「債務整理に必要な書類は?」
「書類はどうやって揃えれば良い?入手・作成方法を知りたい!」
あなたはこんな疑問を持っていませんか?
債務整理の必要書類は、最初にすべて揃える必要はありません。
なぜなら、弁護士や司法書士に依頼するなら、手続きしながら書類を作成してもらえるからです。
依頼者は、指示に従って資料を集めるだけで手続きを進められます。
この記事では、債務整理の必要書類が気になるあなたに向けて、以下の情報について解説します。
- 書類は全て自力で揃える必要があるのか
- 各手続きごとの必要書類
- 依頼する前に注意すべきポイント
どんな書類が必要かわかりますので、ぜひ最後までご覧ください!
Contents
債務整理書類は開始時にすべて揃える必要はない
弁護士や司法書士に債務整理を依頼するなら、書類はすべて揃える必要はありません。
最低限必要なのは、次の3つだけです。
- 印鑑
- 身分証明書
- 利用中のクレジットカードやキャッシングカード
確かに、債務整理にはさまざまな書類が必要です。
しかし、その多くは手続きを進めながら作成していけば良いですし、専門家に依頼しているなら書類の作成は代行してもらえます。必要資料があっても指示してもらえるため、複雑な書類作成の知識は必要ありません。
もちろん、自分ですべての手続きをするなら話は別です。
しかし、専門知識のない人が書類作成や債権者との交渉を進めるのは困難ですので、おすすめできません。わからないなら、素直に弁護士や司法書士に依頼すべきだと言えるでしょう。
なお、債務整理は以下3つの手続きに分けられます。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
各手続きごとに必要書類は異なりますので、それぞれ順に解説します。
任意整理に必要な書類は?入手・作成方法
任意整理は、借金の利息が免除される手続きです。
借金の元金は減らせないため、基本的にはリボ払いやカードローン等の少額、かつ高金利の借金に適しています。支払いを続けたい借金は、自由に残せるのがメリットだと言えるでしょう。
主な必要書類は以下に示す通りです。
- 身分証明書
- 印鑑
- クレジットカードやキャッシングカード
- 債権者一覧表
- 収入関係書類
- 給与明細、源泉徴収表
- 借入れ時の契約書
- 借入先の一覧
- 利用明細や借金返済時の領収書
- 返済額や借入残高が分かる資料
- 金融業者からの郵便物
クレジットカードや債権者一覧表について、より詳しく解説します。
1. クレジットカードやキャッシュカード
債務整理の際は、利用中のクレジットカードやキャッシュカードが必要です。
債務整理が始まると、新たな借入はできなくなるため、あらかじめ弁護士や司法書士に預けなければなりません。手続き後は、貸金業者やクレジットカード会社に返還されます。
なお、債務整理手続きを行うと例外なく信用情報に「事故情報」が登録されるため、新しい借入やカードの利用はできません。
2. 債権者一覧表
債権者一覧表とは、現在の取引履歴を示したものです。
お金を借りている業者の社名、借入残高や返済した額、そして取引開始日などを記載します。
詳しい情報がわからない場合、業者に問い合わせしたり、請求書類やネット上の履歴を見たりして確認可能です。
あらかじめ作っておくと手続きがスムーズに進みますが、専門家に作成を依頼しても良いでしょう。
個人再生に必要な書類は?入手・作成方法
個人再生とは、借金を減額して残りを3年間の分割払いで支払う手続きです。
多額の借金にも対応可能ですが、手続きが複雑で費用がかかる上に、すべての借金を対象にしなければなりません。ただし、住宅ローンだけは例外として支払いを続けられます。
主な必要書類は以下に示す通りです。
- 再生手続開始申立書
- 陳述書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 清算価値算出シート
- 戸籍謄本
- 住民票
- 源泉徴収票
- 給与明細書
- 預金通帳
- 保険証券
- 解約返戻金証明書
- 退職見込み証明書
- 不動産登記簿謄本
- 車検証
- 住宅ローン契約書
- 家計収支表
一部書類について詳しく解説します。
1. 再生手続開始申立書
個人再生をするにはまず申立書を作成し、裁判所に提出する必要があります。
再生手続開始申立書には、最低限以下の項目を記入しなければなりません。
- 申立人の氏名・住所
- 再生債務者の氏名・住所
- 申立ての趣旨
- 再生手続開始原因となる事実
- 再生計画案作成方針についての申立人の意見
申立書のテンプレートは、裁判所のホームページで取得できます。
2. 陳述書
陳述書とは、個人再生に至った経緯について記載する書類です。
借金額やそこに至る前の経緯、そして現在の収入や家族関係など必要な項目は多岐にわたります。
収入についてですが、サラリーマンの場合はボーナスを含めた収入額、個人事業主の場合は事業内容や1ヶ月あたりの所得の目安を記入します。
3. 財産目録
財産目録は、現在保有している財産を全て記入する書類です。
個人再生には「清算価値保証原則」というルールがあり、最低でも自分が持っている額以上は返済する必要があるため、この書類が必要になります。
現金や預貯金、定期預金、生命保険や学資保険など解約返戻金のある保険、車、家、退職金見込みなど、財産となり得るものは漏れなく記入しなければなりません。
また、財産額を証明する書類も必要になります。
4. 清算価値算出シート
清算価値算出シートは、弁済額を決めるための書類です。
個人再生には定められている弁済価値があり、財産を持っていなくても以下の額以上は返済しなければなりません。
借金額 | 弁済額 |
100万円未満 | 借金額のすべて |
100万〜500万円 | 100万円 |
500万〜1,500万円 | 借金額の5分の1 |
1,500万〜3,000万円 | 300万円 |
3,000万〜5,000万円 | 借金額の10分の1 |
清算価値(保有財産)が指定弁済額より大きい場合、清算価値が弁済額となります。
自己破産に必要な書類は?入手・作成方法
自己破産は、すべての借金が免除される手続きです。
公共料金など一部を除き、支払い義務が一切残りませんが、差し押さえや一時的な資格制限などを受けるため、デメリットも大きくなっています。
主な必要書類は以下に示す通りです。
- 破産手続き開始及び免責許可申立書
- 陳述書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 戸籍謄本
- 住民票
- 給与明細書
- 源泉徴収票
- 建物の登記簿謄本
- 賃貸借契約書
- 預貯金通帳
- 有価証券
- 車検証
- 解約返戻金額証明書
- 保険証券
- 退職金見込み額証明書
- 家計収支表
- 給与明細・源泉徴収票
一部書類について詳しく解説します。
1. 破産手続き開始及び免責許可申立書
自己破産を申し立てるのに必要な書類です。
自己破産では、「破産手続き」をした後に「免責許可申し立て」を行い、裁判所から免責が下りて初めて借金が免除されます。
したがって、破産手続きと免責許可申し立てを同時にできるよう、この書類を裁判所に提出します。
2. 陳述書
陳述書は、自己破産に至った経緯について書く書類です。
借金額やそこに至るまでの経緯、そして現在の収入や収支に関わる事項、家族関係などについて記載します。
自己破産には「免責不許可事由」があり、正当な理由と認められなければ免責となりません。したがって、陳述書でしっかり反省している姿勢を示すことが重要です。
3. 財産目録
財産目録は、現在保有している財産を全て記入する書類です。
自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類の手続きがあり、保有している財産によってどちらになるか決まります。
- めぼしい財産がない→同時廃止
- ある程度財産がある→管財事件
自己破産で管財事件になると、財産の差し押さえを行わなければなりません。
したがって、同時廃止と管財事件のどちらになるか決めるため、そして財産をある程度把握するため、この書類が必要になります。
債務整理は弁護士・司法書士に依頼すると良い
債務整理は弁護士・司法書士に相談しましょう。
冒頭でも解説しましたが、専門家に相談すれば必要書類はほとんど作成してもらえるため、非常に楽です。実際にすべきことは、指示に従って資料を集めることくらいになります。
自力で進めて費用を抑えたい気持ちはわかりますが、きちんと専門家に依頼した方が書類作成だけでなく、手続きがスムーズに終えられますよ。
なお、多くの法律事務所は後払いや立替払いに対応しているため、お金がなくてもまずは無料相談を受けてみましょう。
債務整理手続きを依頼する前に注意したい3つのポイント
債務整理を依頼する前に、以下の3点に注意しましょう。
- 家族に協力してもらう方が良い
- 財産の譲渡や名義人変更をしない
- 借金の原因は断つ
それぞれ詳しく解説します。
1. 家族に協力してもらう方が良い
債務整理の際は、家族に相談して協力してもらいましょう。
なぜなら、必要書類などは家族に協力してもらったほうがずっと揃えるのが楽だからです。
家族に債務整理を隠したい人も多いと思います。しかし、家族に隠れて必要な書類や資料を集めるのは大変ですし、ずっと隠し通すのは簡単ではありません。
それなら勇気を出して相談し、手続きに協力してもらう方が賢明だと言えるでしょう。
2. 財産の譲渡や名義人変更をしない
手続き前に、財産の譲渡や名義人変更をしてはいけません。
なぜなら、個人再生や自己破産では、保有する財産によって続きの流れが変わってくるからです。
特に、自己破産の免責不許可事由「財産隠し」に該当すると、免責が下りなくなるリスクもありますから、安易に財産を動かすのは得策ではありません。
債務整理手続きの前は、大きな財産の譲渡・名義人変更は避けましょう。
3. 借金の原因は断つ
手続きを依頼する前に、借金の原因は断つようにしましょう。
いくら債務整理で借金が免除されても、根本的な原因を解決しなければ同じことを繰り返すだけです。
特に自己破産の場合、反省してないとみなされ免責不許可になってしまうかもしれません。
なお、ギャンブルや投資、遊興費などが原因で借金を負っている場合は、免責不許可になると言われています。しかし、実際には裁量免責が認められることがほとんどですので、きちんと反省さえしていれば問題ありません。
いずれの手続きにせよ、借金の原因をまず解決することが先決ですね。
債務整理の必要書類は手続きを進めながら揃えよう
債務整理の書類は、最初に全て揃える必要はありません。
弁護士や司法書士に依頼すれば、必要な書類は手続きを進めながら作成してもらえます。あとは指示に従って動くだけなので、複雑な書類作成を自力でやらなくても大丈夫です。
自分でやる場合はその限りではありませんが、そもそも素人が自力で手続きを進めるのは困難ですし、おすすめできません。
債務整理を依頼する前には、書類を用意する以外に以下の3点に注意しましょう。
- 家族に協力してもらう方が良い
- 財産の譲渡や名義人変更をしない
- 借金の原因は断つ
債務整理手続きは難しく感じるかもしれません。
しかし、実際には弁護士や司法書士がしっかりサポートしてくれますから、概要や手続きの流れをしっかり把握して、落ち着いて手続きを進めましょう。