
「奨学金の返済ができない……」
「自力で返済できないなら破産しかない?」
「どうにかして支払いできるようにしたい」
こんな悩みを抱えていないでしょうか?
大学に通うには多額の費用が必要になるため、奨学金を利用して大学に進学する人も少なくありません。
しかし奨学金の返済期間は一般的に10〜20年とかなり長く、途中で生活状況が変わって返済が難しくなることも多いです。
奨学金の支払いが難しい場合は、猶予制度や債務整理を活用すれば解決できる可能性があります。
この記事では、奨学金の返済に悩む人に向けて、以下の内容をまとめました。
- 奨学金の返還猶予制度について
- 奨学金を債務整理で解決する方法
- 債務整理するときの注意点
この記事を読めば、奨学金の返済が難しいときの対処方法がわかります。
借金問題は時間が経てば経つほど深刻になるので、現段階で支払いが厳しくなっている人は早めに弁護士・司法書士に相談してください。
Contents
奨学金の返済が難しいときの対処方法
奨学金の返済が難しいときは、「返還猶予制度」か「債務整理」を利用しましょう。
もし返還猶予制度を利用できるなら、そちらを活用したほうが債務整理よりもデメリットが少なくて済みます。
一番やってはいけないことは、奨学金の返済のために別で借金を作ることです。
借金を借金で返済する「自転車操業」は、ほとんどの場合破綻に追い込まれてしまうため、自力で返済が難しくなった時点で債務整理を考えたほうが良いでしょう。
奨学金の返済はまず猶予制度を活用し、それでも解決できない場合は債務整理をおすすめします。
奨学金の返還猶予制度を活用する
奨学金には以下の3つの返還猶予制度があります。
- 返還期限猶予制度
- 減額返還制度
- 返還免除制度
制度の詳細について、それぞれ順番に見ていきましょう。
返還期限猶予制度
支払いに猶予が欲しい人は、「返還期限猶予制度」を利用するのがおすすめです。
返済猶予には、受給した奨学金によって以下の2種類があります。
- 一般猶予
- 無利子奨学金の返還期限猶予
一般猶予は通算10年の適用が可能です。
さらに、災害や傷病、生活保護、産休・育休などの特別な事情がある場合は、年数の制限が撤廃されます。
一方で無利子奨学金の返還期限猶予は、一定の収入や所得を得るまで返済を待ってもらう制度で、返済期間に制限はありません。
どちらの場合も「猶予」のみで、奨学金そのものの減額や免除はされないので注意しましょう。
減額返還制度
奨学金そのものを減額したい人は、「減額返還制度」を利用すると良いでしょう。
ただし、減額が認められるには次に示すような特別な事情が必要です。
- 災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること
- 無延滞であること
- 口座振替(リレー口座)に加入していること
- 月賦の返還方法でのみ利用可能
- 個人信用情報の取扱いに関する同意書が提出されていること
上記に加え、給与所得者は年収325万円以下、給与所得者以外は年収225万円以下である必要があります。
また、すでに延滞している場合や「所得連動返還方式」を選択した受給者は利用できません。
返還免除制度
どうしても返済できる見込みがなくなった場合は、「返還免除制度」を利用することができます。
免除される条件は以下のとおりです。
- 本人が死亡し返還ができなくなったとき
- 精神・身体の障害により労働能力を喪失、または労働能力に高度の制限を有したとき
奨学金が免除される条件は厳しいです。
基本的には猶予や減額をしてもらうことになるでしょう。
奨学金を債務整理で解決するときのポイント3つ
奨学金の猶予・減額で解決できない、または認められなかった場合は債務整理を検討しましょう。
奨学金を債務整理するときのポイントは、以下の3つです。
- 任意整理するメリットはほとんどない
- 個人再生では返済額が減らない場合もある
- 奨学金の債務整理は自己破産がほとんど
結論からいうと、奨学金を債務整理するならほとんど自己破産になります。
その理由について順番にみていきましょう。
任意整理するメリットはほとんどない
奨学金を債務整理する場合は、任意整理をしてもほとんど意味がありません。
任意整理は「利息の免除」や「返済期間の見直し」をして、借金の返済を楽にする制度です。
奨学金は元々無利子・低利子で、しかも返済期間も長いため、任意整理をしても状況は変わらないでしょう。
奨学金以外の借金のせいで返済が難しくなっている場合を除き、任意整理をする意味はほとんどありません。
任意整理については、下記ページで詳しく解説をしています。
参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点
個人再生では返済額が減らない場合もある
奨学金の債務整理においては、個人再生をしても余計に苦しくなる場合があります。
個人再生はすべての借金を対象に減額してもらえますが、返済期間は原則3年間となっているからです。
もし奨学金のみを個人再生すると、本来の返済期間から大幅に短縮されてしまい、毎月の支払額がかえって増えることも考えられます。
個人再生については、下記ページで詳しく解説をしています。
参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある
奨学金の債務整理は自己破産がほとんど
奨学金を債務整理する場合は、自己破産がほとんどです。
奨学金は多額の借金ですが、自己破産すれば破産手続き時に持っている財産で精算されます。
大学・大学院と続けて奨学金を受給している場合などは、返済楽が数百万円にもなっていることがありますが、自己破産すれば全額免除してもらうことも可能です。
自己破産については、下記ページで詳しく解説をしています。
参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?
奨学金を自己破産するときの注意点
奨学金を債務整理するときは、自己破産を選択することになるでしょう。
自己破産は借金を全額免除してもらうことができますが、もちろん簡単に自己破産できるわけではありません。
奨学金を自己破産するときは、以下の点に注意が必要です。
- 保証人に迷惑がかかる
- 保証人と連帯保証人はまったく違う
- 家族に内緒にするのは難しい
それぞれ順番にみていきましょう。
保証人に迷惑がかかる
奨学金を債務整理しようとすると、連帯保証人に多大な迷惑がかかります。
債務者が自己破産しても連帯保証人には影響がありません。
要するに、奨学金を借り入れた人が自己破産しても、連帯保証人がいればそちらで奨学金の返済をする必要があるのです。
なお、保証人と連帯保証人はまったく異なります。
債務整理と連帯保証人の関係については、下記のページで解説をしています。
参考⇒債務整理と連帯保証人?自己破産や任意整理をした場合の影響と対策
家族に内緒にするのは難しい
自己破産を家族にバレずに行うのは難しいです。
裁判所を通した手続きを行う際は、自宅に裁判所からの書類が届いたり、家族の収入状況を説明するための書類を求められたりします。
手続き開始から免責されるまで、すべてを隠し通すのは難しいでしょう。
奨学金が原因で債務整理する場合は、弁護士・司法書士に相談する前に、まずは家族に相談することをおすすめします。
まとめ
奨学金の支払いが難しい場合の対処法は、「返済猶予制度の活用」や「債務整理」です。
返済猶予制度には、以下の3種類があります。
- 返還期限猶予制度
- 減額返還制度
- 返還免除制度
猶予制度でも解決しきれない、又は認められなかった場合は債務整理を検討しましょう。
債務整理は一般的に任意整理、個人再生、自己破産の3種類がありますが、奨学金を債務整理する場合は「自己破産」を選ぶことがほとんどです。
いずれにせよ、借金問題を放置しているとより状況は悪化します。
まずは返済猶予制度を検討し、それでも難しいようなら弁護士・司法書士に相談して自己破産での解決を図りましょう。