「自己破産後にパスポートって作れるの?」
「破産するとパスポートは没収される?」
「もう海外へ行けなくなる?」
こんな疑問を抱いていないでしょうか?
自己破産を考えているものの、パスポートの取得や海外旅行の可否について気になる人もいると思います。
結論からお伝えすると、自己破産後でもパスポートの取得はできますし、手続きさえ終われば海外へ行くことも可能です。
この記事では、自己破産後のパスポートや海外渡航が気になる人に向けて、以下の内容をまとめました。
- 自己破産してもパスポートは作成できるのか
- 自己破産後に海外へ行けるのか
- 自己破産後に海外へ行くときの注意点
この記事を読めば、法律の知識がない人でも、自己破産後のパスポートや海外渡航の制限についてわかります。
借金は放置すればするほど深刻になります。
自力で返済できない借金があるなら、すぐに弁護士・司法書士へ相談しましょう。
Contents
自己破産してもパスポートは取得できる!
結論からお伝えすると、自己破産してもパスポートは作成できます。
パスポートが作成できないのは、次のような人です。
- 海外で入国拒否、退去命令、処罰を受けたことがある人
- 現在起訴されていて、判決確定前の人
- 仮釈放、執行停止、執行猶予の処分を受けている人
- 旅券法違反で有罪になったことがある人
- パスポートを偽装して有罪になったことがある人
- 国の援助等を必要とする、領事官の職務等に関する法律を適用され帰国したことがある人
破産者は上記のいずれにも当てはまりません。
つまり、自己破産の手続き中・手続き後に関わらず、パスポートの作成は自由に行えます。
自己破産すると海外へ行けない?
自己破産してもパスポートの作成は問題なく行えます。
しかし、海外へ行くのは難しい場合があるので注意しましょう。
自己破産後に海外へ行きたい人が、知っておきたいポイントは以下の3つです。
- 手続き中は海外へ行けない場合もある
- 裁判所の許可があれば海外へ行くことができる
- 免責許可後は自由に海外へ行けるようになる
それぞれ順番に見ていきましょう。
手続き中は海外へ行けない場合もある
自己破産の手続き中は、海外へ行けない場合があるので注意が必要です。
まず、自己破産には以下の2種類があります。
- 管財事件(保有財産が20万円以上の場合)
- 同時廃止事件(保有財産が20万円未満の場合)
同時廃止事件の場合は居住に制限がありません。
しかし、管財事件になると居住地を離れるには裁判所の許可が必要になります。
破産者は、その申し立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。
前項の申し立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。
引用:破産法
要するに、破産手続き開始時に財産を20万円以上持っていると「管財事件」となり、自由に海外へ行くことはできなくなります。
裁判所の許可があれば海外へ行くことができる
自己破産の手続き中でも、裁判所の許可があれば海外へ行くことができます。
管財事件となった場合は、基本的に居住地を離れることはできません。
しかし、出張や家庭の事情などで海外へ行く必要がある場合、裁判所からの許可が降りることもあります。
破産手続き中は自由に海外へ行くことはできませんが、特別な事情がある場合はその限りではありません。
免責許可後は自由に海外へ行けるようになる
免責許可後は、再び自由に海外へ行けるようになります。
同時廃止事件、管財事件のいずれの場合でも、免責許可後に海外への移住が制限されることはありません。
自己破産後に海外へ行きたい人は、基本的には免責許可が下りるのを待ってからになるでしょう。
ただし破産後に海外へ行こうとする場合、いくつか注意点があるので、こちらも引き続き解説していきます。
自己破産後に海外へ行くときの3つの注意点
自己破産後に海外へ行く場合の注意点は、以下の3つです。
- 自己破産の手続きは時間がかかる
- クレジットカードが使えなくなる可能性が高い
- 債権者にバレないようにする
それぞれ順番に見ていきましょう。
自己破産の手続きは時間がかかる
注意点の1つ目は、自己破産の手続きには時間がかかることです。
同時廃止事件であれば、申し立てと同時に手続きが完了します。
しかし管財事件の場合だと、破産手続き開始から免責許可が決定するまで、およそ3〜6ヶ月ほどかかります。
この間は裁判所の許可をもらわない限り、自由に海外へ行けません。
20万円以上の財産を保有していて管財事件になる場合、手続き完了までに時間がかかることを覚えておきましょう。
クレジットカードが使えなくなる可能性が高い
注意点の2つ目は、クレジットカードが使えなくなる可能性が高いことです。
自己破産を行うと個人の信用情報に「事故情報」が登録され、5〜10年間はクレジットカードの新規発行、更新ができなくなります。
自己破産の対象にしていないカードは継続して使用できますが、それも更新時期が来ると使えなくなる可能性が高いでしょう。
クレジットカードの代替手段となるものは次の3つです。
- デビットカード
- 家族カード
- プリペイドカード
海外へ行く際にカードがないと不便なので、これらの代替策を用意しておくことをおすすめします。
債権者にバレないようにする
注意点の3つ目は、債権者にバレないようにすることです。
借金の返済ができないのに海外へ行こうとしていることが発覚すれば、少なからず悪い印象を与えてしまうでしょう。
特に、任意整理の場合は債権者と交渉する必要があります。
このような状態で悪い印象を抱かれると、条件を承諾してもらえなかったり、任意整理に応じてくれなくなったりするリスクもあるのです。
トラブルを避けるためにも、手続き中はパスポートの取得も避けたほうが良いでしょう。
なお、任意整理については下記ページで詳しく解説しています。
参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点
まとめ
自己破産をしてもパスポートの発行ができなくなることはありません。
しかし、自己破産の手続き中は自由に海外へ行けなくなる可能性があるので、こちらは注意が必要になります。
自己破産後に海外へ行く場合の注意点は、次の3つです。
- 自己破産の手続きは時間がかかる
- クレジットカードが使えなくなる可能性が高い
- 債権者にバレないようにする
借金問題は早めに解決することが重要です。
自己破産後でもパスポートの作成はできますし、どうしても必要な場合は海外へ行くことも認められます。
自力で返済できない借金がある人は、少しでも早く弁護士・司法書士に相談して解決を図りましょう。