不動産業界で働く人の債務整理7つのポイントと注意点

不動産に関する仕事は、生活にかかせない「住まい」に直結する重要な仕事です。

それ故に、不動産に関する業務を行うには、「資格」が必要となることが少なくありません。

たとえば「宅地建物取引士」は、人気資格としてもよく知られています。

ところで、不動産は、「特に重要な財産」なので、債務整理すると資格に大きな不利益が生じるのではないかと心配する方も多いでしょう。

たしかに、本文でもお話するように、不動産に関わる資格の多くは、「自己破産」すると資格の制限をうけます。

しかし、借金の問題は、早期に対応すれば、自己破産せずに、仕事にほとんど影響を与えずに解決できます。

この記事では、不動産業界で働く人が債務整理する際の6つのポイントについて、説明していきます。

また、『借金返済の為に、他の金融機関からもお金を借りている。』

『1年以上、借金の元金が減っていない。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。

法律事務所は匿名で利用できる、無料シミュレーションサイトの利用が便利です。

それでは解説をしていきます。

自己破産した場合の資格制限に注意

不動産業界で働いている人は、「自己破産すると資格制限の影響を受ける」可能性が高いことに注意が必要です。

不動産業界に関係する資格のうち、自己破産すると制限を受けるものは、下記のとおりです。

資格免許
宅地建物取引士宅地建物取引業
管理業務主任(マンション)マンション管理業
不動産鑑定士(補)不動産鑑定業者
土地家屋調査士測量会社
建築士事務所開設者

なお、測量士は、自己破産しても欠格事由になりませんが、「破産者で免責を得ない者」からの測量業の登録申請は認められません(測量法55条の6)。

資格と免許に対する制限が同じではないので注意が必要です。

自己破産しても資格は剥奪されない

それぞれの資格制限の根拠法と制限の内容は下の表のとおりです。

資格をもって働く人の中には、「自己破産したら資格がなくなる」と勘違いしている方は少なくないようです。

しかし、自己破産で「資格が剥奪」されることはありません。

資格根拠法制限内容
宅地建物取引士宅地建物取引業法18条1項3号・68条の2登録拒否・登録消除
管理業務主任マンションの管理の適正化の推進に関する法律59条1項1号・65条1項1号登録拒否・登録取消し
不動産鑑定士(補)不動産の鑑定評価に関する法律16条、19条、20条欠格事由・登録消除
土地家屋調査士土地家屋調査士法5条欠格事由・登録取消し

法律上の用語は多少異なりますが、資格制限の内容は、「新規登録の拒否」と「登録の消除・取消し」ということです。

つまり、自己破産による資格制限が解ければ、再登録することは可能ということです。

どの時点で再登録できるのか?

自己破産による資格制限は、「復権」により解除されます。

たとえば、宅地建物取引業法(宅建法)18条1項3号は、「破産者で復権を得ないもの」は、宅地建物取引士の登録を受けられないと規定しています。

つまり、「復権」を受ければ、資格制限は解除されるということです。

自己破産後に「復権」を得るには、次の方法があります。

免責許可が確定したとき

債権者の同意による破産手続きの廃止

個人再生の再生計画認可決定

破産手続き開始から10年が経過したとき

すべての債務がなくなったとき

このうち最も重要なのが免責確定による復権です。

その他の復権方法は、自己破産した際に免責を得られなかった場合の復権方法です(同意による破産廃止は個人の自己破産ではありません)。

職業制限と債務整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理と職業制限~自己破産をするとクビや仕事への影響がある?

早期に免責を得るためには弁護士への依頼が必須

免責を早く得るためには、「弁護士への依頼」が必須です。

破産の手続きは、申立てから破産手続き開始決定まで1ヶ月程度かかります。

しかし、東京地方裁判所をはじめとするいくつかの裁判所では、即日面接の運用があります。

即日面接であれば、最短で申立て当日に破産手続き開始決定が下されます。

この即日面接を受けるためには、弁護士代理人による破産申立てが必須です。

また、同時廃止や少額管財といった簡易な方法で破産手続きを進める際にも、弁護士への依頼が必須です。

同時廃止であれば、自己破産の申立てから4~6ヶ月程度、少額管財では6~8ヶ月程度で免責を得ることができます。

他方で、最も厳格な管財手続きとなった場合には、免責まで1年以上かかることも少なくありません。

財産がなく同時廃止とすることが適当な案件でも、免責不許可が疑われるときには管財手続きとされます。

自己破産を検討する際には、早めに弁護士に相談の上、指示に必ず従うようにしてください。

なお、実際の案件で免責までかかる期間は、資産や債務の状況や裁判所の運用などでかなり前後します。

不安なことは、お住まいの地域の弁護士に必ず確認してください。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

お勤めの場合には事前に会社への報告・相談が必須

不動産関係の業務には、資格が必須というものが少なくありません。

たとえば、不動産取引に欠かすことのできない「顧客への重要事項説明」は、「宅地建物取引士」の登録がなければ行えません。

また、マンション管理組合に管理委託契約についての重要事項説明や管理事務報告を行うにも、「管理業務主任者」の登録が必要です。
これらの資格を前提にお勤めされている方の場合には、勤め先への報告と相談は必須といえます。

勤務先の事情によっては、新規雇用や人事異動であなたの代わりとなる資格者を手配する必要が生じることもあるので、早期の対応が重要です。

破産手続き開始決定の前に、必要な業務を引き継ぎだけでなく、配置転換・休職等の相談をしておくべきでしょう。

勤め先の対応次第によっては、退職・転職を検討する必要もあるかもしれません。

事業者の場合も対応が必要

個人や法人で不動産関係業務を営んでいる方が自己破産した場合も多くの対応が必要となります。

まず、「法人の代表者」が自己破産した場合には、代表者(役員)を退任する必要があります。

株式会社の取締役は、自己破産すると会社との委任契約が解除される(民法)ので、取締役を退任する必要があります。

持分会社(合同会社など)の場合には、社員の自己破産は法定退社事由となります。

ところで、一般の会社であれば、復権前に取締役に再任されても、法律上は問題がありません。

しかし、不動産業の場合には、事業免許との関係で、復権前は取締役になれないことがあります。

たとえば、宅地建物取引業では、「復権前の破産者」は、宅地建物取引業者の下記の要職に就くことができません。

法人の役員(顧問・相談役・取締役等名称を問いません)

専従の宅地建物取引士

政令で定める使用人(支店長・営業所所長など)

また、宅地建物取引業者では、1つの事務所において業務に従事する者5名につき1名以上の『専任の宅地建物取引士』を設置」しなければなりません。

参考⇒宅地建物取引業法31条の3第1項、宅地建物取引業法施行規則15条の5の3|e-GOV

宅地建物取引士の自己破産等によって、専任の宅地建物取引士が不足した場合には、2週間以内に必要な措置を執る必要があります(宅地建物取引業法31条の3第1項)。

したがって、自己破産しなければならないときには、下記のような対応をとる必要があります。

破産手続き開始決定が差し迫ってからでは、対応が間に合わないこともあるので、余裕を持って対応することが大切でしょう。

宅地建物取引士の退任(就任)の届出

代表者交代の届出

法人役員退任(新任)の届出

使用人退任(就任)の届け出

廃業の届出

従たる事務所の廃止の届出

個人再生や任意整理なら資格制限は生じない

債務整理の方法は、自己破産のほかにも、「任意整理」、「個人再生」という方法があります。

「任意整理」や「個人再生」では、資格制限は発生しません。

任意整理では利息が免除される

任意整理は、債権者である金融機関と個別に次の内容で債務整理の交渉をします。

今後発生する利息の免除

分割払いのやり直し(5年前後の分割返済が目安)

ここでは、アイフルとプロミスから40万円ずつ合計80万円の借金があるケースで説明します。

この場合、約定通りの返済(最低返済額)であれば、2社合計で毎月22,000円ほどの返済が多いと思います。

そのうちの約半分ほどが利息の支払いに充当されています(残債務に応じて異なります)。

仮に、両社と残債務40万円を5年で分割返済する任意整理が成立すれば、毎月の返済額は、約14,000円まで圧縮することが可能です。
任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒任意整理のメリットとデメリット~債務整理で1番多い手続きの注意点

個人再生では「借金」を減免してもらえる

借金が多額なときには、任意整理で利息を免除してもらっただけでは返済できない場合があります。

この場合には、「個人再生」を申し立てて「借金」を減免してもらいます。

たとえば、200万円の借金は、個人再生を利用すると100万円まで減額される可能性があります。

この100万円を原則3年で返済するので、毎月あたり28,000円の返済となります。

消費者金融等から200万円借りているケースでは、毎月の返済額が4万円を超えていることが少なくありません。

毎月の返済が1万円以上圧縮できれば、返済はかなり楽になります。

また、住宅ローンが残っている場合には、住宅ローン特則を適用することで、「自宅を手放さず」に消費者金融やカード会社からの借金を解決することも可能です。

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

早期対応が何よりも大切

不動産業界で働く人の場合には、自己破産すれば、職を失う可能性が低くありません。

自己破産を「解雇理由」として就業規則に定めている勤め先もあるでしょう。

しかし、任意整理や個人再生であれば、保有資格や登録免許に影響を与えることなく、借金の問題を解決することが可能です。

つまりは、全額を返済できなくても、一定額を返済できるのであれば、仕事に影響なく借金を解決できるということです。

「資格を失う」、「職を失う」ことが不安で債務整理の着手が遅れてしまうというケースも少なくありません。

借金の返済に行き詰まったときには、できるだけ早く、弁護士・司法書士にご相談ください。

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