「債務整理でどれくらい借金は減る?」
「手続き後は毎月いくら返済するの?具体的な金額について知りたい!」
あなたはこんな疑問を持っていませんか?
債務整理で減額できる範囲、そして手続き後の返済額は状況によって変わってきますが、大まかなシミュレーションは可能です。
この記事では、債務整理するとどうなるか具体的に知りたいあなたに向けて、以下の情報について解説します。
- 減額シミュレーションとは
- 債務整理するといくら減額できるのか
- 債務整理後の返済額はいくらになるのか
債務整理でどのくらい借金が減るのかわかりますので、ぜひ最後までご覧ください!
Contents
債務整理で借金が減る仕組み
そもそも債務整理とは、借金返済ができなくなった債務者を救済するための制度です。
唯一、合法的に借金を減らせる方法になります。まずは「借金が減る理由」と「具体的な手続き方法」について解説します。
1. 借金を減らせる理由
債務整理で借金が減るのは、その方が債権者にとっても得策だからです。
銀行や消費者金融などの「債権者」はお金を貸し、利息を受け取ることで利益を得ています。
しかし、元金すら返済してもらえないと大損失になってしまうため、多くの債権者は返済負担を減らし、少しでも返済してもらった方が良いと考えます。
債権者が債務整理による減額を認めてくれるのは、そのまま踏み倒されるよりはマシだからです。
2. 債務整理には3つの手続きがある
一言で債務整理と言っても、3つの方法に分けられます。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
それぞれ借金の減額範囲やデメリットが異なります。
まず、任意整理で免除されるのは利息のみです。一方、個人再生では元本部分の一部、自己破産ではそのすべてが免除の対象となります。
ただし自己破産はデメリットが大きく、差し押さえや一時的な資格制限などのリスクも生じるため、そう簡単にできる手続きではありません。
債務整理を考えるにしても、自分にあった手続き方法を選ぶことが重要です。
債務整理の減額シミュレーションについて
各法律事務所では、債務整理の減額シミュレーションが用意されています。
シミュレーションが用意されている理由は、借金がいくら減らせるか伝えて申し込みのハードルを下げ、債務整理の依頼に繋げるためです。
減額シミュレーションでは、借入期間や借金額などを入力することで大まかな減額範囲がわかりますが、正確な数字を求めることはできません。
より正確な減額範囲を知りたいなら、直接弁護士や司法書士に相談した方が良いでしょう。
任意整理の減額・返済シミュレーション
任意整理は、債権者と交渉して利息を免除してもらう手続きです。
あまり多額の借金には対応できませんが、裁判所を介さないため、債務整理する借金を選べるという他にはないメリットがあります。
まずは減額範囲と、手続き後の返済額について見ていきましょう。
1. 減額できる範囲
任意整理の場合、元金はそのまま支払わなければなりません。
しかし、カードローンやクレジットカードのリボ払いなど高金利の借入をしている場合、利息をなくすだけで返済はずっと楽になるでしょう。
例えば、金利18%で200万円借入して、毎月5万円ずつ返済するとしましょう。
そのまま返済すると完済まで62ヶ月かかり、総支払利息は100万円以上になります。
一方、任意整理すれば返済期間は41ヶ月まで短縮でき、利息の100万円分が丸々浮くことになります。
2. 手続き後の返済額について
任意整理後の返済は3〜5年間になることが多いです。
あくまで債権者との交渉になるため、返済期間は相手の裁量によって変わってきます。
以下は、3年かけて返済する場合の毎月の支払額です。
借金額 | 毎月の返済額 |
100万円 | 約27,000円 |
200万円 | 約55,000円 |
300万円 | 約83,000円 |
なお、自動車ローンや住宅ローンなどの債務を残す場合、そちらの返済額も考慮に入れなければなりません。
個人再生の減額・返済シミュレーション
個人再生とは、裁判所に申し立てて借金を減額してもらう手続きです。
多額の借金にも対応できますが、債務整理の対象は選ぶことができません。ただし、住宅ローンに限っては「住宅ローン特則」によって支払いを続けられます。
まずは減額範囲と、手続き後の返済額について見ていきましょう。
1. 減額できる範囲
個人再生では借金の大部分が減額されます。
減額範囲の計算方法は借金額によって異なり、以下はそれをまとめた表です。
借金額 | 弁済額 |
100万円未満 | すべての債務 |
100万〜500万円 | 100万円 |
500万〜1,500万円 | 借金額の5分の1 |
1,500万〜3,000万円 | 300万円 |
3,000万〜5,000万円 | 借金額の10分の1 |
例えば、借金額が500万円の場合は約100万円まで、1,000万円の場合は約200万円程度まで圧縮可能です。
ただし、個人再生には「清算価値保証の原則」というルールがあります。
このルールによって、手続きの前には保有している財産を計算し、その財産額以上は必ず支払わなければなりません。
2. 手続き後の返済額について
個人再生は原則3年間での返済です。
任意整理と違い、やむを得ない事情が認められない限り返済期間の延長はできません。
以下は、借金額ごとの毎月の支払額です。
減額後の借金額 | 毎月の返済額 |
100万円 | 約27,000円 |
300万円 | 約83,000円 |
500万円 | 約139,000円 |
個人再生では住宅ローンのみ返済を続けることも可能です。
しかし毎月の返済負担を考えると、住宅ローンの返済まで続けることは難しく、実際には手放してしまうケースも多いと考えられます。
自己破産の減額シミュレーション
自己破産とは、裁判所に申し立ててすべての借金を免除してもらう手続きです。
当然、手続き後の返済も不要ですが、手続きの前に差し押さえ財産について知っておきましょう。
まず、自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類の手続きがあります。
ほぼ財産を持っていない人は同時廃止となりますが、ある程度財産を持っている人は管財事件となり、財産を処分しなければなりません。
ただし、以下の自由財産は手元に残せます。
- 差し押さえ禁止財産
- 自由財産(99万円以内の現金)
- 自己破産後に新たに得た財産
- 破産管財人によって放棄された財産
- 自由拡張財産
もっと具体的に説明すると、99万円以下の現金、そして生活や仕事に必要とされる家電や道具、20万円に満たない財産などは処分の対象になりません。
したがって、差し押さえを受けたからといって生活ができなくなるというのは誤った情報です。
債務整理の大まかな流れについて
債務整理の流れは手続きごとに異なります。
落ち着いて手続きを進めるためにも、減額や返済のシミュレーションだけでなく、手続きの流れも理解しておきましょう。
それでは、各手続きの流れについて解説します。
1. 任意整理の場合
任意整理は、大まかには以下のような流れで行われます。
- 弁護士や司法書士に相談
- 受任通知の送付
- 開示請求と引き直し計算
- 債権者との交渉
債務整理の際は、弁護士や司法書士に相談するのが一般的です。
正式に契約が完了すると、手続き開始を債権者に知らせるために「受任通知」を送付します。この段階で、債権者からの督促は止まります。
次に、業者に取引履歴を請求して、借金額の計算や過払い金の有無を確かめます。もし過払い金があれば、債務整理しなくても完済できるかもしれません。
借金額がわかったら、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、和解成立すれば手続きは完了です。
2. 個人再生の場合
個人再生は、大まかには以下のような流れで行われます。
- 弁護士や司法書士に相談
- 受任通知の送付
- 財産の調査
- 裁判所に申し立て
- 手続き開始決定
まずは専門家に相談し、受任通知の送付や開示請求、借金額の計算を行います。
個人再生には「清算価値保証原則」があるため、保有する財産についても調査しなければなりません。
借金額と保有する財産額が確定し、書類が完成したら裁判所に申し立てを行います。
その後、弁護士や司法書士とともに「再生計画書」を提出して、再生計画が認められれば手続き完了です。
3. 自己破産の場合
自己破産は、大まかには以下のような流れで行われます。
- 弁護士や司法書士に相談
- 受任通知の送付
- 財産などの調査
- 自己破産の申立書類を作成
- 裁判所へ自己破産の申し立て
- 管財事件または同時廃止事件へ
まずは専門家に相談し、受任通知の送付や開示請求、借金額の計算を行います。
自己破産には差し押さえ規定があるため、保有する財産についても調査しなければなりません。
借金額と保有する財産額が確定し、書類が完成したら裁判所に申し立てを行います。
その後、裁判官と弁護士、当人の3者で面談して、破産に至った経緯などを説明。その面談結果を元に、手続きの方法が決定されます。
同時廃止だとすぐ手続きは終わりますが、管財事件となると「破産管財人」を選出して財産を処分しなければなりません。
債務整理を行うとどのような影響があるのか
債務整理は借金を減額できますが、信用情報に「事故情報」が登録されるというデメリットがあります。
以下は、事故情報が登録される期間をまとめた表です(期間は借金完済からカウント)。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
CIC | 5年 | 5年 | 7年 |
JICC | 5年 | 5年 | 5年 |
KSC | 5年 | 5年 | 10年 |
信用情報に傷が付く具体的な弊害は、以下の3つです。
- 借入できなくなる
- クレジットカードが使えなくなる
- 保証人になれなくなる
それぞれ具体的に解説します。
1. 借入できなくなる
信用情報に傷が付くと、新たな借入はできなくなります。
各種金融機関は、審査の際に必ず「信用情報機関」を照会して、過去に問題を起こしていないか確認しているからです。
過去に債務整理したことがわかれば、まず審査には落とされてしまうでしょう。
債務整理後は、自戒も込めて借入は自粛すべきだということです。
2. クレジットカードが使えなくなる
信用情報に傷が付くと、クレジットカードが使えなくなります。
クレジットカード会社も、銀行やカードローン会社などと同じく信用情報機関を照会して、利用者の与信調査を行っているからです。
基本的に新しいカードは作れませんし、現在使っているカードもいずれ使えなくなってしまうでしょう。
クレジットカードがなくなると困る人は、代わりに「デビットカード」を利用することをおすすめします。
デビットカードなら信用ブラックでも作れますし、使用感もクレジットカードに比較的近いため、不便を感じることは少ないでしょう。
3. 保証人になれなくなる
信用情報に傷が付くと、保証人にはなれなくなります。
保証人になれなくても日常生活であまり困ることはないと思いますが、子供の奨学金の保証人になれない点には注意です。
もし奨学金を借入するなら、毎月保証料を支払って「機関保証」を利用するしかありません。
債務整理は返済シミュレーションを立ててから依頼しよう
債務整理の減額範囲と手続き後の返済額は、状況によって変わります。
事前に大まかな額はわかりますので、まずはどれだけ借金が減ってその後いくら返済すればいいのか、ざっくりで良いので把握しておきましょう。
なお、債務整理で減額できる範囲をまとめると、それぞれ以下のようになります。
- 任意整理は利息のみ
- 個人再生は元本の大部分
- 自己破産は借金全額
実際に免除される額は手続きを始めるまでわかりません。
より確実な情報を得たいなら、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう!