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タクシー運転手として働く人の債務整理6つのポイントと注意点

今回は、タクシー運転手が債務整理する際に知っておいてもらいたいポイントについてお話します。

タクシー運転手の給料は歩合部分が非常に大きいことが通常です。

そのため収入が不安定であることが「債務整理の支障になる」と心配な方もいるかもしれません。

また、個人タクシーの方なら、「タクシーを失うのは困る」と債務整理に躊躇している方も少なくないでしょう。

しかし、収入が不安定でも自己破産せずに債務整理することも、タクシーを失うことなく債務整理することも、不可能ではないのです。

債務整理では、あきらめずに弁護士や司法書士に、自分の希望を伝えてみることも大切です。

また、『借金の返済で給料が残らず、自転車操業のような状態が続いている。』

『今の仕事を続けていても、借金を完済するのは不可能だと心の中では分かっているが放置している。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既にその借金を返済できる見込みはほぼありません。

手遅れになる前に、弁護士や司法書士に相談を行ってください。

 

それでは解説をしていきます。

収入が不安定でも債務整理は可能

毎月の収入が不安定だと、ちょっとしたことでも借金の返済が苦しくなりがちです。

また、「今月は給料が少なかったから」と延滞してしまえば、それを取り戻すことは非常に大変です。

銀行や消費者金融・カード会社への返済が苦しくなる原因のほとんどは、利息の負担です。

債務整理すると利息の負担が免除されます。

「収入に対して明らかに借金が多すぎる」ケースを除けば、利息の負担がなくなれば、多くの方が借金を返せるようになります。

自己破産以外の債務整理の方法には、任意整理と個人再生があります。

任意整理は最も簡単な債務整理

任意整理は、最も一般的な債務整理の方法です。

以下のような「返済条件の見直し」をそれぞれの債権者と個別に交渉します。

今後発生する利息支払いの免除
分割払い(5年前後が1つの目安)のやり直し
一括返済を前提とした借金の減額

たとえば、120万円の借金でも、「利息免除+5年分割」で任意整理が成立すれば、毎月の返済額は2万円となります。

120万円のカードローンの返済は、3万円以上となっていることが一般的なので、毎月の返済額を1万円以上減らせます。

また、任意整理では、「債務整理すると都合の悪い借金」を除外することも可能です。

たとえば、「アコムからの借金は債務整理」して、「タクシーのローン」は債務整理しないことも自由に決められます。

さらに、任意整理は、裁判所を用いない手続きなので、ほとんどのケースで「誰にも知られず」に債務整理することが可能です。

任意整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒任意整理のメリットとデメリット~債務整理で1番多い手続きの注意点

多すぎる借金でも個人再生で解決できる場合が多い

任意整理では返済しきれないほどの借金でも、個人再生できれば、「自己破産せずに借金を返す」ことができます。

個人再生では、予め法律で決まっている基準にしたがって、借金を減額してもらえます。

たとえば、400万円の借金では、最大で100万円まで減額してもらえる可能性があります。

個人再生は、原則3年で借金を返済する手続きなので、毎月の返済額は約28,000円です。

400万円の借金となると、毎月の返済額は10万円近くになっていることがあります。

個人再生を利用すれば、返済額を毎月7万円近くも減らせます。

また、個人再生は、毎月返済する必要のない手続きです。民事再生法は、「返済は3ヶ月に1度以上の頻度であれば良い」としています。

収入の波が大きいタクシー運転手にとっては、非常に使い勝手の良い手続きといえるでしょう。

さらに、個人再生であれば、住宅ローンが残っていても「マイホームを手放すことなく」債務整理することが可能です。

しかし、裁判所の手続きである個人再生では、対象とする借金を選ぶことができません。

タクシーのローンが残っている個人タクシーの方は、タクシーを失う可能性があります。

なお、保有タクシーの問題については、下で詳しく説明します。

個人再生については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

タクシー運転手が債務整理するときの注意点

次に、タクシー運転手が債務整理する際に注意しておくべきポイントについて確認しておきましょう。

債務整理してもタクシー運転手を辞める必要はない

Yahoo!知恵袋や、教えてgooでは、「自己破産したらタクシー運転手を辞める必要があるのか?」といった質問を見かけることがあります。

しかし、債務整理してもタクシー運転手を辞める必要はありません。

弁護士や警備業、不動産業といった一部の職業には、自己破産すると資格制限があります。

しかし、タクシー運転手として必要な「二種免許」や個人タクシーの営業免許は、債務整理の影響を一切受けません。

ETCカードに注意

ETCカードはタクシー運転手には欠かせないものの1つです。

個人タクシーはもちろん、法人タクシーの運転手の方も個人名義のETCカードを利用している方が多いと思います。

債務整理するとETCカードを失う可能性があります。

ETCカードの発行元であるカード会社の借金を債務整理すれば、当然に強制解約となります。

しかし、ETCカードのカード会社を債務整理しなくても、他社を債務整理したことで、解約となる可能性があります。

タクシー運転手の場合には、「知らないうちにETCカードが解約されてしまった」ということでは、非常に困ります。

債務整理される際には、「ETCパーソナルカード」を予め申し込んでおくとよいでしょう。

「ETCパーソナルカード」は保証金式のカードなので、クレジットカードではありません。

なお、個人タクシーの方でれば、ETC法人カードが使えます。

ETC法人カードは、個人事業主でも申込み可能で、保証金もパーソナルカードよりも安くなります。

債務整理とETCカードの関係については下記のページで詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理後のETCカード対策?自己破産や任意整理をしても使える?

携帯電話の強制解約に注意

借金の返済に困っている方は、「携帯電話料金」も延滞している方が少なくありません。

携帯電話の料金に滞納がある状態で、個人再生や自己破産すると、携帯電話が強制解約となります。

タクシー運転手の方には、「常連客」と携帯で直接連絡を取っている方も少なくないでしょう。

携帯番号が変われば、常連客を失うことにもなりかねません。

また、携帯料金に滞納があるうちは、携帯の新規申込みもできません。

なお、個人再生や自己破産直前に、延滞している携帯料金を返済すると、偏頗弁済(へんぱべんさい)を疑われる可能性があります。

偏頗弁済があると、個人再生での返済額が増えたり、管財事件となって自己破産の費用が高くなるリスクがあります。

携帯電話と債務整理については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理と携帯電話~スマホの分割払い購入や新規契約・機種変更

個人再生・自己破産でも生命保険を維持する方法

自己破産する場合には、「生命保険を解約」する必要があることがあります。

タクシー運転手は、生命保険に加入しづらい職業です。

また、年齢や既往症との関係で、生命保険を解約すると再加入できない方もいるかもしれません。

解約返戻金のある保険は、次の方法で解約を回避することができます。

契約者貸付を利用して、解約返戻金の金額を減らす
解約返戻金に相当する金額を自分で積み立てて破産財団に拠出する
生命保険受取人に介入権(保険法60条・89条)を行使してもらう(お金を拠出してもらう)
裁判所に自由財産の拡張を認めてもらう

契約者貸付の方法で解約を回避することが最も一般的ですが、時期や借りたお金の使い道には注意が必要です。

必ず弁護士の助言を受けてから行うようにしましょう。

なお、解約返戻金のない医療保険等は、自己破産しても解約する必要はありません。

債務整理と生命保険については下記のページで詳しく解説をしています。

参考⇒債務整理と生命保険~自己破産は解約返戻金が没収されるので注意が必要!

個人タクシーの方の保有タクシーの帰趨

個人タクシー(1人1車制タクシー事業者)の方が債務整理する際には、「保有しているタクシーはどうなるのか」といったことが最大の関心事でしょう。

「債務整理すればタクシーも失うから廃業するしかない」と諦めている方もいるかもしれません。

しかし、タクシーを失うことなく債務整理することも決して不可能ではありません。

任意整理ならタクシーを手放す必要はない

任意整理は、そもそも財産の処分を前提としない債務整理です。

将来の収入から毎月決まった額を返済できるのであれば、タクシーを処分する必要は全くありません。

また、ローンが残っている場合には、ローン会社を任意整理から除外することで対応できます。

個人再生で保有タクシーを残す方法

個人再生も、「原則として財産の処分が不要」の手続きです。

任意整理と同様に、将来の収入から決まった額を返済します。

ローンを完済している場合には、個人再生してもタクシーを手放す必要は全くありません。

しかし、ローンが残っているタクシーについては、注意が必要です。

ローンが残ったタクシーは、販売会社に所有権が留保されています。

簡単にいえば「ローン完済まで担保にとられている」ということです。

したがって、タクシーのローンが残ったまま個人再生(や自己破産)すれば、タクシーは販売会社に引き上げられてしまいます。

でも、諦めるのはまだ早いのです。他のサイトには、「個人再生(自己破産)すると、ローンの残った自動車は必ず失う」という説明をしているものもありますが、必ずしもそうではありません。

ローンが残っているタクシーでも、次のケースでは、タクシーの引き上げを回避できる可能性があります。

所有権者(販売会社)と別除権協定を結ぶ
所有者名義人が販売会社・所有権者がローン会社の場合には、ローン会社の引き上げを拒絶できる場合がある

ただ、上記のいずれの方法も弁護士の助力なしに行うのは簡単ではありません。

ローンの残ったタクシーがある場合には、必ず「債務整理に強い弁護士」に依頼すべきでしょう。

自己破産でもタクシーを残せる可能性がある

自己破産する場合でもタクシーを手元に残せる可能性があります。

ローンが残っている場合でも、上記の個人再生の場合のように、「車検証の名義人が販売会社、契約上の所有権者がローン会社」という場合には、ローン会社の担保権(別除権)の行使を拒絶できる可能性があります。

また、完済済みのタクシーであっても、評価額が20万円以下であれば、処分の必要がありません。

既に長期間使用しているタクシーであれば、処分せずに済む可能性があります。

評価額が20万円を超えるケースでも、裁判所に「自由財産の拡張」を認めてもらうことで、処分を回避できる場合があります。

個人タクシーの方であれば、タクシーを失うことは「収入が断たれる」ことなので、一般の方よりも自由財産拡張が認められやすいと言えます。

なお、自由財産の拡張は、裁判所によって運用がかなり違います。

お住まいの地域の裁判所での運用については、弁護士に必ず確認してください。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

まとめ

「もう諦めるしかない」と思っているような問題でも、実は解決可能ということは少なくありません。

借金問題は諦めることが一番よくありません。

また、任意整理で解決できれば、ETCカード以外のデメリットはほとんど発生しません。

タクシー運転手の方は、勤務シフトが不規則なので、「弁護士・司法書士に相談にいくのが面倒」ということにもなりがちです。

借金の問題は早期解決が何よりも大切です。

借金のことが気になって運転時の注意が疎かになれば、それこそ職を失いかねません。

返済が厳しいと感じたら深刻な借金になる前に、弁護士・司法書士に相談しましょう。

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