
「生活保護中でも自己破産はできるの?」
「生活保護が止められないか心配…ケースワーカーには話すべき?」
あなたはこんな疑問を抱えていませんか?
結論として、生活保護中でも自己破産は可能です。
それによって生活保護が止められてしまうようなことはないため、ケースワーカーには素直に話してしまった方が良いでしょう。
当記事では、生活保護中の自己破産に関して不安を抱えているあなたのために、以下の情報について解説します。
- 生活保護中の自己破産について
- 自己破産のデメリット
- 自己破産を行う際の3つの注意点
最後まで読めば、借金に関する不安が解消されます。ぜひ参考にしてください。

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Contents
自己破産しても生活保護は受けられる
繰り返しになりますが、自己破産しても生活保護は受けられます。
以下は、生活保護の受給条件を示したものです。
- 世帯収入が最低生活費以下
- 生活費に充てるために換価できる財産がない
- 家族や親族から生活援助を受けられる見込みがない
- 病気などの緊急の理由で収入を得る見込みがない
上記を見る限り、自己破産は生活保護とは関係がありません。
最も重要なのは「収入が乏しい」ことです。生活が乏しいと判断されるための収入額は自治体によって異なりますが、およそ月11〜13万円程度が目安になります。
ただし、生活保護で借金を返済するのはやめてください。
なぜなら、生活保護法では以下の目的以外に生活保護費を使うことを禁止されているからです。
- 食費や日用品等
- 教育費
- 住居の確保、補修等に必要な支払い
- 医療・介護を受けるための費用
- 出産のための費用
- 生業に必要な資金
- 葬祭の費用
特に、近年では生活保護の不正受給が問題になっています。
生活保護を使って借金を返済してしまうと、不正受給とみなされ生活保護が止められてしまう可能性があります。
生活保護を受けているからこそ、早めに自己破産の手続きを進めるべきなのです。
生活保護受給者なら、自己破産の費用はかからない
生活保護受給者であれば、自己破産費用はかかりません。
自己破産等の債務整理には費用がかかります。しかし、生活保護を受けている、もしくは受けられる人なら、法テラスにて「民間法律扶助」として費用を立て替えてもらえます。
本来、この立替分は後で支払う必要があるのですが、債務整理手続きが完了したときに生活保護を受けていれば、立て替えた費用も完全に免除してもらえるのです。
したがって、生活保護を受けていれば自己破産の費用はまったくかかりません。
ただし、自己破産の手続き中に就職して生活保護が止まった場合、立替分が免除されない点に注意です。
自己破産の費用は決して安くないため、就職するタイミングには充分注意してください。
自己破産したことはケースワーカーに話すべき
自己破産したことは、ケースワーカーに話すべきです。
基本的に、自己破産をケースワーカーに申告する義務はありません。しかし、自己破産したことを話しておかないと費用が立て替えられない可能性もあるため、極力相談しておく方が良いでしょう。
前述の通り、自己破産をしたことで生活保護が打ち切られることはないですから、相談しておいて損はありません。
自己破産を行うことで起こる3つのこと
自己破産をしても生活保護が受けられることはわかりました。
しかし、デメリットについて良くわからないまま自己破産をするのは怖いと思います。そこでこの項では、自己破産を行うとどうなるのかわかりやすく解説します。
- 新規の借入ができなくなる
- クレジットカードが使えなくなる
- 家や車が差し押さえられる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)新規の借入ができなくなる
自己破産のデメリット1つ目は、新規借入ができなくなること。
自己破産を始めとする債務整理を行うと、信用情報に「事故情報」が登録されます。いわゆるブラックリスト入りですね。
ブラックリストに載ると、基本的にほぼ借入はできないと考えて良いでしょう。
なぜなら、金融機関からすれば、信用ブラックの人にお金を貸すのは大きなリスクが生じるからです。同様の理由で、住宅ローンや自動車ローンも組むことができません。
ただし、自己破産後でも頭金を多めにして借入額を減らすことで、融資してもらえる可能性があります。
(2)クレジットカードが使えなくなる
自己破産のデメリット2つ目は、クレジットカードが使えなくなること。
クレジットカードを決済手段として使っている人も多いですが、支払いを立て替えてもらっているため、実質的には借入と同じ行為です。
したがって、ブラックリストに載っている人がカードを作るのは難しく、すでに持っているカードもいずれ使えなくなってしまう可能性が高いでしょう。
なお、クレジットカードの代替手段としては次のようなものがあります。
- デビットカード
- プリペイドカード
デビットカードは、使ったらそのまま口座から引き落とされるカードです。
こちらは立て替えではないため、審査が必要ありません。それに、クレジットカードと同じような感覚で使えるため、持っておくと便利です。
また、利便性では劣りますがプリペイドカードという手段もあります。
こちらはデビットカードと違って、チャージする手間が必要です。しかし、そのぶん使いすぎを防げるため、浪費で破産してしまった場合にはちょうど良いと言えるでしょう。
(3)家や車が差し押さえられる
自己破産のデメリット3つ目は、差し押さえを受けること。
自己破産を行うと、一定以上の価値のある財産は競売にかけられ、債権者に配当されてしまいます。
家や車等も例外ではありません。
しかし、自己破産はあくまで債務者を救済する手続きです。
生活や仕事に必要な道具や99万円以下の現金は「自由財産」となり、手元に残すことができますので、破産したことによって生活できなくなってしまうことはないと考えて良いでしょう。
なお、以下は自由財産についてまとめたものです。
- 差し押さえ禁止財産
- 自由財産(99万円以内の現金)
- 自己破産後に新たに得た財産
- 破産管財人によって放棄された財産
- 自由拡張財産
家や車の価値が20万円以下だった場合、競売にかける手間が見合わないとみなされるため、手放さずに済みます。
生活保護受給者が自己破産を行う際の3つの注意点
生活保護の受給者が自己破産を行う際は、以下の3点に注意しておきましょう。
- 過払い金があるか確認する
- 税金等は免除されない
- 免責不許可にならないよう注意する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)過払い金があるか確認する
自己破産の注意点1つ目は、過払い金についてです。
そもそも過払い金とは、払いすぎていた利息のことです。利息を定める法律には利息制限法と出資法があるのですが、以前はこの2つで上限利息が異なっていました。
それにより、出資法では認められているが利息制限法には反している「グレーゾーン金利」が発生してしまったのです。
しかし、2010年に貸金業法が改正されたことでグレーゾーン金利が撤廃され、過払い金請求が行われるようになりました。
具体的には、2010年6月17日以前に消費者金融から借入していた場合、過払い金が発生する可能性があります。
過払い金は完済していても10年間は請求できます。もし思い当たる借入があれば、自己破産を行う前に弁護士・司法書士に相談しましょう。
(2)税金等は免除されない
自己破産の注意点2つ目は、税金等は免除されないことです。
破産法の第253条では、以下の「非免責債権」は免除されないと記載されています。
- 年金
- 租税公課
- 養育費
- 慰謝料
- 罰金等
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一.租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
例えば、自己破産して住宅ローンやカードローン等の支払いが免除されたとしても、税金などの支払いはなくなりません。
生活保護を受けている時点で、税金等の支払いは免除されています。しかし、養育費や慰謝料、罰金等は残りますので注意してください。
(3)免責不許可にならないよう注意する
自己破産の注意点3つ目は、免責不許可についてです。
裁判所に自己破産を申し立てたからと言って、必ず認められるとは限りません。なぜなら、破産法第252条には「免責不許可事由」が定められているからです。
以下は、特に注意すべき免責不許可事由をまとめたものです。
- 財産隠しを行ったこと
- 自己破産に非協力的な態度を取ったこと
- ギャンブルや投資で債務を負ったこと
自己破産前に、財産の売却や名義変更をすることは財産隠しとみなされるため要注意です。
また、裁判所から求められている書類を提出しなかったり、面接に出席しなかったり非協力的な態度を取ると、これも免責不許可の原因となります。
他にも、借金の原因が投資やギャンブル、遊興費であった場合は免責不許可となる可能性があります。ただ、これに関しては裁量免責が認められることがほとんどですので、あまり心配する必要はありません。
自己破産以外の方法で借金を解決できる?
生活保護を受けている人は、自己破産以外の方法を取るのは難しいです。
まず、債務整理には任意整理や個人再生といった方法もあります。しかし、これらの方法は手続き後も支払い義務が残るため、あまり現実的ではありません。
最初に説明した通り、生活保護費を借金返済に充てることは禁止されているからです。
しかし、以下のようなケースでは生活保護を受けていても任意整理、個人再生が認められる場合があります。
- 抱えている借金が多額過ぎない
- 数ヶ月以内に、自立できるだけの収入を得る見込みがある
- 和解、再生計画認可の可能性がある
生活保護は、自立の助長も目的としています。したがって、自己破産によって自立を妨げてしまう場合は、任意整理や個人再生を選ぶこともできるでしょう。
自己破産を行う際は弁護士・司法書士に相談しよう
自己破産を行う際は、必ず弁護士・司法書士に相談しましょう。
自己破産手続きには書類作成等、莫大な手間がかかります。法律の素人がこれを独力で進めるのは非常に難しいですし、余計に時間がかかってしまう可能性が高いです。
一方、専門家に依頼すれば面倒な手続きは一任できます。
そもそも、生活保護受給者であれば自己破産の費用もかからないため、自力で行うメリットは何もありません。借金に困っていたら、少しでも早めに弁護士・司法書士に相談しましょう。
生活保護を受けていても自己破産は可能!一刻も早く手続きしよう
生活保護を受けていても自己破産は可能です。
それどころか、生活保護受給者は自己破産の費用が免除されますし、失う財産もないはずですから、圧倒的にデメリットが少ないと言えるでしょう。
借金を滞納したままだと、督促を受けたり信用情報に傷がついたりするリスクもありますので、早めに手続きを進めることをおすすめします。
最後に、自己破産において注意すべきポイントをまとめました。
- 過払い金があるか確認する
- 税金等は免除されない
- 免責不許可にならないよう注意する
自己破産によって生活保護が打ち切られることはありません。
したがって、借金があるなら早めに弁護士・司法書士に相談して自己破産手続きを開始してください。