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苗字や名前を変えれば借金は返さなくて平気?名前を変える前に債務整理を検討すべき理由

今回は、「名前を変えたら借金の支払いから逃れることはできるのか?」ということについて解説します。

借金の返済に行き詰まり、いよいよ給料の差押えが差し迫っているような借金の返済を免れる目的で、「名前を変えよう」と考える人もいるかもしれません。

強制執行には、債務名義と呼ばれる公の文書が必要です。

債務名義の典型例は「確定判決」や「支払督促」です。これらは、債務者の氏名宛てに言い渡されます。

たとえば、「借金太郎」という名前の債務者宛に出された判決文は、「借金無男」に名を変えたら無効になるのではないかと考えるわけです。

しかし、実際にはそのような都合の良い逃げ道があるはずもありません。

また、信用情報から多額の借金があることや過去の債務整理歴を消したいと「名前を変える」ことを考える人もいると思いますが、名前を変えても審査ではほとんどバレてしまいます。

そもそも、「名前を変える」こと自体が簡単なことではありません。

借金の返済に行き詰まったときには、債務整理で解決するようにしましょう。

また、『複数の消費者金融やクレジットカード会社からお金を借りていて、元金が全く減っていない。』

『借金の返済をする為に、他の消費者金融からお金を借りるような自転車操業状態が続いている。』

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

手遅れになる前に、今すぐに法律事務所に相談を行ってください。

 

それでは解説をしていきます。

「名前を変える」のは簡単ではない

苗字(姓)を変えるには、結婚(離婚)や養子縁組といった方法で、地元の役所で手続きを行うことができます。

しかし、「名の変更」は、家庭裁判所の「許可」が必要です。

実は、自分の名前といっても簡単に変えることはできないのです。

名の変更には「正当な事由」が必要

裁判所のウェブサイトをみると、名の変更許可については、次のような説明があります。

正当な事由によって,戸籍の名を変更するには,家庭裁判所の許可が必要です。
正当な事由とは,名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい,単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りないとされています。

したがって、「名前を変えて心機一転したい」というような理由では、名の変更は許可されないと考えるべきでしょう。

たとえば、裁判所が用意している「名の変更許可申立書」のひな形に中では、名を変更する理由として、次の理由が挙げられています。

・奇妙な名である
・むずかしくて正確に読まれない
・同姓同名者がいて不便である
・異性とまぎらわしい
・外国人とまぎらわしい
・神官・僧侶となった(やめた)
・通称として永年使用した

以上の理由の中に、「多額の借金がある」、「自己破産した」といった理由は挙げられていません。

借金や自己破産を理由とした改名は許可されないこともある

多額の借金があることや、過去に自己破産したことを理由に名の変更の許可を申し立てても、許可されないことは、実際にも少なくないと思われます(絶対に不可能というわけではありません)。

たとえば、過去の裁判例には、犯罪者が、親族などに与える迷惑を軽減する目的で名の変更を求めた申立てを許可しなかったものがあります。

多額の借金を抱えたことや自己破産したことは、犯罪ではありませんから、それを理由に改名をするのはかなりハードルが高いといえます。

「名」を変えても借金はなくならない

「名」を変えることは簡単ではありません。そもそも、「名を変えても借金はなくならない」ので、「借金逃れ」のために名を変えることは意味がありません。

たとえば、前の名前のときに言い渡された貸金返還請求訴訟の敗訴判決や支払督促も、「名を変えた」ことで無効(裁判をやり直さなければならない)となるわけではありません。

判決や支払督促は「その人」に対して適法・適式に言い渡し・送達されていれば、有効に効力が生じます。

名が変わったときには、戸籍謄本で名の変更を疎明した上で、「表示の変更」だけで、強制執行することができます。

なお、「名の変更」は戸籍に記録が残ります。

消費者金融や銀行といった債権者は、債権か異種のために顧客の戸籍の附票・住民票を請求することができます(住民基本台帳法12条の3第1項・戸籍法10条の2第1項)。したがって、名を変えたことで「返済から逃げる」ことはできません。

「名」を変えても新規に借金できない

名前を変えても借金の返済義務はなくなりません。

それでは、名前を変えたら返済のための借入はできるようになるのでしょうか。結論からいえば、名前を変えても借金できない場合の方が多いです。

また、借金返済のためにさらに借金を重ねる行為は非常に危険なので、すべきではありません。

「改名」は審査でほとんどバレる

借金を扱った古いマンガやドラマ・映画などでは、多額の借金を背負った人が、借金返済や夜逃げの金策として「名前を変えて借金を申し込む」シーンが描かれることがあります。

しかし、この手口は、現在ではほとんど通用しないといってよいでしょう。

借金の申込みをしたときの信用情報の審査は、「氏名」だけで行われるわけではありません。

金融機関の審査では、氏名のほかにも、住所・生年月日・免許証番号といった複数の識別情報から個人を特定します。

たとえば、名は変わっても、生年月日や免許証番号は変えることができません。

極端な話、姓・名ともに変えたとしても、生年月日と免許証番号が一致すれば、改名(姓)前の信用情報と照合することは可能となります。

生年月日や免許証番号の改ざんは、犯罪行為です。絶対にやってはいけません。

改名がバレなかった場合でも、借金できない場合が多い

改名したことが審査にバレなければ借金できるというわけではありません。

名前を変えた「新しい人」は、これまで信用取引が一切ないことになります。

いまの審査基準では、「過去に一切信用取引がない」場合にも、審査落ちすることが多いのです。

現代社会では、クレジットカードのなどの信用取引があることの方が一般的です。

つまり、「取引記録が一切ない人」は、「収入不足」や「過去に信用事故があること」を強く疑われてしまうのです。

関連記事⇒債務整理をするとブラックリストに名前や住所が載るの?

返済能力を偽って借金すると詐欺になることも

名前を変えて新規に借金する人のほとんどは、すでに多額の借金を抱えていて、通常の申込みでは審査に通らない人が多いと思います。

収入や借金の状況(返済能力)を偽って借金したときには、「詐欺」(返すつもりもないのに借金した)となる場合があります。

詐欺罪となれば、10年以下の懲役となります(刑法246条)。

また、返済能力を偽ってした借金があるときには、自己破産しても免責されない場合もあります。

破産法252条1項5号は、「破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと」を免責不許可事由と定めているからです。

さらに、「そもそも全く返していない借金がある」ときには、詐欺破産となる可能性が高いため自己破産が認められないこともあります。

「名前を変えれば借金は返さなくて良い?」のまとめ

返済に行き詰まった借金を抱えることは、とても苦しいことです。

「名前を変えて」でも借金の返済から逃れたい、返済のためにさらに借金をしたいという気持ちはわからないではありません。

しかし、「名前を変えて」も借金の返済がなくなることはありません。

また、名前を変えて借金をしても、良いことは何ひとつありません。

借金の返済ができなくなったときには、債務整理で解決するのがベストです。

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、債権者から直接取立てされることもなくなります。

また、いまでは多くの弁護士・司法書士事務所で、債務整理の相談を無料で受けることができます。

弁護士・司法書士費用も分割払いで対応してもらうことができます。

借金で困ったときには、「名前を変えよう」などと考えずに、弁護士・司法書士に相談してみましょう。

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