債務整理をすると取引先に知られる4つのケースと誰にも知られずに債務整理する方法

「借金を抱えていること」、「借金が返せなくなった」ことは誰にも知られたくないと思うのが当たり前です。

まして、「債務整理したこと」は絶対に誰にも知られたくないと考えるものでしょう。

債務整理をしたことが他の人にばれてしまうと、「あの人はだらしがない」「借金を踏み倒すなんて信用できない」といった悪いイメージを与えてしまう可能性も否定できません。

特に、個人事業主や中小企業の経営者にとっては、「取引先」には知られたくないものです。

債務整理したことを知られてしまったことで、取引先の信用を失えば、事業の立て直しどころではなくなってしまいます。

また、サラリーマンであっても債務整理したことが取引先に知られてしまったことで、「仕事がやりづらい」、「勤務先にもバレてしまう」ことが心配な人もいるでしょう、

そこで今回は、債務整理すると取引先に知られてしまう4つのケースと、取引先に知られずに債務整理するための方法について解説します。

また、結論からお伝えすると債務整理をしたことが取引先や第三希望に知られてしまう可能性はまずありません。

ですが、借金問題を先送りにしてしまうと事態は深刻化し本来取れた対応も取れなくなる可能性も高いです。

『今の収入のままでは自力で完済するのは厳しいと、分かってはいるけど放置してしまっている。』

『2社以上の消費者金融やクレジットカード会社から借金をしていて、残高が1年以上減っていない。』

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している危険な状態です。

1人で悩み続けるのではなく、手遅れになる前に今すぐに法律事務所に相談を行ってください。

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それでは解説をしていきます。

債務整理すると取引先に知られる4つのケース

債務整理したことが取引先に知られてしまう場合には、次の4つの場合が考えられます。

債務整理したことが官報に公告されたことを原因とする場合

取引先に債務がある場合
取引先に債権がある場合
登記簿から知られてしまう場合(法人の場合)

取引先が官報をチェックしている場合

債務整理の方法には、「任意整理」、「特定調停」、「個人再生」、「自己破産」の4つの方法があります。

法人の場合には、個人再生に代わる手続きとして「民事再生」があり、さらに「会社更生」、「特別清算」といった手続きがあります。

任意整理(法人の場合の私的整理)を除く債務整理の方法はすべて裁判所で行われる手続きです。

特定調停以外の裁判所の手続きを利用したときには、「官報」に利用した手続きの内容や氏名・住所(所在地)などが掲載されます。

「官報」とは、政府が発行する広報誌で、平日はほぼ毎日発行されるものです。

「官報販売所」となっている書店などで購入できるほか、イインターネットでも閲覧することができます。

また、官報に掲載された事項は、手続きを申し立てた裁判所の掲示板にも掲示されます。

官報や裁判所の掲示板は誰でも閲覧することができるものなので、個人再生(民事再生)や自己破産などをしたときには、誰かに知られてしまう可能性は否定できません。

しかし、実際に官報を定期的にチェックしている人はかなり限られます。

この記事を読んでいる人でも「官報を定期的に確認している」人がほとんどいないどころか、「官報をみたこともない」人の方が多いと思います。
一般の人や一般の企業は官報を細かくみる必要はほとんどありません。

また、その官報に掲載される自己破産などの公告は、ものすごい量です(全国の裁判所の分がまとめて掲載されています)。

したがって、官報の掲載内容から特定人を探し出すことも簡単ではありません。

したがって、「官報から債務整理したことを知られる」ということは、実際にはあまりありません。

しかし、取引先が、銀行・貸金業者・警備会社・官公庁といった場合には、注意しておく必要があるでしょう。

参考⇒官報って何?債務整理や過払い金請求をすると必ず載るのか

取引先に負債がある場合

債務整理したことが取引先に知られてしまう最も典型的な場合が「取引先に債務」がある場合です。

官報公告の対象となる債務整理は、「すべての債権者」を対象に手続きが行われる必要があります。

したがって、自己破産などの債務整理手続き開始の時点で未払いの債務のある取引先は、すべて手続きの対象となります。

手続きの対象となる債権者には、裁判所から債務整理手続きが開始されたことが通知されてしまいます。

繰り返しますが、借金問題は時間との勝負で後回しにすればするだけ事態は深刻化していきます。

1人で悩み続けていても状況が好転することは絶対にありません。

まずは1日でも早いタイミングで問題解決に向けて相談をすることをおすすめします。

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偏頗弁済(へんぱべんさい)に注意

個人事業主や中小企業が取引先に知られずに、自己破産や個人再生をしようとする際には、「仕入れ代金の支払い時期」などに注意を払って手続きを申し立てる必要があります。

しかし、支払い時期によっては、「特定の債権者にだけ不公平な返済をした」ことが債務整理手続きの中で問題となることがあります。

この「不公平な返済」のことを法律用語で偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼びます。

偏波弁済のある状態で自己破産したときには、破産管財人によって「不公平な返済行為」が否認されます。

つまり、取引先は受け取った代金などを破産管財人に返還しなければならなくなります。

また、個人再生(民事再生)では、偏頗弁済のあった金額だけ、他の債権者に返済する金額を増額させなければなりません。

あまりにも悪質な偏頗弁済があれば、再生計画案が否決され再生手続きが頓挫してしまうことも考えられます。

債務者が支払不能(もはや借金を完済できないことが明らかな状態)にあるときに、「特定の債権者にだけ金銭を支払う」ことは偏頗弁済と評価される可能性があります。

自己破産などを考えているときには、弁護士の助言にしたがい正しく対応することが大切です。

取引先に売掛金がある場合

3つめのケースは、2番目のケースとは逆の債務者が取引先に債権を有している場合です。

自己破産したときに、未だ回収できていない債権があるときには、債権者への配当にまわすため破産管財人によって回収されます。

そのため、取引先に破産管財人から必ず連絡がいきます。

破産手続き前に売掛金を回収できていれば、破産管財人から連絡がいくことはありませんが、回収した売掛金の金額と使い道には注意が必要です。

回収を急ぐために正規の金額よりも低い金額で回収し債権を消滅させれば、破産管財人から否認権を行使される(不足分は取引先に請求される)可能性があります。

また、回収した資金を特定の債権者への支払いに充ててしまえば、上で解説した偏頗弁済の問題が生じます。

法人を自己破産した場合

法人が自己破産(特別清算)したときには、法人は解散し消滅します。

法人の解散は法人登記簿に記載されます。

また、民事再生・会社更生手続きを利用したときにも、手続きの開始などが登記に記載されます。

法人登記簿は誰でも閲覧できるため、取引先が法人登記簿を閲覧すれば、破産したことは知られてしまいます。

なお、個人の債務整理は、住民票・戸籍といった帳票に記載されることはありません。

例外的に、自己破産後に免責を受けられなかったときには、本籍地の市区村長が保管する「破産者名簿」に氏名などが記載されます。

ただし、破産者名簿が他人に公開されることはありません。

参考記事⇒法人の債務整理?会社が自己破産や個人再生をする流れと費用

負債を放置しても取引先には知られてしまう可能性がある

債務整理をしないで負債を放置した場合にも取引先に知られてしまう可能性があります。

たとえば、債務整理以外の理由で資金繰りが悪化していることを取引先に知られてしまう場合としては、次のケースが挙げられます。

手形が不渡りになったとき
銀行の借金を滞納したことによる口座凍結(入金停止の場合)
銀行等の債権者から取引先に債権者代位訴訟を提起された場合
滞納処分によって売掛金債権などが差し押さえられた場合

最も定型的なのは、不渡り手形を出してしまったときです。

また、銀行からの借入を滞納すれば、銀行口座が凍結され決済ができなくなる可能性があります。

さらに、メインバンクは取引先を把握していることも多いでしょうから、取引先に債権者代位訴訟を提起する可能性も否定できません。

また、公租公課の滞納によって、売掛金債権が差押えに合うことも考えられます。

「取引先に知られるのが嫌だ」と債務整理せずに放置していても、資金繰りの悪化は取引先に知られてしまいます。

「任意整理」なら取引先に知られずに債務整理できる可能性が高い

サラリーマンなどの債務整理であれば、取引先に知られる心配はほとんどありません。

取引上の債権債務が原因で債務整理が知られることはまず考えられないからです。

しかし、個人事業主や中小企業(の経営者)の場合には、取引先に知られずに債務整理を行うことは、簡単なことではありません。

「任意整理」(私的整理)で、金融機関からの借入金を圧縮すれば資金繰りを改善させることができるのであれば、取引先に知られずに債務整理することも不可能ではありません。

任意整理は、債務整理の対象とする債権者を選択することができ、交渉も私的な話し合いなので非公開だからです。

しかし、任意整理では「利息が免除されるのみ」で、借金それ自体を減額してもらえることはありません。

したがって、資金繰りに多少の余裕がある(毎月決まった金額を返済できる)状況でなければ、任意整理(私的整理)による解決は難しいといえます。

法人の私的整理では元本カットの可能性もあり得ますが、取引先の理解(事業がきちんと続けられることの証明)がなければ、債権者が元本カットに応じてくれない可能性もあります。

任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点

事業を清算することが前提であれば、取引先に知られずに自己破産することは可能

債務整理後に事業活動を行わないことを前提にすれば、取引先に知られずに自己破産することも不可能ではありません。

未払い債務や売掛金が完全に存在しない状態(事業を完全に停止した状態)で、自己破産すれば取引先を手続きに関与させる必要がないからです。

しかし、「取引先に知られなくない」と考える場合には、「債務整理後も事業を続けたい」と考えている場合が多いだろうと思います。

事業を継続しながら取引先にも知られずに債務整理するというのは、実際には簡単なことではありません。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

事業継続が前提なら取引先に早めに報告・相談した方が良い

個人事業主や中小企業が「債務整理」によって金融機関からの借入金を解決して、事業を立て直そうとするときには、「取引先」の確保・理解・協力が必須です。

「債務整理(資金繰りが悪いこと)」が取引先に知られると信用を失うと不安になる気持ちはよくわかります。

しかし、実際に事業を継続しながら、取引先に知られずに債務整理することは簡単ではありません。

事業を営んでいる人であれば、経営破綻のリスクがあることは理解できることが多いでしょう。

「債務整理を隠す」よりも、経営状況を相談し、今後の展望を説明しながら取引先に協力してもらえる関係を作ることが大切といえます。

実際にも、「特別清算」、「民事再生(個人再生)」といった「DIP型」と呼ばれる債務整理では、取引先の小口債権を優先的に弁済することも珍しくありません。

DIP型では、債務者の事業再建を前提とした処理をすることが多いため、「取引先の保護」を重視するからです。

実は、早期に債務整理することが「取引先を失わない」ことに繋がる場合もあるのです。

まとめ

サラリーマンの債務整理が取引先に知られることは、実際にはほとんどないといって良いでしょう。官報(裁判所の掲示板)の公告によって、他人の債務整理を知ることは、本当に稀なことだからです。

他方で、事業者(個人事業主や中小企業)の債務整理の場合には、取引先に内緒にしたまま債務整理することは簡単ではありません。

むしろ、経営の建て直しのためには取引先の理解を得て債務整理を行った方が良い場合が少なくありません。

事業者の債務整理は、自己破産だけではありません。

経営が完全に行き詰まる前の段階で早期に手を打てればさまざまな選択肢があります。

借金を解決して再起したいと考えている人は、1日も早く弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

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