「自己破産すると戸籍に残るの?」
「周りの人にバレないか心配…知られずに手続きできる?」
あなたはこんな不安を抱いていませんか?
結論として、自己破産しても戸籍に載ることはありません。
しかし、自己破産のデメリットは非常に大きいため、この記事では自己破産を含めた借金の適切な解決方法を紹介します。
借金への対処法に悩んでいるなら、ぜひ最後までご覧ください!
Contents
自己破産しても戸籍には載らない
繰り返しになりますが、自己破産しても戸籍に載ることはありません。
そもそも、日本の戸籍は戸籍法という法律に基づいて運用されており、ここに記載されるのは「家族の続柄」に関する事項です。
破産歴は家族の続柄とは関係ないため、戸籍には記載されません。
以下は、戸籍に記載される事項をまとめたものです。
- 氏名
- 出生年月日
- 戸籍に入った原因および年月日
- 実父母の氏名および実父母との続柄
- 養子であるときは養親の氏名および養親との続柄
- 夫婦については、夫または妻である旨
- 他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示
- 身分に関する事項
- その他
参考⇒ 戸籍法施行規則|e-Gov
上記からわかる通り、自己破産したり信用情報に傷がついたりしても戸籍に載ることはありません。
自己破産すると周りの人にバレる?
自己破産しても、1人暮らしなら基本的に周りの人にバレることはありません。
しかし、可能性がゼロというわけではないため、自己破産(債務整理)を考えているなら以下の3点を知っておいてください。
- 個人再生・自己破産では官報に載る
- 任意整理なら官報にも載らない
- 破産者名簿には載らないことが多い
なお、債務整理には自己破産以外にも主に任意整理、個人再生という方法もあります。これらについても同時に解説します。
(1)個人再生・自己破産では官報に載る
個人再生や自己破産を行うと、官報に氏名等が掲載されます。
官報とは、法律の制定・改正の情報や、破産を含めた裁判の内容が掲載されている、国の新聞のようなものです。
官報を通じ、債務整理がバレてしまう可能性があるかもしれません。
ただし、一般人が官報をチェックしているということはほぼないため、基本的に心配する必要はないでしょう。
任意整理・個人再生については、下記ページでそれぞれ詳しく解説しています。
参考⇒ 任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点
参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある
(2)任意整理なら官報にも載らない
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉する手続きです。
官報に掲載されることもなく、個人再生や自己破産よりも誰かに知られるリスクは低いといえます。
よって、可能なら任意整理での解決が理想的です。
ただし、任意整理で免除されるのは借金の利息部分のみ。
利息がなくなるだけでも返済はかなり楽になるのですが、借金額が多すぎる、もしくは収入がほとんどないケースでは、任意整理で解決しきれないこともあるため注意しましょう。
(3)破産者名簿には載らないことが多い
市区町村には、破産者名簿が備え付けられています。
ただ、実際には自己破産しても破産者名簿には載らないことの方が多いため、こちらもあまり心配する必要はありません。
なお、破産者名簿に載るのは次のような場合です。
- 破産手続開始決定から1ヶ月を経過しても、免責手続が係属していないとき
- 破産手続開始決定から1ヶ月を経過後に、免責許可の申立てがすべて取り下げられたとき
- 破産手続開始決定から1ヶ月を経過後に、免責が却下、もしくは棄却されたとき
- 免責不許可の決定が確定したとき
- 免責取消しの決定が確定したとき
要約すると、破産者名簿に載るのは免責を受けられない場合のみ。
仮に破産者名簿に載ったとしても、免責を受けるかその他の方法で復活すれば名簿から削除されますので安心してください。
自己破産については、下記ページで詳しく解説しています。
参考⇒ 自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?
自己破産しても戸籍には残らないが、デメリットは大きい
前述の通り、自己破産しても戸籍には載りません。
しかし、自己破産のデメリットが大きいことには変わりないため、どのような問題が生じるのか把握しておきましょう。
- 事故情報が登録される
- 差し押さえを受ける
- 一部の職業は資格制限を受ける
それぞれ詳しく解説します。
(1)事故情報が登録される
自己破産のデメリット1つ目は、事故情報が登録されることです。
自己破産を含め、債務整理の手続きを行うと信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリスト入りの状態になります。
以下は、ブラックリストに載るデメリットをまとめたものです。
- ローンが組めなくなる
- 融資を受けられなくなる
- クレジットカードが使えなくなる
自己破産後は融資の際に、審査に通り辛くなります。
カードローン等はもちろん、自動車ローンや住宅ローンなども基本的には組めなくなってしまうため、将来のライフプランに影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
また、クレジットカードの発行・更新も難しくなります。
現在使っているクレジットカードもすぐに使えなくなるわけではありませんが、更新時に使えなくなる可能性が高いです。
このように、事故情報が登録されるデメリットは非常に大きいです。
(2)差し押さえを受ける
自己破産のデメリット2つ目は、差し押さえを受けることです。
自己破産の手続きを行うと、以下の自由財産を除いた財産が差し押さえられてしまいます。
- 新得財産
- 差押禁止財産
- 99万円以下の現金
- 自由財産拡張が認められた財産
- 破産管財人が破産財団から放棄した財産
破産後に得た財産は差し押さえの対象外。さらに、生活や仕事に必要な財産や、99万円以下の現金などの財産も残すことができるため、生活ができなくなってしまうことはありません。
ただし、家や車などは自由財産に含まれないため、自己破産の際に失ってしまう可能性が高いでしょう。
(3)一部の職業は資格制限を受ける
自己破産のデメリット3つ目は、資格制限を受けることです。
自己破産手続きを開始してから免責がもらえるまでの間、以下のような職業は資格制限を受けます。
- 弁護士や司法書士、宅建主任者などの士業
- 公安委員会委員など、上級の公務員
- 商工会議所の会員
- 会社の取締役や執行役員、監査役
- 古物商の免許がいる質屋
- 証券会社員、警備員や保険会社の生命保険募集人
- その他の職業
免責をもらえれば復帰は可能ですし、資格の再取得も必要ありません。
しかし、その間仕事に従事できなくなってしまうため、職場に相談することを忘れないでください。
自己破産の際は免責不許可にならないよう注意
自己破産の申し立てを行う際は、免責不許可にならないよう注意が必要です。
統計上自己破産が認められないケースはごくわずかですが、破産法で定める「免責不許可事由」に該当する場合は、免責を得られない可能性があります。
免責不許可事由でよくある例は次の2つです。
- 借金の原因がギャンブルや遊興費
- 自己破産の手続きに非協力的
借金の原因がギャンブルや遊興費だと、自己破産できないというのはよくある話です。
しかし、実際には裁判所の判断で「裁量免責」をもらえるケースがほとんどですので、借金したことを反省して改善する姿勢を示していれば、そこまで心配する必要はありません。
むしろ、借金を負ったことを反省していない(ギャンブルを未だに続けている)など、自己破産手続きに非協力的な態度を取る方が危険だと言えるでしょう。
自分の意思でギャンブルをやめられない場合は、医師のカウンセリングや自助グループの活用を考えてみてください。
自己破産したくないからといってやってはいけないこと
自己破産を避けたいからといって、自転車操業はやってはいけません。
自転車操業とは、借金を借金で返す行為のことで、これを続けると最終的には破綻してしまう可能性が非常に高いです。
例えば、返済が間に合わないときに、消費者金融で借り入れたり、クレジットカードを現金化したりして返済するのがこれに当たります。
借金を滞納していても、結局は事故情報が登録されてしまいます。
債務整理を行うと事故情報が登録されますが、完済から一定期間(5〜10年間)で解除されるため、早めに手続きを行ったほうが結果的に復帰は早くなるでしょう。
債務整理の際は弁護士・司法書士に相談する
債務整理を行う際は、必ず弁護士・司法書士に相談しましょう。
自己破産などの手続きには多くの書類が必要になり、多大な労力が必要になります。借金で首が回らなくなっている状態で、この手続きを進めるのは非常に困難だと言えるでしょう。
専門家に依頼すれば、面倒な手続きは一任できます。
さらに、弁護士・司法書士に債務整理を依頼した時点で債権者からの督促も止まるため、精神的にもグッと楽になりますよ。
弁護士費用が用意できなくても、後払いや分割払いに対応してくれる法律事務所もたくさんあるため、諦める必要はありません。
まとめ
自己破産を行っても、戸籍に登録されることはありません。
官報には名前が載ってしまいますが、そもそも一般人が官報を見ている可能性は非常に低く、破産者名簿に載ることも稀です。
よって、自己破産したからといって周囲の人にバレてしまう可能性は低いと考えて良いでしょう。
それよりも問題なのは、借金を放置することです。
借金を放置すると遅延損害金が膨れ上がりますし、債権者からの督促で周りの人にバレてしまうリスクも高まります。それに、滞納を続ければ結局は事故情報が登録されてしまいます。
自力で返済できないとわかった時点で、早めに弁護士・司法書士に相談して債務整理の手続きを進めてください。