「年収の半分ぐらい借金がある。自己破産を考えた方がいい?」
「病気で車のローンが支払えなくなった。150万円程度の借金じゃ自己破産できないの?」
あなたは、このようなお悩みはありませんか?
借金の返済は辛いが、自分の年収の何割ぐらいの借金なら自己破産できるのかわからない。あるいは、少額の借金だから自己破産も無理かもしれないと、気持が沈んでいるのかもしれません。
結論から申し上げると、自己破産は裁判所に「支払い不能」と認められれば、数十万円の借金でも可能です。年収に対しての借金の割合なども、特に決まってません。
この記事を読めば、自己破産を検討すべき判断基準や、自己破産が認められる条件までわかります。
ぜひ、最後までお読みください!
- 自己破産を検討すべき判断基準
- 自己破産が認められるための条件
- 自己破産が認められないケース
Contents
自己破産は年収の何割以上の借金があれば検討すべきか
自己破産は、年収の何割以上の借金があれば検討すべきなのでしょうか?
年収の3分の1以上借金があれば自己破産を検討すべきなのか?
一般的に住宅ローンや車のローン以外の借金が年収の3分の1以上ある場合、自己破産などの債務整理を検討した方が良いと言われています。
借金と年収との関係で重要なのが、総量規制と呼ばれる法規制です。
総量規制とは「年収の3分の1を超えるお金を貸す契約をしてはいけない」という貸金業者に対するルール。銀行や信販会社のローンは、対象外になっています。
注意点として、現在いくら借金しているかではなく、いくらまで借入する契約をしているかが問題となるということ。
例えば、年収300万円の人であれば、実際の借金額がいくらであるかを問わず、100万円を超える借金の契約はできません。
すでに70万円の極度額の契約をしている場合、実際の借金額が10万円であっても、2社目の貸金業者とは30万円を超える極度額の契約は結べないということです。
貸金業者からの借金が年収に迫るほど、自己破産のリスクは高くなります。
これらのことから、住宅ローンや車のローン以外の借入が年収の3分の1以上ある場合、債務整理を検討した方が良いと言われているのです。
自己破産を検討すべきかの判断基準は状況次第
自己破産などの債務整理を検討すべきかの判断基準は、個別の状況次第といえます。
例えば、同じ年収500万円でも、毎月安定した収入での500万円と臨時収入の多い500万円では、生活の安定度はかなり違います。
単身者の年収500万円と、配偶者・子どもが3人いる人の年収500万円では、可処分所得に大きな違いがあるでしょう。
同じ年収でも収入の安定性や家族構成、収支などによって判断基準は変わるため、個別の状況によるのです。
自己破産できる借金の目安はいくらなのか
自己破産手続きは、目安となる具体的な借金額が決まっているわけではありません。借金が〇〇万円以上なら自己破産できる、といった明確な基準はないのです。
裁判所は、債務者の全体像をもとに自己破産を認めるかどうか判断します。
実際に、自己破産の手続きをした3つの事例をご紹介しましょう。
借金額:3億円
友人に2億円もの投資をしましたが、その友人が詐欺に遭い行方不明に。私の借金総額は3億でした。
ショックから精神的な病気になり、病状は悪化して働けません。
3億もの借金などどうにかなるものではなく、弁護士さんに相談し自己破産することを決心。
今は家内とマンションの管理人として細々と生活してますが、大金を背負った時の重圧感からは解放されました。
上記の体験談については「投資に失敗して借金3億円!自己破産をすることで人生をやり直した50代男性の債務整理体験談」にてくわしくご覧いただけます。気になる方は、ぜひ参考にしてみてください!
借金額:1,600万円
返済期間30年のマイホームを購入し、妻のパート収入と合わせてやりくりしていました。
ところが、子どもが難病を患い、入院費・治療費の負担が増加。気が付けば住宅ローンの滞納は半年になっていて、すでに手遅れでした。
持ち家を売却しても600万円の借金が残ることが判明し、弁護士に自己破産を勧められました。
家は失いましたが借金はなくなったので、精神的に前向きな気持で生活しています。
上記の体験談については、「住宅ローン地獄に陥るまでの流れや対処法は? 自己破産で解決した体験談も解説!」にてくわしくご覧いただけます。気になる方は参考にしてみてください!
借金額:150万円
車を購入し、ローンは順調に返済していました。
ところが、病気を患ってしまったのです。ローンの相殺も完全にできず、医療費・生活費・残り150万円のローンの支払いは困難な状況だったため、自己破産を決意しました。
今は、借金に追われることなく平穏に生活しています。
上記の体験談については、「福岡県久留米市で評判の法律事務所で車のローンのせいで自己破産手続きをした24歳男性の体験談」にてくわしくご覧いただけます。気になる方は、ぜひ参考にしてみてください!
3つの事例からもわかるように、自己破産できる借金額の目安は決まっていません。借金額や返済能力などから個別に判断される、ということになります。
自己破産が認められるための3つの条件
自己破産は、破産法によって定められている一定の条件に該当しないと認められません。借金の返済が支払い不能であるということを、裁判所に認められる必要があるのです。
自己破産が認められるために必要な3つの条件は、以下の通りです。
- 借金の支払い能力がない
- 今すぐ返済しなければいけない借金の返済能力がない
- 客観的にも将来的にわたって借金を返済できない
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 借金の支払い能力がない
1つ目の条件として、借金の支払い能力がないということ。
支払い能力とは、財産・信用・労力などから総合的に判断されます。負債が収入や資産を上回る場合なども、支払い不能状態にあると認められることがあります。
2. 今すぐ返済しなければならない借金の返済能力がない
2つ目の条件として、今すぐ返済しなければならない借金があるが、返せる見込みがない状況にあるということ。
例えば「3カ月後に500万円の返済が必要だが、返せそうにない」という場合、まだ返済期日になっていないため該当しません。
3. 客観的にも将来にわたって借金を返済できない
3つ目の条件として、客観的にも将来にわたって借金の返済能力がないことが明らかな必要があります。
例えば「今は返済できないが、今後お金が入る予定があるので半年後なら返済できる」といった場合、将来にわたって借金を返済できないとはみなされません。
自己破産が認められない4つのケース
自己破産したくても認められないのは、次のような4つのケースです。
- 支払い不能状態と認められない場合
- 免責不許可事由に当たる場合
- 裁判所費用が払えない場合
- 職業制限に対応できない場合
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 支払い不能状態と認められない場合
前述のように、自己破産が認められるためには支払い能力がないことが条件です。逆に言うと、支払い不能状態と認められなければ、自己破産はできません。
2. 免責不許可事由に当たる場合
免責不許可事由に当たると、原則として自己破産は認められません。
免責不許可事由とは、裁判所から自己破産を認めてもらえない理由のこと。例えば、次のような例が該当します。
- 高級車を処分されたくなくて友人に売却した
- ギャンブル・株取引などで極度に浪費した
- 自己破産の手続き直前に、銀行預金を隠した
- 自己破産の手続きで、裁判所にウソの説明をした
免責不許可事由については「免責不許可事由の具体例と対策~消費やギャンブルは?判例から考える対応策」にて解説しています。気になる方は、参考にしてみてください!
3. 裁判所費用が支払えない場合
裁判所費用が支払えない場合、自己破産できません。
自己破産の手続きを行うためには、裁判所にあらかじめ予納金を支払う必要があるからです。予納金は、管轄の裁判所や自己破産の内容などによっても異なります。
自己破産には、申立書や財産状況に応じて「同時廃止事件」と「管財事件」の手続きがあります。破産管財人による財産の調査などが必要な管財事件の場合、予納金は最低でも約20万円はかかるでしょう。
予納金が支払えないという場合、まずは弁護士に相談してみてください。
4. 職業制限に対応できない場合
自己破産すると、一定期間就けない職業があります。
自己破産が認められたとしても、本人が職業制限に対応できない場合は自己破産できません。
例えば、以下のような職業が該当します。
- 弁護士、司法書士、宅建士、行政書士などの士業
- 生命保険募集人
- 警備員
- 建築業を営む者
自己破産の職業制限については「険募集人が債務整理すると資格はなくなる?債務整理の3つのポイントについて解説!」でも解説しています。気になる方は、参考にしてみてください!
自己破産のデメリット
自己破産は、全ての借金が免除される手続きです。借金の返済義務がなくなるため、生活を立て直す上で、最も有利な債務整理の方法ともいえるでしょう。
しかし、相応のデメリットもあります。
信用情報機関に事故情報が記録され、新たなローン契約やクレジットカード作成はできなくなるでしょう。
生活に必要な家財道具や99万円までの現金、20万円以下の資産は残せますが、基本的に不動産や車などの財産は処分しなければいけません。
国が発行する官報に名前が掲載される他、前述のように手続き中は「士業」など一部の仕事に就けなくなるという職業の制限もあるので、注意が必要です。
自己破産を依頼する場合の費用相場
自己破産の費用は、トータルで約50万円以上が相場といえるでしょう。
自己破産の場合、相談料・着手金・報酬金などの弁護士費用の他、裁判所費用もかかります。内訳は、以下の通りです。
相談料 | 法律相談時に支払う | 無料~約1万円 |
着手金 | 弁護士への依頼時に支払う | 約30万円~ |
報酬金 | 案件が成功した際に支払う | 約20万円~ |
事務手数料 | 裁判所に予納、実費 | 2~3万円 |
破産管財人報酬 | 裁判所に予納 | 20万円~ |
前述のように、自己破産には申立書や財産状況に応じて「同時廃止事件」と「管財事件」の手続きがあります。財産がないことが明らかな場合に行われる同時廃止事件では、破産管財人報酬はかかりません。
相談は無料としている法律事務所もあります。最近では、無理のない範囲で分割や後払いなどに対応している法律事務所がほとんどです。
弁護士費用については、「着手金ゼロで債務整理をする方法~知っておきたい弁護士費用7つのこと」にて解説しています。気になる方は、参考にしてみてください!
まとめ:自己破産の相談は早めに弁護士に相談を
一般的には、住宅ローンや車のローン以外の借金が年収の3分の1以上ある場合、自己破産などの債務整理を検討した方が良いといわれています。
しかし、借金額や返済能力などを個別に判断されるため、自己破産できる借金額はいくら以上から、などの目安はありません。
不況による減収や病気で働けなくなってしまったなど、事情はさまざまでしょう。
借金問題は、対応が遅くなると状況は悪化する一方です。毎月の支払いが苦しいと感じたら、1日も早く弁護士に相談してみることをおすすめします。