開業医が債務整理すると仕事を失う?借金まみれの状態を抜け出すポイントを解説

「医院を開業したけど借金が辛い」
「経営が上手くいかず借金まみれになってしまった」
「債務整理すると仕事を失いそうで怖い」

このように悩んでいないでしょうか?

医院やクリニックを開業したものの、経営が上手くいかなかったり散財したりして借金まみれという人は多いです。

自力での返済が難しい場合は、債務整理で今の仕事を続けながら借金を解決できる可能性があります。

この記事では、借金に悩む開業医の方に向けて以下の内容をまとめています。

この記事でわかること
  • 開業医が借金まみれになる原因
  • 開業医が債務整理するとどうなるのか
  • 開業医が債務整理するときのポイント

この記事を読めば、債務整理で借金を精算して悩みから解放されます。

「周りに借金の相談ができず放置している」という人は、すでに借金を返済できる見込みはないので早めに弁護士や司法書士に相談を行いましょう。

 

Contents

開業医が借金まみれになる原因

開業医が借金まみれになる原因として、一番考えられるのは開業資金です。

医院を開業するためには、以下のような出資が必要になります。

開業資金の例
  • テナント費用
  • 内装工事
  • 医療機器
  • 広告宣伝費

人によって額は様々ですが、大きな出費であることには変わりないでしょう。

開業してみたら想像していたよりも必要なものが多く、開業資金が予算以上に膨らんでしまうというのはよくあることです。

開業医が債務整理をするとどうなるのか?

債務整理をしても医師の仕事を失うことはありません。

借金を抱えた開業医の方には「仕事を失うから債務整理できない」と考えている人もいますが、以下の理由により仕事を続けることができます。

債務整理しても仕事を失わない理由
  • 医師免許が剥奪されることはない
  • 医療法人の理事は退任の必要がない

それぞれ順番に見ていきましょう。

医師免許が剥奪されることはない

医師免許は債務整理の影響をまったく受けません。

医師の欠格事由は、「医師法」によって次のように定められています。

医師の欠格事由
  • 未成年者、成年被後見人または被保佐人である者
  • 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
  • 麻薬、大麻またはあへんの中毒者
  • 罰金以上の刑に処せられた者
  • 以上の場合のほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者

上記の他にも「医師としての品位を損するような行為のあった」ときは、厚生労働大臣が医師免許を取り消すことができます。

債務整理はいずれにも該当しないため、医師免許が剥奪される原因になりません。

医療法人の理事は退任の必要がない

医療法人の理事長は、自己破産しても退任する必要がありません。

医療法人の理事の欠格事由は、医療法46条の5第5項が次のように定めています(医療法46条の4第2項を準用)。

医療法人の理事の欠格事由
  • 成年被後見人または被保佐人
  • 医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法律において政令で定める規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
  • 上の場合のほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

上記には債務整理を欠格事由とする定めは存在しません。

したがって、内部の約款で退任事由としている場合を除き、医療法人の理事長が債務整理しても退任の必要はないのです。

開業医が債務整理するときのポイント

医師が債務整理するときのポイントは、以下の3つです。

医師が債務整理するときのポイント
  • 誰にも知られたくないときは任意整理
  • 個人再生すれば自己破産を回避できる
  • 自己破産はすべての財産を失うわけではない

債務整理の方法には任意整理と個人再生、自己破産があります。

医師は債務整理しても働き続けられるので、選択肢は他の職業の人より広いといえるでしょう。

誰にも知られたくないときは任意整理

借金を周りに知られたくない人は任意整理を行いましょう。

任意整理は弁護士・司法書士が債権者と直接交渉するので、裁判所に出向く必要はありません。

任意整理でできることは「利息の免除」「返済回数の見直し」といった方法に限られるので、借金が多すぎると解決できない場合もあります。

しかし医師であれば収入も多く社会的地位も高いので、多額の借金でも任意整理で解決しやすいと言えるでしょう。

任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点

個人再生すれば自己破産を回避できる

個人再生が認められれば自己破産を回避できます。

個人再生で返済しなければならない最低額(最低弁済基準額)はあらかじめ法律で決められていて、以下の通りです。

基準債権の金額最低弁済基準額
100万円未満借金の全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1,500万円未満1/5の額
1,500万円以上3,000万円未満300万円
3,000万円以上5,000万円以下1/10の額

個人再生では債権者保護のために、清算価値保障の原則というルールがあります。

清算価値保障の原則とは、個人再生のときに「自己破産していれば、回収できたであろう金額の返済は保障する」というルールです。

たとえば、3,000万円の借金の最低弁済基準額は300万円です。

しかし、債務者が保有する財産総額が500万円のときは、500万円以上を返済する再生計画を作成しなければなりません。

そのため、高価な財産を多数所有していると、個人再生しても返済総額があまり減らない場合もあります。

自己破産はすべての財産を失うわけではない

自己破産はすべての資産を失うわけではありません。

自己破産で手元に残せる財産の例は、以下の通りです。

自己破産しても手元に残せる財産
  • 99万円までの現金
  • 20万円以下の預貯金
  • 生活に必要な家財道具(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・タンス・ベッドなど)
  • 働く上で欠かすことのできない器具など
  • 20万円以下の価値しかない自動車

自己破産しても医師免許は失わず、業務に必要な設備は残せます。

また、医師であれば社会的立場が高いため、ブラックリストに載ってもクレジットカードの発行や融資を受けられる可能性があります。

上記の理由から、医師であれば自己破産によって早期の再起を図ることは難しくないでしょう。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

開業医が個人再生・自己破産する際の注意点

開業医の方は自らが医院を持っているため、個人再生や自己破産で注意すべきポイントが勤務医よりも多くなります。

特に重要なポイントは次の4点です。

個人再生・自己破産する際の注意点
  • 滞納している税金や社会保険料などは一切免除されない
  • 看護師などの従業員の未払い給料は一切免除されない
  • リースで用意した医療器具・事務用品などは引き上げられる可能性がある
  • 医院の建設資金のローンに住宅ローン特則は利用できない

税金・未払い給料は一切免除されない

租税公課や未払いの給料は債務整理でも免除されません。

経営不振に陥ったときは、税金や看護師などへの給料が未払いになっている場合もあり得ます。

さらに、個人再生は未払いの租税公課・給料が多すぎると認可されないこともあるので注意が必要です。

税金や未払いの給料は免除されないことを覚えておきましょう。

手続きの対象とする債務を選択できない

個人再生・自己破産はすべての借金を対象とする必要があります。

したがって、リースしている医療機器や備品がすべてリース会社に引き上げられてしまい、医院の継続が困難となることが少なくないです。

医院を継続する場合には、リース会社と「別除権協定」を結ぶなどの措置を講じる必要があります。

また、医院建設のためのローンが残っている場合も同様に注意が必要です。

ローンを組んだ際に医院の建物や敷地に抵当権を設定していれば、個人再生によって抵当権者に差し押さえられてしまいます。

この場合にも、医院継続のためには抵当権者と「別除権協定」を結ぶ必要があります。

まとめ

開業医が債務整理をしても、仕事を続けることは可能です。

債務整理は「医師の欠格事由」や「医療法人の理事の欠格事由」には該当しないため、仕事が継続できるか心配している人も安心して借金を精算できます。

開業医の方が債務整理をするときのポイントは以下の3つです。

医師が債務整理するときのポイント
  • 誰にも知られたくないときは任意整理
  • 個人再生すれば自己破産を回避できる
  • 自己破産はすべての財産を失うわけではない

すでに借金が多額に膨らんでいる場合、自力での返済は難しいのが現実です。

借金問題は放置しても良い方法に向かうことはないので、早めに弁護士・司法書士に相談して対処しましょう。

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