談を利用するのも間違いがない方法です。
いずれにしても、借金問題は時間との勝負。特に、法人の場合は、対応を急ぐ必要があります。
借金問題は放置していても、解決する事は絶対にありませんし利息も増え続けるので状況は悪化するだけです。
1人で悩むのではなく、今すぐに法律事務所に相談を行い問題解決への第一歩を踏み出してください。