奨学金破産とは~奨学金が返せない人のは自業自得?返済している人の割合と解決策

奨学金は、大学や大学院進学には欠かせない仕組みとなりつつあります。

大学生の2人に1人は奨学金の受給を受けているという調査もあるほどです。

たしかに、私立大学の学費は安くないことも少なくありません。

また、親元を離れて進学する際には生活費もかかります。大学院では研究に専念するためにできるだけアルバイトはしたくないということもあるでしょう。

そのような場合に、奨学金は非常にありがたい制度です。

しかし、大学や大学院で受給する奨学金の総額は多額なものです。

たとえば、4年生大学から大学院博士課程までの10年間続けて奨学金の受給を受ければ、受給総額は1,000万円近くになります。

奨学金の申込む段階では「将来の収入や生活」のことはわかりません。

そのため、奨学金の返済に行き詰まる人は、必ずしも少なくありません。

実際にも、奨学金が原因で自己破産する人が増えています。NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられ話題になりました。

そこで、この記事では、奨学金の返還をめぐる現状や返還に行き詰まったときの対応策について説明します。

また、『奨学金以外にも、消費者金融からお金を借りていて自転車操業状態が続いている。』

『現在の収入から考えて、返済が困難な事が頭の中では分かっているが放置している。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。

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それでは解説をしていきます。

奨学金破産とは?

経済面に余裕がない人とって奨学金は、進学に必須な制度といえます。

しかし、奨学金は「返還」が必要なもの(貸与型)がほとんどです。

奨学金は受給期間が長くなることが多く、返還総額は決して少なくありません。

日本学生支援機構によれば、奨学金の貸与総額の平均額は、無利子奨学金では200万円以上、有利子奨学金では300万円以上です。

貸与奨学金は、大学などを卒業すると奨学金を返還する必要があります。

しかし、卒業後、「思ったように収入が増えない」、「会社都合で失業した」、「ケガや病気で収入が減った」などの事情で、奨学金を返済できなくなる人は少なくありません。

そもそも、奨学金は「将来どれくらいの収入を得られるのか」わからない状態でする借金なので、「返還困難になるリスク」は決して低いものではありません。

実際にも奨学金が返済できないことを理由に自己破産する人が増えています。これを「奨学金破産」とよぶことがあります。

奨学金の返済に困っている人は少なくない

日本学生支援機構によると、奨学金の返還に起因する自己破産は、2016年度までの5年間で15,000人(本人・連帯保証人の合計)を超えるそうです。

自己破産の申立て件数は2003年をピークに減少傾向にあったので、奨学金破産が増加していることは大きな話題となりました。

年度 2015年度 2014年度 2013年度
3ヶ月以上の延滞者 164,635 173,190 187,374
延滞のない人 3,483,982 3,296,320 3,090,023

上の表は、日本学生機構が公表している3ヶ月以上の延滞者数(2013年~2015年)をまとめたものです。

毎年15万人を超える人が3ヶ月以上の長期延滞となっています。

一般の方が想像している以上に「奨学金を延滞している人は多い」のではないでしょうか。

1日以上3ヶ月未満の延滞であれば、この数は約32万人にまで膨れあがります(2015年度)。

さらに、日本学生支援機構によれば、延滞が長期化する理由としては、収入不足や支出が減らないことによる「経済的困難」が最も多いそうです。

「奨学金を返せない人は少ないだろうから恥ずかしい」と考える必要はありません。

奨学金が返還できなくなったときの解決策

奨学金の返還額は多額であることがほとんどです。

そのため、また奨学金の運用資金は、「返還された奨学金」が中心です。

近年では奨学金の受給を希望する人が増えていることから、日本学生支援機構も回収を強化しています。

「奨学金が返せなくなった」ときにはどうしたらよいのでしょうか?

奨学金を債務整理するときは自己破産する場合が多い

奨学金も消費者金融や銀行などの借金と同じ「金銭債務」です。

したがって、最終的には自己破産などの債務整理で解決する(返済免除を受ける)ことは不可能ではありません。

債務整理には、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つの方法があります。

しかし、奨学金を「任意整理」、「特定調停」で解決するメリットはほとんどありません。

任意整理や特定調停は、「利息の免除」、「返済期間の延長」の方法で「借金を返しやすくする」に過ぎません。

奨学金は、無利子(有利子の場合でも低利率)、返還期間も長いものがほとんどだからです。

また、個人再生では「奨学金の返還額」を「減額」してもらうことが可能です。

しかし、個人再生では、3年間で借金を返済するのが原則です。

個人再生では、返還額が減額されても返還期間が短くなるので、「返済額が不利」になることが少なくありません。

したがって、債務整理によって奨学金を解決するときには、「自己破産」を選択する場合がほとんどです。

自己破産すれば「自己破産のときに保有している財産」で、「奨学金を含めたすべての負債」を清算します。

自己破産後に免責を得れば、清算しきれなかった負債はすべて免除されます。

なお、自己破産で処分される財産は、「生活に必要な家財道具など」は除外されます。

また価値が20万円以下の財産も処分されません。現金も99万円までは手元に残すことができます。

したがって、マイホームなどを保有していない方の場合であれば、「財産を失う」という点でのデメリットはあまりありません。

奨学金を債務整理すると「連帯保証人に迷惑がかかる」

奨学金を受給するには、必ず「連帯保証人」を付ける必要があります。

現在の奨学金では、機関保証(保証会社)を選択することもできます。

しかし、機関保証では、貸与期間中は毎月保証料を支払う必要があるので、人的保証を選択する人が多いと思います。

奨学金受給者が自己破産などの債務整理をすると、奨学金の返還請求は連帯保証人になされます。

主たる債務者である奨学金受給者が債務整理で返還義務を免除されたり、返還額を減額されても、連帯保証人にはまったく影響しません。

つまり、連帯保証人は、「返還額の全額」を支払う必要があります。

奨学金の返還総額は、数百万円となることが少なくありません。

奨学金受給者が奨学金を債務整理する際には、連帯保証人もあわせて債務整理しなければならないことが少なくありません。

債務整理と連帯保証人については下記の記事で詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理と連帯保証人?自己破産や任意整理をした場合の影響と対策

奨学金の延滞前なら「救済制度」を利用できる

奨学金の多くは、返還することが難しくなった場合の救済措置が予め用意されています。

日本学生支援機構の奨学金にも、「返還免除」、「返還猶予」、「減額返還」の3つの救済措置があります。

このうち、「返還免除」が最も強力な救済方法です。

しかし、返還免除が適用されるのは、いわゆる「免除職(一定の教育研究職等)」に就いた場合がほとんどです。

免除職以外のケースでは、本人死亡や本人が労働能力を喪失する障害を受けた場合等のごく限られたケースのみに適用されます。

返還期限猶予制度

災害・病気や経済的な困難が理由で返還できなくなったときには、「返還期限の猶予」を受けることができます。

返還猶予には、「一般猶予」と「猶予年限特例(または所得連動返還型)無利子奨学金の返還期限猶予」の2種類があります。

後者の猶予は、「猶予年限特例第一種(無利子)奨学金」もしくは「所得連動返還型無利子奨学金」の場合のみです。

したがって、多くの方は「一般猶予」を利用します。

一般猶予では、通算で10年間まで返済期限の猶予(延長)が認められます(猶予年限特例・所得連動返還型のケースでは適用期間の制限はありません)。

しかし、返還総額が減額されたり、返還が免除されるわけではないので、注意が必要です。

返還猶予は「返済が苦しい一定期間の間だけ返還を停止(先送り)」できる(その分返還期限が延びる)だけです。

減額返還制度

救済制度には、「返還期限猶予」のほかに、「減額返還制度」があります。

減額返還には、毎月の返還額を減らしそれに応じて返還期限を延長してもらえる制度です。

これまでは、毎月の返還額を1/2にする制度がありましたが、最近、1/3まで減額できる制度が追加されました。

それだけ、返還に困っている人が多いということです。また、最大の適用期間も10年だったものが15年まで延長されました。

なお、減額返還制度の利用条件は、下記の通りです。

経済困難を理由とする場合には年収条件(給与所得者年325万円、その他年収225万円)があるほか、「返還に延滞があるとき」や「所得連動返還方式」では、減額返還制度を利用できないことに注意が必要です。

災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること

無延滞であること

口座振替(リレー口座)に加入していること

月賦の返還方法でのみ利用可能

個人信用情報の取扱いに関する同意書が提出されていること

返還猶予と減額返還については、日本学生支援機構が発行しているリーフレットも参考にしてください。

参考⇒「困ったら、まず相談、JASSOの制度、減額返還・返還期限猶予」(PDFファイル)

まとめ

「奨学金を返せないのは恥ずかしい」と感じている人もいるかもしれません。しかし、奨学金は「将来の収入がハッキリしない状況」でやむなく借りるものです。

したがって、「奨学金を返せない」のは自業自得とは言い切れません。

また、実際にも多くの方が奨学金の返還に苦しんでいます。

消費者金融の借金と同様に、奨学金の返済に行き詰まったときにも、早期の対応が非常に重要です。

「奨学金返済のために借金する」ことになっては、状況を悪化させるだけです。

奨学金の返済に困ったときには、延滞となる前に、できるだけ早く担当窓口に相談して必要な救済措置を届け出るようにしましょう。

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