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債務整理をすると転職に影響する?

借金苦や債務整理は転職を考えるきっかけとなることがあります。

しかし、債務整理や借金が原因で前の勤務先を退職したようなときには、「過去の債務整理」や「借金」が転職に影響しないか心配になるものです。

履歴書に債務整理したことを書いた方がよいのだろうか?

借金が原因で前の勤務先を辞めたことを正直に伝えるべきだろうか?

債務整理したことを隠していたことが転職先に知られて後に問題とならないか?

といったことを悩んでいる人もいるかもしれません。

そこで、今回は「債務整理すると転職に影響することはあるか?」ということについて解説します。

正しい知識に基づいてきちんと対応すれば、転職のほとんどのケースで債務整理が影響することはありません。

また、『複数の消費者金融やクレジットカード会社から借金があり、返済は厳しいと分かりながらも放置し続けている。』

『1年以上前から借金の元金が減っていない。もしくは増えている。』

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

手遅れになる前に、今すぐに法律事務所に相談を行ってください。

 

それでは解説をしていきます。

今の時代転職は珍しくない

いまの社会では「転職」それ自体が珍しいことではありません。

最初に勤務先で定年退職まで勤め上げるという人の方が少ない時代ともいえます。

また、派遣社員や契約社員といった正社員ではない働き方を選択する人も少なくありません。

転職を希望しているからといって、「過去に何か不都合なことがあった」ということを疑われることも少ないでしょう。

債務整理をしたことを後ろめたく感じることもあるかもしれませんが、転職の際に気にする必要はありません。

過去に債務整理したことを転職先に申告する必要はない

企業の求人に応募する際には、履歴書や経歴書を提出することが一般的です。

履歴書などに過去の債務整理歴について記載する必要はありません。

市販の履歴書には賞罰の記入欄が設けられているものもありますが債務整理のことを記入する必要はありません。

債務整理したことは「罰」の対象となるものではないからです。

面接の際には、前の職を辞めた理由などを尋ねられることがあります。

この際にも「債務整理したこと」や「借金」が理由で退職したと伝える必要はないといえるでしょう。

そもそも、前の勤務先をやめる際には、何かしらの不満やトラブルがあるのが普通です。

前の職場に満足している人が転職を考えるはずがないからです。転職先の採用担当者も当然にそれを前提としています。

したがって、転職時には、「建前」的なポジティブな退職理由を告げることが一般的でしょう。

むしろ、本音と建前を区別できる能力が問われているともいえます。

実際の転職活動でも、前の職場を辞めた「本当の理由」を告げる人は少ないと思います。

転職先の会社が過去の債務整理の事実を調べることは難しい

転職先があなたの過去の債務整理を調べることは、実際にはかなり難しいといえます。

過去の債務整理を調べるには、信用情報か官報を調査する方法があります。

信用情報機関が保有する信用情報には、債務整理すると5年~10年の間、事故情報が登録されます。

よく「ブラックリストに載る」というのは、このことを指しています。

しかし、信用情報をチェックできるのは、加盟している金融機関のみです。

したがって、一般の会社が信用情報から過去の債務整理の事実を調査することは不可能です。

また、加盟金融機関であっても、「採用のために信用情報を調査する」ことは、目的外利用となり認められていません。

たとえば、指定信用情報機関の1つであるCICのウェブページでは、信用情報が利用されるのは次の場合であると説明しています。

消費者から新規にクレジットやローンの申し込みを受け付けたとき(与信判断)
消費者との契約後に与信枠の見直しや信用状況の変化を確認するとき(与信管理)
加盟会員がCICに登録した情報に関して消費者本人から問い合わせがあり、情報内容を確認する必要がある場合(消費者対応)
CICからの調査依頼やモニタリングへの対応、または加盟会員による登録更新結果の確認のために、登録した信用情報の内容を確認する必要がある場合

次に、官報で調査する方法については、あまりにも手間暇がかかるので現実的とはいえません。

過去の官報の記事内容を検索するには、有料の会員登録が必要です。

勤務先の業務内容が官報掲載事項に深く関連していない限り、会員登録していることはないと思われます。

また、官報に掲載されるのは、自己破産、個人再生したときだけです。

債務整理で最も利用される任意整理なら、官報で公告されることはありません。

ブラックリストについては下記ページで詳しく解説をしています。

関連記事⇒債務整理をするとブラックリストに名前や住所が載るの?

マイナンバーから借金や過去の債務整理を知られることもない

現在では勤め先にマイナンバーを提出する必要があります。

会社に提出したマイナンバーから過去の債務整理を調査されることもありません。

勤務先にマイナンバーを提出するのは、納税事務の効率化のためです。

勤務先がマイナンバーを利用して何かの個人情報を取得することは認められていません。

また、現在の運用内容では、マイナンバーと債務整理や借金の情報は紐付けられていません。

勤務先との関係に限らず、マイナンバーから借金が他人にバレるということはありません。

債務整理が転職に影響する例外的なケース

過去の債務整理が転職に影響を与えるのは、次のケースに限定されます。

会社が採用基準として過去の債務整理や現在の借金の有無を重視している場合
自己破産による資格制限・就業制限に該当する場合

転職先の業態によっては過去や現在の借金の状況を採用基準として重視している場合もないわけではないでしょう。

特に、金融機関や警備業では、そのような可能性は否定できません。

しかし、多くの企業の場合には、いちいち過去の債務整理の経験を採用基準として盛り込むようなことはしていないと思われます。

過去の債務整理の有無は、「仕事の能力」にほとんど影響がないからです。

関連記事⇒債務整理とマイナンバー制度の関係を徹底解説!

自己破産すると士業や警備員、保険募集人などの資格に制限が生じる

自己破産すると一部の職業や資格に制限が生じます。

制限が生じている間は、それぞれの業法との関係で就業することができません。

具体的には、弁護士や行政書士などの士業、宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者、警備員、保険募集人などの資格や職に制限が生じます。

資格制限・就業制限が生じるのは限られた期間だけ

自己破産すると一生の間、上記の仕事に就けないというわけではありません。

資格・就業制限が生じるのは、破産手続き開始決定から復権(免責)までの期間に限られます。

東京地方裁判所の運用モデルでは、破産手続き開始決定から免責確定までは3~5ヶ月ほどかかります。

免責が確定すれば、資格・職業制限は解除されます。

したがって、転職の時期を調整すれば、保険募集人や宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者として働く場合でも転職に支障を来すことはありません。

職業制限については下記ページで詳しく解説をしています。

関連記事⇒債務整理と職業制限?自己破産をするとクビや仕事への影響がある?

転職が債務整理に影響する場合

債務整理と転職との関係では、転職が債務整理に与える影響に注意しておく必要があります。

転職は収入の変化を伴います。特に、任意整理・個人再生後の返済中であるときには、注意が必要でしょう。

転職して減収ということになれば、毎月の返済に支障が出る可能性もあります。

特に個人再生の場合には、再生計画の履行に遅滞があると認可取消しとなる可能性もあります。

また、個人再生申立て後(認可決定前)に、離職・転職した場合には、再生計画の認可に悪影響を与える場合もあるので注意が必要です。

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

債務整理と転職まとめ

過去の債務整理や借金が転職に影響することは、実際にはあまりありません。

ほとんどの職業では、借金や債務整理の有無が転職先の業務に悪影響を与えることはないからです。

警備業や旅行業、不動産業に転職する際には、自己破産による制限が影響する場合があります。

しかし、免責を得た後であれば、資格・職業制限が問題となることもありません。

不安な点は、債務整理の際に、依頼した弁護士・司法書士に尋ねておくのもよいかもしれません。

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