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借金があると生活保護は受けられない?

生活が困窮している人を支援する仕組みに「生活保護」があります。

生活が苦しい人のなかには、借金を抱えている人も少なくありません。

そのため、ネット上には、借金と生活保護について様々な情報が飛び交っています。

「借金があると生活保護を受けられない」

「生活保護を受けたら絶対に自己破産しなければならない」といった情報がその典型例です。

たしかにそのようなケースもありますが、「絶対にそう!」というわけでは必ずしもありません。

わからないことをそのまま放置したり、十分な知識がないまま独断で決めてしまう(諦めてしまう)ことが一番よくありません。

この記事では、借金と生活保護との関係について説明します。

「生活が苦しくて借金が返せない」というときには、まず弁護士・司法書士に相談してみましょう。

生活が苦しい人ほど、「1人で思い悩んでしまう」傾向があります。

「誰かに相談する」ということだけでも、変わることがたくさんあると思います。

また、『今の収入のままでは完済するのは厳しいと、分かってはいるけど放置してしる。』

『2社以上の消費者金融やクレジットカード会社から借金をしていて、残高が1年以上減っていない。』

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

手遅れになる前に、今すぐに法律事務所に相談を行ってください。

 

それでは解説をしていきます。

「借金があると生活保護を受けられない」というのは本当か?

生活保護をめぐっては様々な誤解があります。

「借金があると生活保護を受けられない」というのもその1つです。

結論からいえば、「借金のある人に生活保護を支給してはいけない」という決まりはありません。

生活保護の受給条件

まずは、生活保護受給の条件を確認しておくと次のとおりになります。

世帯収入が最低生活費以下である
預貯金や現金などの財産がない
援助してくれる家族や親族がいない
病気などの緊急の理由で働けない(収入を得られない)

このうち、最も重要な基準は「収入が最低生活費以下である」ということです。

最低生活費の具体的な額は、自治体ごとに異なりますが、単身世帯であれば月収が11~13万円以下であることが1つの目安といえます。

財産や支援者の有無については、生活保護法4条が定める「保護の補足性」原則との関係で問題となります。

つまり、生活保護は「できるかぎりの努力と手段を駆使しても」生活に困窮しているときにはじめて受給できるということです。

したがって、「換金可能な財産があれば生活保護の受給前に換金」し、「支援を受けられる相手がいれば支援を依頼する」必要があるということになります。

言い換えれば、たとえば、不動産を保有していても財産価値のない土地や売却困難な土地であれば生活保護を受けられることがあります。

また、ローン完済済みの持ち家があっても、「最低限の生活を維持するために持ち家を売却せずに保持する」必要があれば、持ち家があっても生活保護は受給できます。

「生活保護の受給審査」の相談は法テラスへ

生活保護の受給審査は、自治体の思惑などもあって必要以上に厳しいことがあります。

ケースワーカーや福祉事務所の不理解(偏見・思い込み)や誤解によって、受給どころか「申請すら門前払い」というケースもあるようです。

近年では、「生活保護の不正受給」が社会的に注目されていることもあり「面倒なことになりそうな人」は申請させまいという雰囲気もあるようです。

「生活保護が受給できなくて困っている」というときには、法テラスが相談を受け付けています。詳しくは、下記のリンク先を確認してください。

法テラス(生活保護)

債務整理をしてから生活保護を申請した方がよいのか?

借金を抱えている生活困窮者にとって、「生活保護申請が先か」、「債務整理が先か」というのは、非常に難しい問題です。

それぞれの方の具体的な事情によって、「生活保護を先にした方が良いケース」もあれば、「債務整理を先に行った方が良いケース」もあるからです。

生活保護の申請と債務整理との関係について重要なポイントは次のとおりです。

債務整理には一定の時間がかかる
生活保護の審査結果は14~35日で判明する
生活保護を受けると自己破産するように指導されることがある
生活困窮者は、法テラスを利用して債務整理を依頼できる

債務整理は数ヶ月かかることが一般的です。

したがって、生活保護の申請前に債務整理をしても、その間の生活が維持できなければ本末転倒です。

その場合には、生活保護を受けてから債務整理に着手することが賢明でしょう。

しかし、生活保護を受けると自己破産するようにケースワーカーから指導される場合があります。

自己破産できない事情があるときには、債務整理を先行させる必要があるでしょう。

生活保護で借金を返済することは可能か

借金がある人でも生活保護を受けることは可能ですが、「生活保護で借金を返す」ことには注意が必要です。

法律の建前としては「生活保護」の使用用途に制限はありません。

しかし、最近では「生活保護の不正受給」に社会の注目が集まっていることもあり、ケースワーカーの多くは「生活保護で借金を返済すること」を快く思っていません。

なお、「住宅ローンなどを生活保護で返済する行為」は禁止事項とされています。

生活保護が間接的に「資産形成」につながるからです。

そのため、住宅ローンが残っている方は、住宅を保持したまま生活保護を受けることは難しいでしょう。

なお、ウェブ上には「返済してもバレなければよい」というような説明をするサイトがあります。

生活保護受給者のお金の動きは厳しくチェックされます。

「借金の返済がバレない」ということ自体があまり現実的ではありません。

「どうしても返さなければならない借金」があるときには、予めケースワーカーに相談しておくべきです。

「都合の悪いことをケースワーカーに黙っている」というのが最も良くない行為です。

生活保護を受けると自己破産しなければならない場合

借金のある人が生活保護を受けたときには、ケースワーカーから「自己破産するように」指導されることが少なくありません。

生活保護で借金を返済できない以上は、自己破産するほかないからです。

生活保護法によれば、生活保護受給者はケースワーカーの指導に従う義務があります。

ケースワーカーの指導に従わなければ「受給打ち切り」ということになりかねません。

「自己破産できない事情」があるときには、生活保護の申請に先立って債務整理をしておいた方がよいでしょう。

一般的には、借金が100万円以上あるときに自己破産を指導されることが多いようです。

しかし、借金の抱えている人のすべてのケースで自己破産が指導されるというわけではありません。

借金が多額であっても「すぐに働いて生活保護を抜け出せそう」なケースでは、自己破産するように指導されない場合もあります。

借金がある人に対して一律に自己破産を指導することは、逆に自立の可能性を摘んでしまうことになりかねないからです。

また、借金の額がわずかというときには、「自己破産以外の債務整理」や、「生活保護から借金を返済すること」を承諾してくれるケースがないわけではありません。

結局は、生活保護受給者の自立可能性の観点から総合的に判断されるということです。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

法テラスを利用する

債務整理するためには費用が必要です。

弁護士や司法書士に支払う報酬だけでなく、裁判所に納める費用もかかります。

生活保護の申請を考えるほど生活が苦しい人にとっては、これらの支払いが難しい場合が多いでしょう。

生活が苦しい人が債務整理するときには、「法テラス」を利用します。

法テラスには「民事法律扶助」という制度があり、債務整理にかかる費用を立て替えてもらうことができます。

なお、民事法律扶助の利用基準(収入額)は、生活保護の受給基準よりも緩やかに設定されています。

月の収入が182,000円以下(単身者の場合)であれば、民事法律扶助を利用することができます。

生活保護水準の方は立替金の償還が免除される

法テラスに立て替えてもらった費用は、立替払いの2ヶ月後から毎月10,000円(もしくは5,000円)ずつの分割で償還(返済)するのが通常です。

しかし、生活困窮者には、「償還猶予」、「償還免除」の制度があります。

法テラスに依頼した事件終了時に生活保護の受給を受けていれば、立替金の償還は免除されます。

また、生活保護を受給していなくても、生活保護水準の収入しかない場合には、償還を免除してもらえます(上記の資力基準の70%以下が目安)。

したがって、生活保護受給の前後のいずれであっても、手持ち資金なしで債務整理することが可能です。

生活保護と債務整理まとめ

生活保護については、たくさんの情報が錯綜としています。

「わたしのケースではこうだった」と紹介された内容が、「あなたのケースでは当てはまらない」ということもあり得ます。

独断で判断せずに、わからないことは専門家に相談することが大切です。

特に借金(債務整理)に関する相談は無料相談を受けられる弁護士・司法書士事務所が増えています。

「生活保護の申請をどうすべきか」ということや「法テラスの利用」についてもあわせて無料相談で確認するとよいでしょう。

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