旅行業務取扱管理者が債務整理をする前の注意点と方法

「旅行業務取扱管理者」とは、旅行業法に定められている資格。

旅行業者(旅行業者代理業者)の営業所において、顧客に旅行商品を販売する責任者となるために必要です。

2005年に旅行業法が改正される前は、「旅行業取扱主任者」と呼ばれていました。

旅行業者は、顧客から多額のお金を受領することも少なくない職業です。

ま顧客のイメージ(信用)も重要視される職場といえるでしょう。

そのため、借金を抱えていることや、債務整理したことが「勤務先に知られる」のは「絶対に困る」と考えていると人も多いと思います。

実際にも、旅行業務取扱管理者として選任されている人が自己破産すれば、勤務先に迷惑をかけてしまうこともあります。

そこで、今回は、旅行業務取扱管理者の資格を持っている人が債務整理する際の注意点について解説します。

また、『今の会社の給料では返済が厳しいことは分かっているけど、放置してしまっている。』

『1年以上借金の残高が減っていないもしくは増えている。』

このような状態の方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

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それでは解説をしていきます。

旅行業登録と自己破産

旅行業取扱管理者の資格を持っている人には、自営で旅行業(旅行代理業)を営んでいる人もいるかと思います。

旅行業・旅行業者代理業を営むためには、観光庁長官の登録を受ける必要があります(旅行業法3条)。

破産者であることは、旅行業登録の欠格事由となります(旅行業法6条1項6号)。

したがって、自己破産した人は、復権するまでの間は登録の申請をすることができません。

また、すでに旅行業(旅行業者代理業)の登録をしている場合でも、自己破産したことで登録が取消になることがあります。

旅行業法19条1項2号は、旅行業者等が自己破産したときには、観光庁長官は6ヶ月以内の期間を定めて「業務の全部もしくは一部の停止を命じ、又は取り消すことができる」と定めています。

旅行業取扱管理者資格と自己破産

旅行業取扱管理者の資格は、自己破産しても剥奪されることはありません。

また、自己破産した人が復権前に、旅行業務取扱管理者資格試験を受験することも問題ありません。

しかし、勤務している旅行業者(旅行業代理業者)の営業所における旅行業務取扱管理者として選任されているときには注意が必要です。

旅行業務取扱管理者は、自己破産すると「選任要件」を満たさなくなる

旅行業者(旅行業者代理業者)が営業を行うためには、営業所ごとに1人以上の旅行業取扱管理者を選任する必要があります(旅行業法11条の2第1項)。

営業所として選任する旅行業務取扱管理者は、「旅行業者としての欠格事由に該当しない者」である必要があります(旅行業法11条の2第6項)。
引用参考:旅行業登録制度・主な手続きについて|大阪府

したがって、「破産手続き開始決定を受けて復権しない者」は、営業所における旅行業務取扱管理者として選任されることができません。

すでに選任されている旅行業務取扱管理者が自己破産した場合

すでに勤務先(旅行業者・旅行業代理業者)から「営業所の旅行業務取扱管理者」として選任されている人が自己破産するときには、勤務先への相談・報告が必須です。

旅行業法は、「その営業所のその営業所の旅行業務取扱管理者として選任した者の全てが第6条第1項第1号から第6号までのいずれかに該当し」たときには、「その営業所において旅行業務に関する契約を締結してはならない」と定めているからです(旅行業法11条の2第2項)

参考⇒旅行業法|e-GOV

特に、小規模の営業所では、旅行業務取扱管理者として選任されている者が1人しかいないことも考えられます。

この場合に、選任されている旅行業務取扱管理者が自己破産すると、代わりの旅行業務取扱管理者を選任しない限り、顧客との契約締結ができなくなってしまいます。

なお、営業所に複数人の旅行業務取扱管理者が選任されているときは、そのうちの1人が自己破産しても、営業所の業務に影響はありません。

しかし、会社との関係を考えたときには、事前に相談・報告しておいた方が賢明でしょう。

自己破産しなければならなくなったことよりも、「自己破産することを報告・相談しなかった」ことの方が、懲戒などの理由となり得るからです。

自己破産以外の債務整理であれば資格に影響はありません。

借金が原因で「職務遂行」に問題が生じれば、懲戒・解雇の理由となる

旅行業取扱管理者選任されていた人が自己破産すると、復権するまでの間、選任の要件を満たさなくなる(旅行業法11条の2第6項)ので、注意が必要です。

この場合には、勤務先への事前の相談・報告が必須といえます。

なお、旅行業務取扱管理者の資格それ自体は、自己破産しても失うことはありません。

旅行業届出に関して選任管理者とされていない限り、自己破産しても職務遂行に影響することもありません。

引用参考⇒旅行業法|e-GOV

「自己破産(債務整理)したことが勤務先に知られるとクビになる」と不安に感じている人は少なくないようです。

旅行業者は、顧客から多額の現金を預かることもある仕事なので、余計に心配になると思います。

「自己破産で懲戒免職することはできない」のが原則

「自己破産(債務整理)した」、「多額の借金がある」という理由だけで、懲戒免職することはできないというのが、法律(労働契約法)の基本的な立場です。

しかし、多額の借金があることが原因で「業務に支障がでた」、「勤務先に多大な迷惑をかけた」場合には、こちらが懲戒免職や、減給・降格の理由となる場合があります。

たとえば、借金返済のために、「顧客からの預かり金に手を出した」というケースは、業務上横領などを問われかねない犯罪行為です。

犯罪行為までいかなくとも、借金返済のために、「無断欠勤して金策した」、「就業規則で禁止されている副業をした」ということが、勤務先に知られれば懲戒の理由となるでしょう。

また、ヤミ金などに手を出してしまったために、「ヤミ金業者が営業所に何度も取立ての電話をかけてきて業務に支障がでた」場合にも懲戒の理由となる可能性が高いです。

参考記事⇒闇金の借金は債務整理できる?弁護士や警察に相談をする前の注意点

就業規則を確認しましょう

自己破産(債務整理)が解雇事由となる場合には、必ず就業規則に定めがあるはずです。

旅行業者の場合には、顧客から多額の現金を預かる場合があることや、旅行業務取扱管理者の選任要件との関係で、「自己破産が解雇事由として定められている」場合がないとはいいきれません。

心配な方は、勤務先の就業規則を確認しましょう。

就業規則上の解雇事由として「自己破産」が定められていないときには、自己破産だけを理由に解雇されることはありません。

自己破産以外の債務整理の方法

債務整理は自己破産以外にも方法があります。

自己破産以外の債務整理であれば、旅行業者旅行の欠格事由にも、業務取扱管理者の選任要件にも関係ありません。

現在の支払い額を減れば「毎月延滞せずに返済を続けられる」のであれば、自己破産以外の債務整理で借金を解決することができます。

利息の負担が苦しい人は任意整理で解決

任意整理は、最も簡易な債務整理の方法です。

任意整理は裁判所を用いずに、債権者と直接「返済条件を見直す交渉」をします。

通常は、今後発生する利息を免除してもらった上で、残金を3年から5年の分割で返済させてもらうように交渉します。

あまり意識していない人も少なくないようですが、消費者金融や銀行カードローンで毎月発生する利息の額は馬鹿にできません。

たとえば、アコムから年18%で50万借りているときに発生する利息は、1ヶ月7,500円です。

この場合の一般的な毎月の返済額は13,000円なので、支払いの半分以上が利息で消えてしまいます。

任意整理で将来の利息が免除されれば、返済した額だけ借金は必ず減っていきます。

また、返済回数を伸ばすことができれば、毎月の支払額もかなり減らすことも期待できます。

任意整理なら勤務先に知られる心配はいらない

任意整理は、債権者と直接交渉する方法で行います。

弁護士・司法書士に依頼していれれば、すべての交渉を弁護士・司法書士がやってくれるので、債務者本人が債権者と会うこともありません。

また、弁護士・司法書士債務整理を依頼すると、債権者は、債務者本人(やその勤務先・家族)に連絡することもできません。

また、任意整理であれば、勤務先とつながりのある借金を除外して行うことも可能です。

したがって、任意整理なら、勤務先に債務整理したことを知られる心配はほとんどありません。

任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点

借金が多額なとき、住宅ローンが残っているときには「個人再生」

多額な借金を抱えているときには、利息の免除だけでは返済できない場合もあります。

裁判所に個人再生を申し立てれば、借金の一部を減額してもらえる可能性があります。

個人再生をすると、債務者の財産状況により借金が1/5(もしくは1/10)まで減額されることがあります。

たとえば、高価な財産をもっていない人であれば、500万円の借金は、100万円まで減額されます。

個人再生では、減額された借金を3年で返済するので、毎月の返済額は、27,000円となります。

消費者金融や銀行カードローンからの借金が500万円になっているときには、毎月の支払額が10万円を超えていることも珍しくありませんから大幅に負担が減ります。

また、住宅ローンを抱えているときにも、個人再生は便利な手続きです。

消費者金融などの借金が原因で住宅ローンに延滞があるときでも、「住宅ローン特則」付き個人再生を申し立てれば、失った期限の利益の回復や、すでに申し立てられた競売の停止などが可能となることがあります。

「個人再生」には官報掲載がある

旅行業務取扱管理者が個人再生する際には、官報掲載があることに注意が必要です。

個人再生を利用すると自己破産の場合と同様に、氏名・住所などが官報に掲載されます。

旅行業者の場合には、選任した旅行業務取扱管理者が自己破産すると営業所での業務に支障が出ることから、勤務先が定期的に官報を確認している可能性がないとはいえません。

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

「旅行業務取扱管理者の債務整理」のまとめ

旅行業務取扱管理者が自己破産すると勤務先に大きな迷惑をかけてしまう場合もあります。

営業所に1人しかいない旅行業務取扱管理者に欠格事由が生じると営業所が顧客との契約を締結できなくなってしまうからです。

したがって、営業所の旅行業務取扱管理者として選任されている人は自己破産以外の債務整理で借金を解決する必要があります。

任意整理(や個人再生)は、借金の額が多すぎると効果がない場合があります。

借金の問題は他人に相談しづらいため、借金を膨らませがちです。

「まわし」の状況に陥っていたり、ヤミ金に手を出してしまってからでは、手遅れということもあります。

借金の返済が苦しいと感じたときには、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。

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