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保育士が債務整理をする前に知りたい8つのポイント

保育士はその仕事内容や責任に比べて、比較的給料が低いと言われています。

そのため、保育士さんが借金問題で悩むケースは非常に多いと言わざるを得えません。。

借金問題は債務整理の手続きをすることで、合法的に解決することが可能です。

しかし、保育士は国家資格ですし債務整理をすると仕事に影響が出てしまうのでは?

このように、なかなか借金問題の解決に向けて動く事が出来ない人が多いです。

結論からお伝えすると、債務整理をしても保育士資格をはく奪されることはありませんし、借金が原因となって職場を解雇されることもありません。

しかし、債務整理の方法を誤ってしまったり対応が遅れてしまうと取り返しのつかない状態に発展する可能性があります。

この記事では「保育士が債務整理する際に知っておきたい4つのポイント」についてお話していきます。

また、重要な事なので最初にお伝えします。

保育士さんは、一般の職業の方よりも慎重に早期の段階で専門家に相談することをおすすめします。

『返済や支払いをすると給料の多くが無くなってしまい、結局またカードでしのいだり借りてしまう。』

『現実的に考えて、自力で完済するのは厳しいと分かりつつも、後回しにしてしまっている。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している危険な状態です。

手遅れになる前に、1人で悩み続けるのではなく今すぐ法律事務所に相談をしてください。

それでは解説をしていきます。

借金や債務整理は、「保育士の身分」に影響しません

債務整理をしても、保育士の資格を失うことはありません。

また、これから説明するように、借金や債務整理を理由に、解雇・懲戒されることもありません。

保育士の欠格事由

保育士の資格については、児童福祉法が定めています。

保育士の欠格事由は、次のとおりです(児童福祉法18条の5)。

「借金」や「債務整理」は一切該当しません。

成年被後見人または被補佐人
禁錮以上の刑を受け、執行終了又は執行猶予を終えた日から2年を経過しない者
児童福祉法等の罰金刑となり、執行終了又は執行猶予を終えた日から2年を経過しない者
児童福祉法18条の19により保育士の登録を取り消されてから2年を経過しない者

保育士の取消事由

保育士の資格が取り消される事由は、児童福祉法18条の19で次のように定められています。

児童福祉法18条の5が定める欠格事由に該当する場合
虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合
保育士の信用を傷つけるような行為をした場合(児童福祉法18条の21)
保育士の守秘義務に違反した場合(児童福祉法18条の22)

ギャンブルや風俗通いで多額の借金を背負ってしまった場合に「信用失墜行為」になることを心配する方もいるかもしれません。

しかし、信用失墜行為の代表例は、以下の通りです。

「借金していること」、「債務整理したこと」は信用失墜行為に該当しません。

横領・贈収賄・不正経理
ハラスメント行為
飲酒運転などの悪質な道路交通法違反
体罰
わいせつ行為

詳しくは、債務整理と職業制限の記事で解説をしています。

借金や債務整理は懲戒理由にはならない

借金や債務整理を理由に勤務先の保育園から解雇されることも心配です。

しかし、「客観的に合理的な理由のない解雇・懲戒」は、労働契約法で無効とされます(労働契約法15条・16条)。

借金や債務整理は「合理的な理由」ではありません。

しかし、借金の問題が深刻化したために「勤務状況に悪い影響」が出た場合には、解雇事由となることがあります。

借金返済の金策のために無断欠勤が増えた
保育園に取立ての電話が頻繁にかかってくる
保育園に暴力団員風の取立て員がやってくる

アコムやクレディセゾンカードといった「正規の登録貸金業者」は、いきなり勤務先に電話しません。

そもそも、「延滞がなければ」電話で督促されません。

また、督促の電話は通常はあなたの携帯電話にかけます。

勤務先に連絡するのは、「携帯に何度かけても応答してもらえないとき」に限られます。

また、貸金業法や金融庁ガイドラインは、「1日に何度も取立ての電話をすること」を禁止しています。

そのため、「正規の登録貸金業者」では、「電話は1日3回まで」というような社内ルールが必ず設けられています。

電話を「何度も」かけてきたり、いきなり「保育園に取立てにやってきたり」するのは、「ヤミ金」です。

「ヤミ金」との取引が保育園に知られたときには、園児の安全確保を理由に、解雇や懲戒される可能性が高くなります。

どんなにお金に困ってもヤミ金から借金することは避けましょう。

参考⇒闇金の借金は債務整理できる?弁護士や警察に相談をする前の注意点

いずれにしても借金問題は時間との勝負です。

対応が遅くなってしまうと、取れる選択肢は減っていきどんどん事態が悪化するだけです。

1人で悩むのではなく、1日でも早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

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公務員保育士は身分が安定している

公立保育園の保育士は公務員です。公務員の懲戒事由・欠格事由については、地方公務員法が定めています(16条・29条)。

「借金をしていること」や「債務整理したこと」は、地方公務員法上の懲戒事由・欠格事由のいずれにも該当しません。

しかし、私立保育園の保育士の場合と同様、「勤務状況に悪影響が出た場合」には、分限解雇の原因となりうることがあります。

借金の問題は「仕事に悪影響が出る前に」、できるだけ早く債務整理で解決することが望ましいでしょう。

借金や債務整理は転職にも影響しない

「給料が少ない」ことが原因で借金を抱えてしまった場合には、「転職」を考えることもあるかと思います。

借金があることや債務整理したことは、原則として転職には影響しません。

民間の保育士の給料が低いことは一般的に認知されていると思いますので、「より好条件の仕事を探したい」ことが転職の理由でも全く問題ありません。

しかし、「警備員」や「保険外交員」等の一部の職業では、自己破産による資格制限を受けます。

「破産手続き開始から免責確定までの間」は制限のある職には就けません

自己破産以外の債務整理(任意整理・特定調停・個人再生)では、何の資格制限も生じません。

債務整理しても他人に知られることはありません

テレビやマンガでは、借金を延滞していることが知人に知られて「白い目で見られる」シーンを目にすることがあります。

「父兄の目」は、借金の有無にかかわらず気になるものです。

あなたの借金の状況は、指定信用情報に加盟している金融機関以外は調査できないので、通常は他人に知られません。

自己破産や個人再生をすれば「あなたが債務整理したこと」が官報で公示されます。

官報はネットで閲覧することができます。しかし、特定人物の自己破産・個人申立ての状況を探し当てることは簡単ではありません。

ウェブ版官報は記事検索もできます。しかし、「有料の会員登録」が必要なので、一般の人が利用することはほとんどありません。

参考⇒官報って何?債務整理や過払い金請求をすると必ず載るのか

そもそも一般の方が「官報をみよう」と思う機会もないはずです。

また、債務整理を弁護士・司法書士に依頼すれば、「債務整理に関するすべての窓口」は弁護士・司法書士となります。

債権者があなたや勤務先に連絡することも法律で禁止されます(貸金業法21条・金融庁ガイドライン)。

弁護士・司法書士には守秘義務があるので、「債務整理の依頼があったこと」を他人に告げることは絶対にありません(守秘義務違反は懲戒処分の対象になります)。

参考⇒債務整理が会社に知られる可能性~自己破産でも勤務先にバレない方法

自転車操業すると「借金していることがバレる」

保育士は小さな子供を預かる難しい仕事です。優しくてまじめな方が多いと思います。

誠実な人ほど「借金を返さなくては!」と自転車操業(返済のための借金)に陥りやすいものです。

しかし、現在の法律では総量規制があります。借金の上限は年収の1/3と決まっています。

そのため、返済のための借金を「正規の貸金業者」から受けられずにヤミ金の誘惑に負けてしまうという方も少なからずいます。

最近は、申込み時にFacebookやTwitter、LINEといったSNSのIDを登録させるヤミ金が増えています。

ヤミ金に延滞があったときには、SNSを通じて「知人や勤務先に借金をバラされる」可能性がかなり高くなります。

ヤミ金でなくても、追加融資時の在籍確認(正規の業者は必ずするといって良いです)は、「勤め先に借金していることがバレる」一番の原因です。

ですから、「債務整理せずに問題解決を先送り」する方が借金を他人に知られてしまうのです。

保育士でも自己破産せずに債務整理できます

債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つの方法があります。

自己破産は、「破産手続き開始のときの財産を拠出してすべての借金を強制的に清算する」手続きです。

詳しくは、自己破産のメリットとデメリットの記事で解説をしています。

任意整理・特定調停・個人再生は、「新たに決まった返済額」を「分割払い」で返済しなおす方法です。

任意整理、特定調停では、「将来発生する利息の支払い」が免除され、個人再生では「借金を減額」してもらえます。

それぞれの手続きについては下記の記事で詳しく解説をしています。

任意整理のメリットとデメリット~債務整理で1番多い手続きの注意点

特定調停って何?実際の流れやメリット・デメリットについて

個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

また、繰り返しますが、借金問題は早い段階で解決してしまうべきです。

早い段階であれば、様々な選択肢をとることができますし、手続き後の影響も最小限に抑えることが可能です。

なるべく早い段階で専門家に相談するべきなのは間違いありません。

今すぐ専門家に相談する⇒

「早く対応」すれば自己破産する必要はありません

債務整理で決まった「毎月の返済額」を支払える収入」がありさえすれば、自己破産する必要はありません。

たとえば、アルバイトでも自己破産せずに債務整理できた人はたくさんいます。

大手転職情報サイトの「マイナビ保育士」では、保育士の年収についてのアンケート結果を公表しています。

このアンケート結果によれば、20~40代の保育士(私立保育園勤務)の平均年収は297万円です。

ボーナスが年2回(各2ヶ月分)とすれば、毎月の給与支給額は約19万円です。

そこから生活に必要な支出分を引いた額が「返済可能な額」です。

たとえば、家賃5万円、生活費(食費・光熱費・スマホ代等)の合計6万円で計算すれば、返済可能額は、最大毎月8万円となります。

借金が100万円であれば「毎月約28,000円ずつ3年間返済する」ことで、任意整理できます。

上のケースでは、債務整理しても手元に約5万円残せます。借金問題の多くは、利息の負担がなくなれば解決可能です。

なお、いまの法規制では総量規制があるので、上で紹介したアンケートによれば、「平均的な保育士の借金上限」は「100万円」です。

したがって、保育士の借金のほとんどは、任意整理で解決できると思われます。

任意整理が難しいときには個人再生

任意整理では返済が難しいときには、個人再生を利用します。

個人再生では「利息の免除だけでなく借金も減額」されます。

たとえば、500万円の借金は100万円、1,000万円の借金は200万円まで減額してもらえる可能性があります。

個人再生では、減らしてもらった借金を原則3年で分割返済します。

なお、住宅ローンの残った自宅を保有しているときには、「住宅ローン特則」を利用することで、自宅を手放すことなくプロミスや楽天カードといった貸金業者からの借金を整理できます。

借金の額が多すぎる人は「すぐに」弁護士・司法書士に相談しましょう

上でお話したように、平均的収入の保育士は100万円を超えて借金することは難しいです。

借金が100万円を超えるケースとしては、次の場合が考えられます。

担保を設定した借金(自動車ローン・不動産担保ローン)がある
延滞状況がひどく遅延損害金が膨らんだ
おまとめローンを組んだが返済できなくなった
年収や氏名等を偽って借金した
総量規制が実施される前(2010年6月18日以前)から借金が続いている
ヤミ金から借金してしまった

上記に該当するケースでは、「早急に」弁護士・司法書士に相談する必要があります。

「もう解決できない」とあきらめる必要は全くありませんが、問題をより深刻化させないために「早急な対応」が必要不可欠です。

なお、2008年以前から借金がある(2008年以前に完済した借金も含みます)ときには、「過払い金」で借金が減ったり、なくなったりする可能性があります。

この記事の例よりも収入が少ない方は、法テラスで弁護士・司法書士費用を立て替えてもらえる可能性があります(法律扶助制度)。

誰にも知られないためにも、職を失わないためにも早めの相談を!

ここまでお話してきたように、保育士であってもほとんどの借金を「自己破産せず」に解決できます。

しかし、借金が多額すぎるときには、やはり自己破産は避けられません。

借金の問題は1人で抱えがちです。保育士は「父兄の目」や、「職場が狭い」ことで、借金の問題をだれかに相談しづらい環境にあります。

借金は、1人で抱え込むほど深刻化しやすいものです。

自転車操業を始める前に、弁護士・司法書士に相談してください。借金は必ず返済できる額に減らせます。

借金問題は今すぐに行動をすること。これが一番重要なのは間違いありません。

債務整理ならアヴァンス法務事務所

アヴァンス法務事務所では、全国から債務整理案件を受託しており、累計23万件以上の実績がございます。借金や過払い金にお困りの方はぜひ一度ご相談ください

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