「自己破産すると旅行に行けなくなる?」
「手続き中でも旅行はできるの?詳しく知りたいなぁ…」
あなたはこんな疑問を持っていませんか?
結論から言うと、自己破産しても旅行に行くことは可能です。
しかし、場合によっては難しかったり、旅行へ行くことは望ましくなかったりする場合もあるでしょう。
この記事では、自己破産後の旅行に関して不安を抱いているあなたのために、次の内容をまとめました。
- 自己破産と旅行について
- 自己破産後の旅行に関する注意点
- 借金の解決方法
ぜひ最後までご覧ください!
Contents
自己破産しても旅行に行ける?
結論をお伝えすると、自己破産しても旅行に行けなくなるわけではありません。
しかし、手続きの進捗によっては難しい場合もあるため、自己破産の前と後、そして手続き中のそれぞれのケースに分けて解説していきます。
(1)手続き前
自己破産を申し立てる前の旅行は自由です。
しかし、自己破産手続きの際は借金してしまった原因について聞かれますから、旅行に行っていると手続きで不利になる可能性があります。
なぜなら、お金がないといって債務整理しているにもかかわらず、旅行に行っていることがわかれば債権者に悪い印象を与えてしまうからです。裁判所からも、本当に免責を与えるべきなのか疑われてしまうでしょう。
それに、自己破産手続きには弁護士との連携が必要になるため、不必要な旅行は避けたほうが無難です。
(2)手続き中
自己破産の手続き中は、旅行に行けない場合もあります。
そもそも、自己破産手続きには以下の2通りがあるため、それぞれのケースについて解説します。
- 同時廃止
- 管財事件
①同時廃止
同時廃止となった場合は、すぐに旅行に行くことが可能です。
そもそも同時廃止とは、破産者に財産がないために申し立てと同時に破産手続きが終了する場合のことを言います。
後述の管財事件と違い、財産を処分する手間がないためすぐに手続きが終了するというわけですね。
ただし、同時廃止の際は必ず「免責審尋」が行われます。
これに欠席すると免責不許可事由となる可能性があり、自己破産が認められないことがありますので注意してください。
②管財事件
管財事件の場合、裁判所の許可なしでは旅行ができなくなります。
管財事件とは、破産者に財産がある場合に財産の調査や処分、債権者への配当が行われる手続きのこと。
以下は、管財事件になる条件をより詳しくまとめたものです。
- 破産者に20万円を超える財産があるとき
- 破産者に財産隠しが疑われる場合
- 過払い金の有無を調査する必要がある場合
- 偏頗弁済が疑われるとき
- 破産申立て前に債権者から差押えをされている場合
- 上記のほか免責不許可事由の存在が疑われるとき
- 破産者の自由財産を拡張する場合
管財事件になると、手続き終了までに半年以上かかる可能性もあります。
なお、管財事件になっても出張や家庭事情など、やむを得ない理由で旅行に行く場合は認められるケースもあります。
(3)手続き後
自己破産で免責を受けられれば、自由に旅行できるようになります。
しかし、そもそも自己破産してしまった原因は支出管理ができていないことにありますから、収支を見直し、自己破産に至るまで借金を積み重ねてしまった過去の行動を反省すべきです。
そうしないと、また借金を繰り返してしまう可能性があるでしょう。
なお、自己破産後の旅行にはいくつか注意点もあります。次項にも必ず目を通しておいてください。
自己破産後と旅行に関する4つのポイント
自己破産後に旅行に行くことを考えているなら、次の4点に注意が必要です。
- 車は処分される可能性が高い
- 旅行のための借入も厳しくなる
- クレジットカードが使えなくなる
- カードの旅行保険も利用できない
それぞれもう少し詳しく解説します。
(1)車は処分される可能性が高い
前述の通り、管財事件になると財産の差押えを受けます。
その場合、以下の「自由財産」を除く財産は処分されるため、自家用車での旅行はできなくなってしまうでしょう。
- 差押え禁止財産
- 自由財産(99万円以内の現金)
- 自己破産後に新たに得た財産
- 破産管財人によって放棄された財産
- 自由拡張財産
自己破産しても、生活や仕事に必要な財産や99万円以下の現金、そして20万円以下の財産は手元に残りますから、生活できなくなることはありません。
自己破産後に車で旅行に行くことを考えているなら、中古の安い車を購入するか、レンタカーやカーシェアリング等のサービスを利用すると良いでしょう。
(2)旅行のための借入も厳しくなる
自己破産後は、借入によって旅行資金を調達するのは難しくなります。
なぜなら、自己破産等の債務整理手続きを行うと、あなたの信用情報に「事故情報」が登録されるからです。一般的にはブラックリストとも呼ばれていますね。
ブラックリストに載るということは、過去に金融事故を起こしたという履歴を表しているため、どうしても審査が厳しくなってしまうのです。
自己破産後に旅行の資金調達をする場合は、身内に借りたり配偶者名義で借り入れしたりすることになるでしょう。
(3)クレジットカードが使えなくなる
自己破産後は、高確率でクレジットカードが使えなくなります。
ブラックリストに載っていると、カードの新規発行は難しくなりますし、現在使っているカードも更新時の審査で落とされてしまう可能性が高いでしょう。
特に海外旅行の場合はクレジットカードがないと不便ですから、デビットカードを用意しておくことをおすすめします。
デビットカードは、使った分だけすぐ銀行口座から引き落とされるカードで、クレジットカードと違って自己破産後でも問題なく作成できます。
また、アメックスに代表される外資系のカード会社は、過去の信用情報より現在の経済状況を重視しますから、場合によってはカードの審査を通してくれる可能性もなきにしもあらずです。
(4)カードの旅行保険も利用できない
自己破産後にクレジットカードが利用できなくなった場合、旅行保険も使えなくなりますので注意してください。
クレジットカードの中には、旅行先での盗難や病気、ケガなどを保証してくれるものもありますが、カードが利用停止になるとこのサービスは受けられません。
自己破産によってクレジットカードが使えなくなってしまった場合は、自前で海外旅行保険に入る必要があります。
自己破産を申し立てる前に知っておきたいこと
借金の解決方法は、自己破産だけではありません。
慌てて自己破産を申し立てる前に、以下の4点については必ず知っておいてください。
- 自己破産以外の方法もある
- 任意整理なら裁判所を通す必要がない
- 個人再生の場合は注意が必要
- 支払いには絶対に遅れてはならない
それぞれ詳しく解説します。
(1)自己破産以外の方法もある
債務整理には、自己破産を含め主に3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
それぞれの違いは、借金の免除範囲とデメリットです。
自己破産の場合は借金が全額免除されますが、任意整理の場合は利息部分のみ、個人再生の場合は元本の一部が免除されます。
その代わり、自己破産と違って差押えを受けることはありません。
それぞれの方法については、下記の記事を参考にしてください。
参考⇒ 任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点
参考⇒ 個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある
参考⇒ 自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?
(2)任意整理なら裁判所を通す必要がない
任意整理は、唯一裁判所を通さない手続きです。
あくまで債権者との交渉となるため、どのような出費をしているかバレることはなく、旅行に行っても特に問題はありません。
ただし、自己破産の場合と同じく弁護士や司法書士とはスムーズに連絡が取れるようにしておきましょう。
(3)個人再生の場合は注意が必要
個人再生の手続き中に旅行に行く際は、注意が必要です。
任意整理と違って裁判所を介する手続きですから、個人資産や支出が確認されることがあり、旅行で出費していることがわかれば手続きに悪影響を及ぼす可能性もあります。
個人再生の手続き中は、旅行に行くのは避けたほうが無難です。
(4)支払いには絶対に遅れてはならない
任意整理や個人再生を行う際は、絶対に支払いに遅れないようにしましょう。
これらの債務整理方法では、手続き後も借金を返済していく必要があります。もし返済が遅れてしまうと、残りの借金を一括請求されたり、弁護士や司法書士が辞退したりするリスクが生じます。
よって、旅行に行ったことによって支払いが厳しくなるようであれば、間違いなく行くべきではありません。
あくまで、借金の返済を最優先にしてください。
まとめ
自己破産をしても、旅行に行けなくなるわけではありません。
しかし、あなたの手元に差押えの対象となる財産があれば管財事件となり、一時的な移動制限を受けることもあります。
そうでなくても、お金がないといって債務整理を申し立てている人が呑気に旅行をしているとわかれば、債権者に悪い印象を与えてしまいかねません。
最後に、自己破産後に旅行に行く際の注意点についておさらいしておきましょう。
- 車は処分される可能性が高い
- 旅行のための借入も厳しくなる
- クレジットカードが使えなくなる
- カードの旅行保険も利用できない
自力で返済できない借金は、早めに債務整理すべきです。
放置していると遅延損害金が膨らんでしまいますし、督促によって精神的にも追い込まれてしまいます。
今、債務整理するかどうか悩んでいるのであれば、1日も早く弁護士・司法書士に相談してください!