自己破産をすると生活保護~債務整理前に知りたい生活保護費について

かつては、借金といえば、浪費やギャンブルなどを原因とするものが大半でしたが、最近では、生活のために借金を強いられてしまったという人が増えています。

特に、中高年以上の借金問題は、浪費型よりも生活苦型の借金の方が多いことは、専門家のあいだでは、よく知られていることです。

また、最近では、20代、30代の人にも生活苦を原因とする借金を抱える人が増えているようです。

他方で、何かしらの事情で生活が難しいほどの収入しか得られない(全く収入がない)人は、生活保護制度による支援を受けることができます。

生活保護は、憲法25条が保障している「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するための公的な救済制度です。

しかし、借金を抱えている人が生活保護を受ける際には、いくつかの問題が生じてしまいます。

生活保護で借金を返済することは原則として認められていないからです。

「借金があるから生活保護は受けられない」

「自己破産したくないから生活保護は受けられない」

「生活保護を受けるために自己破産したいが、そんなお金なんてない」

とあきらめてしまっている人もいるかもしれません。

そこで、今回は、生活保護と自己破産についての重要なトピックスについて解説していきます。

「これから生活保護を受けるために自己破産したいと考えている人」

「既に生活保護を受けていて、自己破産によって受給資格がはく奪されないか不安な人」は参考にしてみてください。

また、『借金を完済するのは厳しい事が心の中では分かっているが放置し続けてしまっている。』

『給料が出ても結局返済で終わってしまい、またお金を借りてしまう。』

このような状況まで状態が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している状態です。

手遅れになる前に、今すぐに法律事務所に相談を行ってください。

ケースによっては自己破産以外の方法で借金問題を解決できる可能性もゼロではありません。

どの法律事務所に相談をして良いか分からない方は、匿名で利用できる無料シミュレーションサイトの利用が便利です。

それでは解説をしていきます。

借金があると生活保護は受けられないのか?

生活保護の申請を考えている人には、「借金があると生活保護を受けられない」と思い込んでいる人も少なくないようです。

しかし、「借金があると生活保護を受けられない」というルールは存在しません。

生活保護の受給条件

生活保護の支給を受けるための条件は、下のとおりです。

・世帯収入が最低生活費以下(基準額は自治体によって違う)
・生活費に充てるために換価できる財産(預貯金・有価証券・現金など)がない
・家族や親族から生活援助を受けられる見込みがない
・病気などの緊急の理由で収入を得る見込みがない(働く意思はあるが働けない)

上記のうち、もっとも重要なのは、「収入が乏しい」ということです。基準額は、それぞれの自治体によって異なりますが、月11~13万円以下が一応の目安額だといわれています。

それぞれのケースが抱える事情によっては、持ち家のある人や自動車を持っている人でも生活保護の支給を受けられる場合もあります。

生活保護法を確認する限りにおいては、借金有無と支給条件には全く関係がありません。

借金があると生活保護を受けられないことがあるのはなぜか?

生活保護の支給条件とは無関係であるにも関わらず、「借金がある人は生活保護を受けられない」とよくいわれるのは、「生活保護費の使い道」(生活保護制度の目的)を関係しています。

生活保護法では、支給される生活保護費は、以下の目的のためなどに用いられなければならないと規定されています(生活保護法11条~18条)。

・衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものの購入
・義務教育に伴って必要な学用品や通学用品、給食費などの支払い
・住居の確保、補修その他維持のために必要な支払い
・医療・介護受けるための費用
・出産のための費用
・生業に必要な資金、器具・技能の習得、就労に必要なものの購入など
・葬祭の費用

つまり、支給された生活保護費は、通常の生活費に支出されなければならないということです。

たとえば、「生活保護で株式を購入する」といったような資産を形成する行為や、「海外旅行の費用に充てる」といった一般的とはいえない(贅沢な)支出に生活保護費を用いることは固く禁止されています。

「生活保護費を借金の返済に充てる」ことは、間接的な資産形成(生活保護で借金を減らした分だけ自分の収入を資産形成に充てられる)になると考えられるわけです。

特に、近年では、「生活保護の不正受給」が社会な話題となることも少なくありません。そのため、自治体やケースワーカーにも、「問題事例となりかねない人からの申請を回避したい」という思惑が生じやすいのです。

しかし、生活保護は「生活に困窮している人を等しく救済するための制度」である以上、借金の有無を理由に、申請を受理しないという対応は問題があると言わざるを得ません。

そもそも借金の解決には一定の期間が必要となるのが当たり前なので、借金を原因に生活保護の支給を拒絶すれば、借金問題が解決するまでの生活を保障することができなくなるからです。

「生活保護が先か、自己破産(債務整理が先か)ということが話題になることがあるようですが、実際には、生活保護の申請を優先させる(あるいは同時に進める)べきケースの方が圧倒的に多いでしょう。

生活保護を受けている人は自己破産でしか借金を解決できないのか?

借金を抱えている人が生活保護の支給を受けるときには、ほとんどのケースでは、担当のケースワーカーから「自己破産するように」と指示されます。

そのため「自己破産できないから生活保護を受けない」という人や「債務整理は自己破産だけじゃないのに」と思っている人もいるかもしれません。

生活保護を受けている人が「自己破産」しなければならない理由

生活保護を受けている人に自己破産することが求められるのは、上で解説した「生活保護制度の目的」に関係しています。

債務整理のうちで、「借金の返済をすることなく解決できる」のは自己破産だけだからです。

個人再生・任意整理は、「借金の一部を分割で返済しなければならない手続き」なので、生活保護費を返済のために使われてしまうおそれが生じるということです。

生活保護を受けていても「個人再生」、「任意整理」できる場合

生活保護を受けている(これから申請しようとしている)人でも、自己破産以外の手続き(任意整理・個人再生)で借金を解決できないというわけではありません。

理屈の上では、生活困窮者の自立のために、自己破産よりも任意整理・個人再生が優れているケースであれば、自己破産を強要すべきではないと考えられるからです。生活保護は、生活の保障だけでなく、「自立の助長」も目的としているからです。

【参考】生活保護制度(厚生労働省ウェブサイト)

次のような条件を満たしているときには、生活保護を受けている人であっても、自己破産以外の方法で借金を解決できる可能性があるといえます。

抱えている借金が多額過ぎない
数ヶ月以内に、自立できるだけの収入を得る見込みがある
和解、再生計画認可の可能性がある

たとえば、「返せなくなった借金が60万円で、数ヶ月には警備員として働ける(復職できる)見込みが高く、弁護士・司法書士に依頼すれば任意整理も可能」というケースでは、自己破産を強いることは、逆に自立を妨げる可能性が高いといえます。

自己破産すれば免責を受けるまでの間は警備員として働くことができないからです。

さらに上の例では、任意整理の交渉にも数ヶ月程度の期間がかかるので、借金の返済を再開する(任意整理がまとまる)までに、復職できる(生活保護を受けなくて済むようになる)可能性も高いと考えられるからです。

生活保護を受けている(受けようとしている)人が自己破産するときの重要ポイント

自己破産は、あまりよいイメージのある手続きとはいえません。

実際にも「自己破産は恥ずかしいこと」と考えてしまっている人も少なくないようです。

「生活保護を受けているだけでも辛いのに、自己破産なんてしたくない」と考えている人も多いかもしれません。

しかし、生活保護をうけるほど収入が減ってしまった人にとって、自己破産はデメリットよりもメリットの方が大きい手続きということができます。

生活保護受給者にとって自己破産は、デメリットがほとんどない手続き

「自己破産はデメリットの大きい手続き」という印象を持っている人は多いと思います。

しかし、生活保護を受けている(受けられる)人の場合には、自己破産をしてもデメリットがほとんど生じない場合がほとんどといえます。

自己破産の最大のデメリットは、債権者に対する配当を行うために「持っている財産を処分されてしまう」ことです。

しかし、生活保護を受けている人であれば、自己破産をしても財産を全く失わない場合がほとんどといえます。

自己破産をしても「すべての財産を処分される」わけではなく、基本的な生活を維持するために必要な家財道具は、処分されずに手元に残すことが認められているからです(差押禁止財産)。

さらに、自己破産をしても、差押え禁止財産とは別に、99万円までの財産を手元に残すことが認められています(自由財産)。

つまり、持っている財産が99万円以下であれば、自己破産しても財産を全く失わないということなのです。

生活保護を受ける(申請しようと考えている)人で、99万円以上の財産を持っているということはほとんどないでしょうから、自己破産しても財産を失うこともありません。

また、財産処分以外のデメリットとしては、次のことが挙げられます。

自己破産したこと、氏名・住所が官報に公告される
免責を受けるまでの間、一定の職業(警備員など)に就くことができない
転居や長期間の旅行に裁判所の許可が必要となる場合がある(管財事件のとき)
郵便物が破産管財人に回送され閲覧される

しかし、これらのデメリットは、生活保護を受けている人にとっては、ほとんど無関係といえます。

まず、官報に氏名などが掲載されても、それを見ている人はほとんどいません。一般の人や企業は、いちいち官報を確認していないからです。
ただ、自己破産後に怪しい金融機関からダイレクトメールが届くことがあります。いわゆるヤミ金業者などは、顧客開拓のために、官報情報を確認していることが多いからです。

自己破産による就業(資格)制限も、生活保護を受けている人のほとんどには関係がありません。一般的な仕事には、自己破産の影響は全く受けないからです。

また、転居・旅行・郵便物の回送といったデメリットは管財事件となった場合だけに生じるので、ほとんどのケースでは関係がありません。差し押さえる財産がないときには、管財事件ではなく同時廃止事件となるからです。

したがって、自己破産直後に警備員、保険外交金といった資格制限を受ける仕事に就きたいというケースを除いては、生活保護を受けている人の自己破産にはほとんどデメリットがないといえます。

生活保護を受けている人は「タダ」で自己破産(債務整理)できる

債務整理をするには費用がかかります。債務整理の費用としては、手続きを代わりに行ってくれる弁護士・司法書士に支払う報酬、裁判所に納める手数料などがあります。

生活保護を受けている(受けられる)人であれば、債務整理の費用を心配する必要はありません。生活保護受給者が債務整理するときの費用は、「法テラス」がすべて支払ってくれるからです。

「法テラス」では、所得が少ないことで法サービスを利用する人が難しい人のために、費用を立替払いする事業を行っています(民事法律扶助)。

民事法律扶助を受けられる基準は、手取り月収18万円以下が目安となります(世帯人数・居住地域・家賃負担の有無などで条件はかわります)。

したがって、生活保護を受けられる収入しかないのであれば、民事法律扶助は必ず受けられます。

民事法律扶助で立て替えてもらった費用は、費用立替えの2ヶ月後から月1万円(もしくは5,000円ずつ)の分割で償還するのが原則です。

しかし、債務整理の手続きが完了したとき(和解が成立したとき、免責が確定したとき)に、生活保護を受けていれば、費用の償還も「完全に免除される」のです。

したがって、生活保護を受けている人であれば、1円も負担することなく、自己破産ですべての借金を免除してもらうことができるわけです。

なお、債務整理が完了する前に、仕事に就けたので生活保護の支給が打ち切られたというときには、法テラスに立て替えてもらった費用を償還しなければならないことに注意が必要です(償還免除の可否は、債務整理終了時点の経済状況が基準となります)。

自己破産については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?

法テラス(民事法律扶助)の利用は、個別の弁護士・司法書士からも申し込める

法テラスの民事法律扶助は、法テラスの地方事務所ではなく、個別の弁護士・司法書士事務所からも申し込むことができます。これを「持ち込み方式」と呼ぶことがあります。

「持ち込み方式」を利用すれば、自己破産(債務整理)を依頼する弁護士(司法書士)を自分で選ぶことができます。

また、法テラス地方事務所に申し込んだ場合よりも、早期に債務整理に着手することも可能となります。

法テラス地方事務所に申し込んだ際には、「資力審査が終わるまで」、債務整理を依頼することができないのに対し、「持ち込み方式」では、「資力審査前に債務整理を依頼できる」からです。

資力審査には、半月から1ヶ月程度かかることが一般的です。

深刻な借金を抱えているときには、この1ヶ月のロスが大きな問題となることも少なくありません。

また、持ち込み方式であれば、債務整理を依頼した弁護士に、生活保護申請のサポートをしてもらうことも可能となります。

生活保護と自己破産のどちらを先行させるにせよ、弁護士に相談してみることが最適といえるでしょう。

関連記事⇒債務整理と法テラス?自己破産や任意整理の弁護士費用の違いとメリット

まとめ

生活苦と借金問題は一体の問題となっていることが少なくありません。

そのため、ほとんどのケースでは、両方の問題を同時並行で解決していかねばならないといえます。

借金問題・債務整理に精通した弁護士・司法書士には、貧困問題、生活保護制度に詳しい人も少なくありません。

ケースによっては、生活保護以外の救済手段・支援手段を活用することで状況を打破できることもありうるでしょう。

生活に苦しい状況では、ネガティブな思考になりやすく、問題解決に向けて一歩踏み出せないということも珍しくないと思います。

しかし、借金や生活苦といった問題は、専門家のサポートを受けることで、状況を改善させることが可能です。

生活が苦しい、借金が返せないというときには、できるだけ早く相談をうけてみましょう。

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