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将来独立を考える人の債務整理の方法

この記事では、「将来独立を考えている人」が債務整理する際の3つのポイントについて説明します。

独立前の下積み時代は、収入が少なく生活が不安定ということも珍しくありません。

そのため、一度借金の返済に行き詰まると、建て直すことが難しいことも多いでしょう。

しかし、「債務整理して楽になりたいけど、将来独立するときに悪影響があるのでは」と、債務整理を思いとどまってしまう方もたくさんいるようです。

たしかに、債務整理をすれば、数年間の間金融機関からの融資を受けることが難しくなります。

しかし、それ以外のデメリットはほとんどないといってよいでしょう。

実は、将来独立を考えている人こそ、下積み時代の借金は早く解決すべきなのです。

また、『借金の残高が1年以上減っていなく、常に自転車操業状態が続いている。』

『現在の収入のままでは、完済は厳しいと理解はしているが放置している。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。

それでは解説をしていきます。

債務整理をしても「会社役員」に就任することは制限されない

債務整理をすると、「将来会社(法人)を興せなくなるのではないか」という心配をもっている人は多いようです。

しかし、現在の法律では、自己破産直後の方が株式会社の代表取締役になることも可能です。

「法律の制限」という観点では、債務整理が法人を立ち上げることの障害にはなることは、ほとんどありません。

参考⇒会社役員と債務整理?法人役員が自己破産や任意整理をする方法と注意点

破産者が就くことのできない職業

自己破産した場合には、「破産開始決定から復権まで」の間、一定の職業・資格に就いたり、事業の許認可を受けることができません。

破産者となることで制限を受ける主な資格や業種は次のとおりです。

たとえば、飲食店や美容院といった業種であれば、開業に必要な届出や資格に自己破産は全く関係しません。

・いわゆる士業(弁護士、行政書士、中小企業診断士、宅地建物取引士など)
・マンション管理業
・旅行業
・製麺保険募集人、損害保険代理店
・警備員(警備業)
・廃棄物処理業(一般廃棄物・産業廃棄物)
・風俗業
・宅建業
・NPO法人の役員

自己破産による制限は「限定的」なものです。

復権後は、上記の制限は一切なくなります。復権を得る最も一般的な方法は、免責の確定です。

つまり、制限を受ける資格や事業でも、免責確定後に申請・届出をすれば全く問題ないのです。

なお、破産手続き開始決定から免責確定までは、3~6ヶ月程度の期間を見込んでおけば良いでしょう。

借金や財産の状況によって違いも生じるので、実際のケースについては弁護士・司法書士に相談の上確認してください。

債務整理と職業制限については下記の記事で詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理と職業制限?自己破産をするとクビや仕事への影響がある?

資格や許認可の制限を受けるのは自己破産だけ

債務整理には、自己破産以外にも、任意整理・個人再生といった方法があります。

資格・就業や事業許認可の制限を受けるのは、自己破産した場合だけです。

現在の債務整理の仕組みでは、多額な借金であっても「自己破産せずに個人再生」で解決できることが少なくありません。

一番のデメリットは「金融機関からの融資」に悪影響がでること

独立には資金が必要です。独立の際には金融機関等から融資を受けることがほとんどでしょう。

債務整理をすると、信用情報に事故情報が掲載されます。

事故情報が残っている間は、金融機関から融資を受けることは難しくなります。

個人事業主として独立する場合には、あなた自身の信用情報がチェックされます。

また法人の場合でも、中小法人の融資には、代表者の信用情報が必ず審査されます。

なお、事故情報が掲載される期間は次のとおりです。

JICC・CICの事故情報は、債務整理から最大5年間
KSCは、任意整理は最大5年、個人再生・自己破産は最大10年間

信用情報を取り扱う指定信用情報機関は、JICC(日本信用情報機構)、CIC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあります。

JICCは信販会社系、CICは消費者金融系、KSCは銀行系と理解しておけばよいでしょう。

とはいえ、多くの金融機関は、上記のうちの複数の信用情報機関に加盟しています。

独立・起業の際の融資としては、日本政策金融公庫の創業融資がよく知られています。

日本政策金融公庫は、CICとKSCに加盟しています。

したがって、自己破産や個人再生をすると最大で10年間融資を受けられない可能性があります。

事故情報の登録期間は「債務整理の日」が起算日

信用情報は、保有期間が経過すると自動的に消去されます。

この保有期間の起算日は、債務整理の場合には、「債務整理が開始されたとき」になります。

つまり、早く債務整理に着手すれば、「事故情報も早く消える」ということです。

また、KSCでは、官報掲載事項(個人再生・自己破産)は最大10年間、事故情報が保有されます。

任意整理であれば最大5年です。この点からも、「任意整理で解決できる借金のうちに」借金の問題を解決した方が良いといえるでしょう。

もちろん、債務整理せずに借金を完済できることが理想でしょう。

しかし、一度返済に行き詰まった借金を完済しきることは簡単なことではありません。

借金返済のために、アルバイトを掛け持ちするというようなことになれば、逆に独立の時期が遅くなる可能性もあります。

また、債務整理の着手が遅くなったことで、自己破産・個人再生となれば、事故情報が最大で10年間残ります。

債務整理が遅れれば遅れるほど、独立できる時期が遅くなる可能性もあるのです。

共同事業者がいれば融資可能な場合も

金融機関からの融資の問題は、「共同事業者を法人の代表者とする」ことで解決することができます。

中小法人に対する融資の場合であっても、「代表者ではない役員」の信用情報まで審査の対象とすることはほとんどありません。

金融機関からの融資が不要な場合

必要な資金を金融機関の融資以外で確保できるのであれば、過去の債務整理は独立開業に影響を与えないといってよいでしょう。

ただし、債務整理の時期に前後して独立を予定しているときには、次の点に注意が必要です。

任意整理や個人再生で返済中の場合には、返済が滞らないようにする
独立のための蓄えなどを個人再生や自己破産の際に隠匿しない
独立開業前後に自己破産するときには、適切な時期を選択する

債務整理で決まった返済が失敗しないように注意する

任意整理や個人再生での返済期間中に独立した場合には、「借金の返済」が滞らないように、返済資金を確保する必要があります。

また、いわゆる「喪明け前」(事故情報消去前)であれば、運転資金の融資を受けることもできません。

小切手や手形での決済を控える等して、現金不足とならないような事業運営を心がけることも重要になるかもしれません。

また、個人再生や自己破産では、財産隠しが発覚すると、再生計画の取消しや免責不許可となる可能性があります。

独立のための蓄えを債務整理の場面で隠すことのないようにしましょう。

財産隠しについては下記の記事で詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理と資産隠し~財産隠しをするとどうなる?知っておきたい6つのポイント

独立・開業の時期を間違えないこと

独立・開業の時期と「自己破産の時期」が近いときには、少し注意が必要となる場合があります。

まず、法人設立後に、代表者が自己破産すれば、役員を退任しなければならない場合があります。

株式会社の取締役は自己破産すると1度退任する必要があります(株主総会で決議されればすぐに再任可能)。

また、持分会社(合同会社など)でも、一般的な定款では、代表役員の自己破産は退社事由となります。

特に、1人会社のときには、役員の自己破産は法人の解散事由に直結するので注意が必要です。

以上のことは、「自分で法人を設立する」際には、あまり問題にならないでしょう。

「債務整理をしてから法人を立ち上げる」ケースがほとんどだと思われるからです。

しかし、「突然の相続」や「他者からの事業譲渡やのれん分けの申出」をきっかけと独立・開業を考える場合もあります

。この場合には、相手の事情で独立・開業の時期の選択に余裕がない場合もあるかもしれません。

弁護士・司法書士とよく相談の上で、自身の債務整理と事業承継を適切に進めるべきでしょう。

独立と債務整理まとめ

借金を返済しきれずに債務整理すると「一生独立開業できなくなる」ということはありません。

融資面での不利益も、債務整理後にきちんと対応する(返済する)ことで、5年よりも早く事故情報を消去してもらえることもなくはないようです。

むしろ、借金を残したまま独立開業してしまえば、その借金のために「やっとはじめた事業」を失ってしまうことだってあるでしょう。

それでは本末転倒です。

また、債務整理で毎月の返済負担が軽くなれば、「借金を返しながら、独立ための自己資金を貯める」ことも可能になるかもしれません。

現時点で返済困難な借金があるときには、債務整理した方が「早く独立できる可能性」が高くなるケースも少なくないのです。

いまでは、借金の相談を無料で受けられる弁護士事務所・司法書士事務所が増えています。

まずは、相談を受けてから今後の対応を考えるということでも良いかもしれません。

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