小銭

借金を重ねて首が回らず、もうこれ以上返せないことに気付いた時、このような考えが頭をよぎったことはないでしょうか。

なんとか借りたお金を返さないで済む方法はないものか。
借金を踏み倒したら一体どうなるのか?
なんとかして逃げられる方法はないだろうか、と・・。

当記事では、そんな限界ギリギリの状況に置かれているあなたのために、借りたお金を返さないのは罪になるのかという疑問にお答えいたします。

また、もしあなたがすでに

『複数の消費者金融やクレジットカード会社からお金を借りていて、1年以上元金が全く減っていない』
『給料が入っても支払いや返済をすませると生活が厳しく、カードで凌いだりお金を借りたりしてしまう』

このような状態まで悪化しているのなら、黄色信号が点滅している危険な状態です。手遅れになる前に、今すぐ法律事務所へ相談に行ってください。

 

それでは解説をしていきます。ぜひ最後までお読みください。

Contents

犯罪。「罪に問われる」とはどういうこと?

まず前提として、「罪に問われる」というのは、刑法などが定めている「犯罪」に該当する可能性があることを言います。

借りたお金を返さないのは、たしかに道義的には良くないことです。

しかし、「借りたお金を返さない」だけで犯罪が成立し、刑罰が科されることは、ほとんどありません。

借りたお金を返さないことで問われる可能性のある罪は?

私たちが法律上負う責任には、「民事責任」、「刑事責任」、「行政責任」の3つがあります。

例えば、交通事故の例で見てみますと、被害者へ行う損害賠償が「民事責任」、罰金や懲役刑が「刑事責任」、反則金や免許停止・免許取消処分が「行政責任」となります。

この中で、主に私たちの生活に関わってくるのは前の2つ。「民事責任」と「刑事責任」が問題となります。「行政責任」は、金融機関が法律や監督官庁の指導に従わなかった際に発生するペナルティなので、一般市民が負うことはなく、一旦無視していただいて構いません。

民事責任に基づく損害賠償である「遅延損害金」は、借金が延滞した時に必ず発生する責任であり、私たちが借金を返せない時に刑事責任を問われるのは、「借金を返さないことが犯罪に該当する」場合に限られます。

そして、借金を返さないことで問われうる犯罪は、刑法246条が定めている「詐欺罪」およびその「未遂罪」(刑法250条)だけです。

つまり、もし仮に借金を返せなかったとしても、その行為が「詐欺罪」およびその「未遂罪」に該当しない限り、刑事責任を問われることはないのです。

「詐欺罪」とは

詐欺罪に問われるのは、刑法が定める同罪の構成要件を満たした場合に限られます。

詐欺罪について定める刑法246条は、同罪を次のように規定しています。

刑法246条

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
参考⇒詐欺罪|e-GOV

刑事裁判で詐欺罪が確定した場合「10年以下の懲役」となり、非常に重い刑罰を受けることになります。そして、3年を超える懲役刑(もしくは50万円を超える罰金刑)を受けた場合、執行猶予が付くことはなく、必ず実刑となります。

詐欺罪の構成要件

詐欺罪が成立するためには、次の4つの要件を満たしていることが必要です。

  1. 加害者が人を欺く行為(欺罔行為)を行ったこと
  2. 加害者の欺罔行為によって錯誤の状態に陥ること
  3. 被害者が加害者に財物を交付すること
  4. 加害者が交付された財物を受領すること

いわゆる「オレオレ詐欺」を例に説明すると、以下のようになります。

  • 犯人が被害者に電話で「被害者の息子を名乗りウソの内容で金銭を要求」。(欺罔行為)
  • 被害者は自分の息子からの要求であると勘違いし、(錯誤)
  • 指定された銀行口座にお金を振り込む。(交付行為)
  • 振り込まれたお金が、犯人の所有する銀行口座に移転される。(受領)

これが典型的な詐欺罪の一連の流れです。

しかし、そもそもお金が原因で法律に触れるかどうかといった心配をしなくてはならないような事態に陥ることは、避けたいもの。

借金問題は、1日でも早い段階で、問題解決に向けて動き出すのが鉄則です。1人で抱え込むのではなく、すぐ専門家に相談することをおすすめします。

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詐欺罪の構成要件を理解する上でのポイント

詐欺罪が成立するには、加害者が「欺罔行為」を行っていなければなりません。つまり、借主が「故意で貸主を騙す行為」がなければ詐欺にはならず、「返すつもりで借りたけど最終的に返せなくなった」場合は詐欺ではないのです。

もちろん、自ら作った借金は人として誠心誠意返済に努めるべきですが、万が一返せなかったとしても、返す意思があった場合刑事罰の対象にはならないということは覚えておいても良いでしょう。

なお、欺罔(きもう)行為には、「氏名・住所・生年月日・収入や負債の状況を偽って表示した」場合(積極的欺罔)だけでなく、「真実を告げなかったこと」(消極的欺罔)も含まれます。

最近では、金融機関の調査能力が向上しているため、仮に氏名や信用状況を偽って申告しても、債権者の調査でバレてしまうことも少なくありません。

実際に、「旧姓での申込み」「偽装離婚」「ウソの勤務先の申告」などは、審査の段階でバレることが多いようです。債権者が虚偽の申告に気付いていれば、錯誤に陥っていないため、「詐欺罪」は成立しません。

しかし、この場合でも「詐欺未遂罪」を問われる可能性があります。詐欺未遂罪も詐欺罪と同じく10年以下の懲役刑が科されるため、借入時に虚偽の申告をすることは絶対にやめましょう。

「借金」と詐欺罪との関係

「借りたお金を返さないこと」と詐欺との関係について、少し整理し理解を深めていきましょう。

基本となる考え方として、「返すつもりであったが返せなくなった」時は詐欺行為に当たりません。詐欺罪が成立するためには、「自発的な意思に基づいて」欺罔行為が行われていなければならないからです。

典型的な投資詐欺であるポンジスキームが詐欺行為として認定されづらいのも、この原則に起因します。もし途中で利息の配当が滞ったとしても、その理由が「投資の失敗」であるか、または「自発的な意思に基づいた詐欺行為」なのか、特定が困難だからです。

いわゆる「まわし」「自転車操業」は詐欺にあたるのか?

借金返済に行き詰まっている人の中には、借金返済のためにさらに借金する行為を繰り返している人も少なくありません。

たとえば、「アコムの借金」を「プロミスからの借金で返済」し、「プロミスへの返済」を「みずほ銀行カードローンの借金で返済する」といった行為を、「まわし」「自転車操業」などと呼ぶことがあります。

「まわし」や「自転車操業」をしていると、債権者から「まわしは犯罪だから告訴する」と通告されることが稀にあります。とは言え、そのような状況では、返済自体はきちんとできているケースも少なくなく、それだけで詐欺罪にあたるとは言えない場合がほとんどです。

しかし、自転車操業状態が続いている状態は非常に危険です。

自転車操業状態が続くと、借金は雪だるま式に増え続け、最終的には闇金以外からはお金が借りられなくなります。最終的に待っているのは、闇金に手を出した末の破滅です。

1人で悩んでいても、事態は深刻化するだけで状況は悪くなる一方ですので、一刻も早く債務整理を検討した方が良いでしょう。まずは少しでも早い段階で、専門家に相談することをおすすめします。

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借りたお金を返さなくて済む?債務整理を行う際の注意点

債務整理を検討中の男性

借金を大幅に減額できたり、今後の利息をゼロにできたりと、債務整理は借金に悩む全ての方の強い味方です。

しかし、債務整理は合法とはいえ、借金をした時に交わした約束を反故にする行為であることに変わりはありません。

特に、自己破産は借りたお金をほとんど返すことなく、返済義務を免除してもらう手続きですから、場合によっては詐欺行為に該当してしまうケースがあります

以下に、債務整理する際の注意点をご紹介します。

債務整理直前に申し込んだ借金は詐欺に問われる可能性もある

「まわし」「自転車操業」などの行為は、それだけでは詐欺とは言えないことがほとんどです。しかし、「すでに返せないことが客観的に明らかな状況」で、「まわし」「自転車操業」する行為には問題があります。

例えば、次のような状況でさらに借金を重ねることは非常に危険ですので、絶対にやめましょう。

・すでに延滞が長期化している借金がある
・複数の借入先の借金を延滞している
・延滞している借金総額が多額
・弁護士・司法書士に債務整理を依頼することを検討している
・すでに弁護士・司法書士に債務整理を依頼した

上のような状況は、「新たに借りた借金を返せる」可能性がほとんどないと言えます。

それにも関わらず、新規の借金を申し込むことは、「債権者を騙す意図があった」と疑われかねません。

また、すでに「弁護士・司法書士に債務整理を依頼する」ことは、「個別の借金返済はしない」という意思を表しているため、債務整理依頼後に借金することは「詐欺罪」に該当する行為といえます。

債務整理を依頼すると、「もう借金したらダメですよ!」と必ず念を押されます。これは、「借金をこれ以上増やしてはいけない」という意味だけでなく、「犯罪行為になるからやってはいけない」という意味も含まれているのです。

自己破産直前の借金は、詐欺に問われなくても免責されない可能性がある

「返せないと理解していながら申し込んだ借金」を抱えて自己破産した場合には、詐欺罪に問われなくても、返済義務が免除されない可能性もあります。

破産法252条1項5号は、免責不許可事由として次の場合を定めています。

破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと

参考⇒詐欺罪|e-GOV

自己破産する人は、実際に自己破産を申し立てる数年~数ヶ月前から資金繰りが苦しくなっていることが少なくありません。

多重債務でギリギリの金策をしてもなお返せないことが確実になり、追い詰められた結果自己破産に至ることが多いからです。

そして、この状況における金策の典型例が「まわし」や「自転車操業」です。

多重債務に陥っていれば、新規の借金の審査にもなかなか通りません。

借金を取り扱った映画やドラマ・マンガでは、「偽名を申込書に記載する」、「身分証明書の生年月日を改ざんする」といったシーンが描かれることがあります。

これらの行為は、詐欺罪を疑われるだけでなく、免責不許可の原因にもなります。

免責の不許可は、「問題のある借金だけ」でなく「すべての借金に対する措置」となるので、自己破産する意味がなくなってしまいます。

実際に「全く返済していない借金」がある時には、詐欺を疑われるのを避けるために「一定期間の返済実績を作ってから」自己破産の申し立てをすることもあります。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

 

まとめ

借金の返済に行き詰まると、冷静な対応ができなくなることも少なくありません。

「まわし」、や「自転車操業」それ自体は、必ずしも違法行為ではありませんが、危険な借金であることには変わりがありません。

また、本人確認資料(免許証など)や収入証明書(納税証明書、源泉徴収票)の改ざん行為があれば、詐欺に問われなくても、公文書偽造・私文書偽造(および行使)の罪に問われることもあります。

現在「まわし」や「自転車操業」でなんとか凌いでいる借金でも、債務整理で解決することは十分可能です。

すでに危ない借金を行ってしまった場合でも、これ以上さらに借金を重ねる前に、弁護士・司法書士に直ちに相談し、先生の指示に従って正しく対応しましょう。

借金問題においては、今すぐ正しく行動することが非常に重要です。

債務整理ならアヴァンス法務事務所

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