年収以下の借金と債務整理

借金に関する話題では「年収」が引き合いに出させることが少なくありません。

「年収が少ないから借金できない」

「年収が多いからまだ自己破産できない」

といった情報は、間違ってはいませんが、正しくない場合もあります。

年収は「年単位」の基準なので、「毎月の支払い」が重要な借金問題を計る基準としては、目が粗すぎる場合があるからです。

今回は、年収(収入)と借金に関するいくつかの話題について解説します。

「借金の返済が苦しいけど年収以下の借金だからまだ大丈夫」と考えている人は特に参考にしてもらいたいと思います。

また、『今の収入では返済が厳しいことは分かっているけど、放置してしまっている。』

『1年以上借金の残高が減っていない、もしくは増えている。』

このような状態の方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

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それでは解説をしていきます。

年収が少なければ借金できない?

借金と年収との関係で最も重要なのが「総量規制」と呼ばれる法規制です。

「総量規制」とは、「顧客の年収の1/3を超える極度額の金銭消費貸借契約(お金を貸す契約)をしてはいけない」という消費者金融やクレジットカード会社といった「貸金業者」に対するルールです(貸金業法13条の2)。

ポイントは、「お金を借りてはいけない」のではなく、「お金を貸す契約をしてはいけない」と貸金業者に対して規制をかけていることです。

また、規制の対象が「実際のお金の貸付行為(金銭の交付)」ではなく、「年収の1/3を超える極度額(借入限度額)を設定した契約締結」という点にも注意が必要です。

これは「現在いくら借金しているか」ではなく、「いくらまで借りることができる借金の契約をしているか」が問題となるということです。

つまり、年収270万円の人であれば、実際の借金額がいくらであるかを問わず、90万円を超える借金の契約ができないということです。

たとえば、すでに50万円の極度額の契約があれば、「実際の借金額が10万円」であっても、2社目の貸金業者とは「40万円を超える極度額の契約は結べない」ということになります。

銀行には「総量規制」の適用がない

「総量規制」は銀行からの借金には適用がありません。

銀行は、「銀行法」の適用下で営業を行っているので、総量規制が定められた貸金業法の適用を受けないからです。

「銀行は消費者金融よりも審査が厳しい」というイメージがありますが、年収条件との関係では、実は消費者金融の方が融資条件は厳しいのが現状です。

実は、近年では、消費者金融の貸付総額よりも銀行の消費者向け貸付総額の方が大きくなっています。

また、「年収の倍以上の貸付を行っている場合」が見受けられるなど、銀行の過剰貸し付けが社会的にも大きな問題となっています。

そのため、銀行にも自主的に総量規制のような貸付自粛を行う動きがみられます。

なお、大手銀行から借金した場合には、ほぼ例外なく参加の消費者金融(やカード会社)が保証会社となります。

銀行カードローンの借金を延滞したときには、銀行は保証会社に債権譲渡することが一般的です。

つまり、銀行カードローンを返せなくなったときには、消費者金融やクレジットカード会社が債権者となります。

その意味では、「銀行からの借金は消費者金融からの借金と変わらない」と考えておいた方が良いのかもしれません。

借金するために「年収を偽れば」犯罪になることも

「どうしても借金がしたい」と年収を偽って深刻することは、犯罪に問われる可能性があります。

貸金業者に提出する収入証明に関する書類を偽造・改ざんすれば、「私(公)文書偽造(および行使)罪」、収入を偽ってした借金を返せなければ「詐欺」となる可能性があります。

収入を偽る行為は非常にリスクが高いので絶対にやめましょう。

「年収」と債務整理

借金をする場面に比べて、債務整理との関係では、実は年収は参考程度の基準でしかないことが多いといえます。

借金をする際には、その人の「信用力」を計るモノサシとして「年収」が審査基準のひとつとなります。

しかし、年収は、どんぶり勘定的なモノサシなので、本当の意味の信用力を計る基準としては実は曖昧です。

たとえば、年収500万円でも、毎月安定した収入での500万円と、臨時収入の多い500万円では、生活の安定度はかなり異なります。

また、単身者の年収500万円と、配偶者に子どもが3人いる人の年収500万円では可処分所得には大きな違いがあります。

借金する際の審査も年収だけではなく、職種(属性審査)や家族構成、持ち家の有無といった複数の要素を判断して行われています。

他方で、債務整理は「借金をする問題」ではなく、「借金を返す問題」です。

借金を返す問題は「毎月いくら支払えるか」という問題なので、年収は基準としては粗すぎるのです。

年収を超える借金があっても「きちんと返せる」なら債務整理する必要はない

債務整理をはじめる基準としての「年収」は、ひとつの目安に過ぎません。

借金といっても、消費者金融や銀行のカードローンからマイホームの住宅ローンに至るまで実にさまざまなものがあります。

実際にも、私たちの人生のなかでは年収を超える借金を抱えることもないわけではありません。

たとえば、高級車やマイホームを購入したときには、年収以上の借金を抱えることの方が多いでしょう。

他方で、消費者金融などや銀行カードローンとしった無担保の借金が年収を超えてしまったときには、やはり注意が必要です。

「総量規制」が「年収の1/3までしか貸してはいけない」と定めているのも、貸金業者からの借金が年収に迫るほど自己破産のリスクが高くなるからです。

実際にも、総量規制の範囲内の借金であれば、返済に行き詰まったとしても自己破産せずに解決できる場合が少なくありません。

債務整理との関係では「年収」よりも「月収」(毎月の返済可能額)の方が大事

借金の返済は、「毎月決まった金額を支払う」ことが一般的です。

したがって、債務整理すべき基準は、年収という大きな基準よりも、「毎月の収支状況」で考えた方が実情にあっています。

年収にはボーナスのような不定期収入も含まれます。不定期収入は、毎月の支払いの原資としてはあまりアテにならないからです。

言い換えれば、債務整理すべきタイミングは「現在の支払い額で毎月返済し続けることが辛くなったとき」といえます。

年収や月収が多くても、生活費がかさんでしまったために、支払いが維持できなくなったときには、債務整理を検討すべきです。

毎月決まった金額を返せる人なら自己破産せずに解決できることも

債務整理の方法は、自己破産だけではありません。

むしろ、債務整理を考えている人にも「自己破産だけは避けたい」と考えている人が多いと思います。

自己破産以外の債務整理の方法としては、「任意整理」と「個人再生」があります。

任意整理と個人再生は、いずれも「毎月の収入」から「借金(の一部)を分割で返済する」方法です。

債務整理前との大きな違いは、「利息の免除」、「借金額の一部免除」、「返済回数の見直し」といった方法で、毎月の「返済額を軽くできる」ことにあります。

たとえば、現在の借金額を「36~60」で割った金額を毎月支払えるのであれば、任意整理で借金を解決できる可能性があります。

任意整理すれば利息が免除されるので、単純に返済回数で割った金額を支払いさえすればよくなるからです。

また、任意整理が難しい場合でも「毎月27,000円」の返済が可能であれば、個人再生で解決できる可能性があります。

個人再生をすれば、「100万円以上500万円未満の借金」は、毎月27,000円を3年返済することで、残額を免除してもらうことが可能だからです(端数を最終月で調整した場合)。

一般の方が「もう返せない」と思い込んでいる借金でも個人再生をすれば返せるようになることは少なくありません。

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

毎月の返済すら難しいときには自己破産しかない

毎月の支払額を確保できないときには、任意整理・個人再生で借金問題を解決することはできません。

しかし、返せない借金を放置するわけにもいきません。「消滅時効で借金を踏み倒せる場合」はごくわずかなケースに限られます。

自己破産は、「毎月の返済が続けられなくなった」場合に利用する最終的な手続きです。

「年収いくら以下でなければ自己破産できない」といった情報を耳にすることがありますが、必ずしも正しいとはいえません。

自己破産するためには「支払不能」という状態にある必要があります。

年収と借金との関係は、支払不能であるかどうかを判断する重要な要素ではありますが、絶対的な基準ではありません。

その人にとって「いくらまでの借金であれば支払い可能なのか」という問題は、年収だけでなく必要生計費などの要素も踏まえて判断する必要があるからです。

自己破産すれば、毎月の返済は一切不要となります。

自己破産して免責が認められればすべての返済義務が免除されるからです。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

まとめ

「借金が年収以下だからまだ大丈夫」と安心している人は少なくないと思います。

しかし、借金返済の問題は、年収ベースではなく、毎月の収支を基準に考えるべきです。

たとえば「ボーナスでまとめて返済」といったことは、あまり現実的ではありません。

ボーナス時期は臨時出費も増えることが多く、ボーナスを借金の返済にまわせないことも少なくないからです。

借金が年収以下の場合であっても、毎月の返済が苦しいときには債務整理で早めに解決することがとても大切です。

年収以下の借金であれば、自己破産せずに任意整理・個人再生で解決することが十分可能です。

借金問題は対応が遅くなると手遅れになってしまうことも珍しくありません。

毎月の支払額を捻出するのが厳しくなったときには、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談しましょう。

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