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TSB債権管理回収株式会社からのハガキを無視するのは危険?3つの対応と債務整理の選択肢

この記事の読者には、ある日突然「TSB債権管理回収株式会社」という聞いたこともない会社から借金などの支払いを求められてびっくりしている人が多いと思います。

身に覚えのない会社からの支払い請求は、詐欺ではないかとどうしても警戒してしまいます。

いまでは、さまざまな手口の不正請求や詐欺が横行しているからです。

「TSB債権回収株式会社なんて聞いたこともないし詐欺だから放置しておこう」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、「TSB債権管理回収株式会社」からの支払い請求は、詐欺や不正請求ではありません。

したがって、TSB債権管理回収株式会社から支払いを求められているときには、正しく対応しなければ、民事訴訟などの法的措置を取られてしまうことがあります。

他方で、「差し押さえにあうのはイヤだ」と慌てて連絡をすると、本当は支払う必要のなかった借金を返済しなければならなくなってしまうこともあるので、状況に合った正しい対応をしなければいけません。

TSB債権管理回収株式会社から督促状やショートメールが届いて、どうしてよいかわからないという人は、参考にしてみてください。

TSB債権回収株式会社とはどんな会社?

TSB債権管理回収株式会社とは、他社の債権を管理・回収することを専門に行っている株式会社です。

他社の債権を管理・回収することを専門に行っている株式会社のことをサービサー(債権回収業者)といいます。

サービサーは、法律に認められた特別な会社

他人の債権を回収する業務は、弁護士のみが行えるのが原則です。弁護士法が、弁護士以外の者が債権回収を業とすることを禁止しているからです(弁護士法72条・73条)。

弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法73条
何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によって、その権利の実行をすることを業とすることができない。
参考 弁護士法|e-Gov

サービサーには、この弁護士法の例外として、特別に債権回収を業とすることが認められています(もうひとつの例外は、認定司法書士が140万円以下の債権を回収する場合です)。

また、サービサーになるためには、次のような厳しい条件をクリアした上で、法務大臣の許認可を得る必要があります。

資本金5億円以上の株式会社であること
取締役に弁護士が1名以上就任していること
暴力団などを排除する仕組みが完備されていること

TSB債権管理回収株式会社は、1999年6月に法務大臣より許可を受けています(法務大臣許可番号6番)。

許可番号は、許認可取得準に振られるものなので、TSB債権回収は、サービサーとしては老舗の部類に入るといえるでしょう(令和元年5月時点で、最新の許可番号は125番)。

TSB債権管理回収株式会社から金銭の支払いを請求される2つのパターン

TSB債権管理回収株式会社から金銭の支払いを請求されるのは、次のいずれかの場合です。

TSB債権回収株式会社が業務委託を受けている金融機関への支払いを滞納しているとき
滞納している借金などの債権をTSB債権回収が買い取った場合

TSB債権回収株式会社に回収・管理を委託している金融機関はどこ?

TSB債権回収株式会社に債権の管理・回収を委託している金融機関としては、東京スター銀行や東京スター・ビジネス・ファイナンスが挙げられます。

TSB債権管理回収株式会社は、東京スター銀行の100%子会社だからです(TSBは、東京スター銀行の略称です)。

東京スター銀行は、経営破綻した東京相和銀行を引き継いだ第二地銀で、特にリテール商品(消費者向けの金融商品)を重視している銀行です。

最近では、リーバースモーゲージ(充実人生)のテレビCMを目にする機会が増えているので、「東京スター銀行なら知っている」という人もいるかと思います。

東京スター・ビジネス・ファイナンスは、中小の事業者向けに、「売掛債権担保融資」を行っている金融機関です。

【参考】東京スター・ビジネス・ファイナンス公式ウェブサイト

滞納している借金などの債権をTSB債権管理回収株式会社が買い取った場合

サービサーは、金融機関委託された場合だけでなく、サービサー自らが債権を直接買い取って回収を行う場合があります。

たとえば、回収の焦げ付いた不良債権であれば、券面額(実際の債権額)よりも安い金額で買い取れることもあるので、譲渡額以上の金額を回収できれば、それがサービサーの利益となるわけです。

TSB債権管理回収株式会社から請求を受けたときの対処方法

送られてきた督促状やショートメールが本当に「TSB債権管理回収株式会社」から送られてきたのであれば、架空請求や詐欺ではないので、きちんと対応しなければなりません。

しかし、最近では、実際のサービサーの名称などを装って不正請求・詐欺を働く悪質な詐欺集団も増えています。

そのため、封筒やメールに書かれている企業名だけで、「不正請求かどうか」を判断することはとても危険です。

本当にTSB債権管理回収株式会社からの請求であるかどうかを確認する方法

本当にTSB債権管理回収株式会社からの請求であるかどうかを見極める最も基本的な方法は、督促状やメールに書かれている、会社の名称・住所・連絡先(振込先)などを公式の情報と照合することです。

TSB債権管理回収株式会社の所在地、連絡先は下記のとおりです。

・企業名 TSB債権管理回収株式会社(営業部 債権管理3課)
・所在地 〒107-0052 東京都港区赤坂2-2-17 ニッセイ溜池山王ビル8階
・電話番号 03-5549-7232
・FAX番号 03-3586-0654

督促状やメールに記載されている連絡先などが、上記の情報と合致しないときには、不正請求や詐欺の可能性が高いといえます。

たとえば、TSB債権管理回収株式会社の公式ウェブサイトでは、「050」で始まる電話番号からの請求は不正請求・詐欺であると案内しています。

【参考】当社名をかたった業者、当社と類似した社名の業者からの不審な支払い請求にご注意ください(TSB債権管理回収株式会社公式ウェブサイト)

請求される内容などで判断する

サービサーからの請求を装った不正請求・詐欺で最も多いのは、「インターネットの動画サイト登録料を請求する」といった場合です。

TSB債権管理回収株式会社は、動画サイト登録料などの債権を取り扱うことはないようです。

また、「支払いができなければ裁判をする」といきなり通告してくることや、「支払いのためにコンビニエンスストアでプリペイドチケットを買って支払ってほしい」と依頼してくることもありません。

TSB債権管理回収株式会社に連絡するときにしてはいけないこと

不正請求や詐欺ではなかったときには、督促状やメールを完全に無視するわけにはいきません。

督促を無視し続ければ、民事訴訟の提起や支払督促の申立てといったさらに厳しい回収が行われる可能性が高くなるからです。また、自宅への訪問督促が行われることもあるかもしれないからです。

とはいえ、督促状やメールが届いたからといってすぐに電話連絡することも、あまりオススメできません。

詐欺や架空請求でなかった場合でも、サービサーは「本当は支払う必要がない借金」を請求してくることがあるからです。

サービサーは消滅時効が完成した借金の支払いを求めてくることもある

サービサーから支払いを求められている借金には、「すでに消滅時効が完成している」ものも少なくありません。

元の債権者(銀行や消費者金融など)が、長期間の延滞の末回収をあきらめた債権がサービサーに譲渡されるケースがあるからです。

消滅時効が完成している借金は、正しく対応することで、法律上の返済義務を消滅させることが可能です。

他方で、対応を間違えると、返済義務を消滅させることができなくなってしまう場合もあるので、慎重に対応しましょう。

消滅時効が完成しているかどうか判断する方法

サービサーから督促状などが届いたときには、そこに記載されている「最終取引(返済)日」の日付を確認します。

最終取引(返済)日の翌日から5年以上経過しているときには、その借金には「消滅時効が完成している」可能性が高いといえます。

ただし、最終返済日より後に、次のような事実があったときには、消滅時効が中断している可能性もあるので注意しましょう。

・債権者によって民事訴訟や支払督促が申し立てられた
・最終返済日より後に、債権者に対して「返済猶予」の申し入れなどをしている

これらの事情があるときには、素人判断をせずに、弁護士などの専門家に相談して、消滅時効完成の可否について判断した方がよいでしょう。

また、ショートメールなどで「連絡してください」とだけ伝えられているようなケースでは、請求されている債権の詳細がわかりません。

その場合には、返済についての態度を示さずに、相手の請求の詳細を知らせてくれるように依頼しましょう。

消滅時効が完成していたときの対処法

TSB債権管理回収株式会社から請求されている借金に消滅時効が完成していたときでも、それだけで安心してはいけません。

消滅時効は、「完成しただけ(5年経っただけ)」では、借金の返済義務を消滅させてくれないからです。

消滅時効によって借金の返済義務をなくすためには、「時効の援用」という特別の通知を債権者に行う必要があります(民法145条)。

時効の援用を行うためには、「債権を特定できる情報(債権者・債務者・契約の詳細)」と「その債権(債務)について消滅時効によって返済義務を免れること」を債権者に通知する必要があります。

一般的には、下記の事項を記した書類(消滅時効援用通知書)を、「内容証明郵便」にて債権者に送付することが一般的です。

・債務者の氏名・住所・生年月日など
・債権者の名称・所在地
・返済を免れる借金の情報(契約番号・契約日・借入額など)
・最後の取引日から5年(以上)経過していて消滅時効が完成していること
・消滅時効によって返済義務を免れること

文書を書くことそれ自体は難しい作業ではありません。

ネットなどで入手できるひな形を参考にすれば、専門家に依頼しなくても自分で作成することも十分可能だろうと思います。

しかし、自分で消滅時効の手続きをする場合でも、1度は弁護士などに相談しておいた方が安心といえます。「本当に消滅時効か完成しているかどうか」については、専門家の助言を得ておくべき場合の方が多いからです。

時効援用前に「返済猶予」をお願いすると時効援用できなくなることも

消滅時効が完成している場合でも、時効援用前に間違えた対応をしてしまうと「時効援用の権利を失う」ことがあることに注意が必要です。

たとえば、すでに消滅時効が完成している借金の返済をTSB債権管理回収株式会社から求められた際に、「時効援用前」に次のような対応をしてはいけません。

「一括返済はできないから分割できないか」と申し入れる
「返済を猶予して欲しい」と申し入れる
実際に請求額の(一部)を支払ってしまう(利息・遅延損害金だけを支払った場合も含む)

これらの行為は、「時効援用前の債務承認」となってしまうからです。

消滅時効完成後であっても、時効援用前に債務承認をしたときには、「時効援用権を失う」ことになり、借金を返済しなければならなくなってしまいます。

しかし、債務承認が次のような程度にとどまるときには、(債務承認後でも)時効援用できる可能性が残されています。

債権者から強要されて返済に応じた場合
ほんの僅かな金額の返済を「1回しただけ」の場合
債権者が「消滅時効の完成」を知っていたとき
債務者が「消滅時効が完成していたことを全く知らなかった」場合
最後の返済から10年以上経ってから(いまさらになって)請求されたような場合

これらのケースでは、債務者に消滅時効の援用を認めたとしても、債権者の権利(期待)を著しく害するとはいえないからです。

ただし、債務承認後の時効援用をするケースのほとんどは、訴訟までもつれる可能性が高いといえるでしょう。

できるだけ早く弁護士などに相談をして対処する必要があります。

TSB債権管理回収株式会社のようなサービサーが、消滅時効の完成を知らずに請求していることはないでしょうから、債務承認してしまった場合でもあきらめる必要はありません。

ただし、債務承認後の時効援用は訴訟までもつれる可能性が高いので、できるだけ早く弁護士に相談すべきでしょう。

すでに裁判所の手続きを経ている借金の支払いを請求されたとき

TSB債権管理回収株式会社から送られてきた督促状に「判決」、「支払督促」、「事件番号(〇×裁判所平成(令和)〇年(カタカナ記号)1234事件という表記)があるときには、その借金はすでに裁判所の手続きを経ているものです。

裁判所の手続きを経ている借金は、「いつでも強制執行(差押え)できる」状況にある点で特に慎重に対応する必要があります。

裁判済みの借金を請求されているときに特に注意すべきこと

裁判などを経由してすでに「強制執行できる状態」にあるにも関わらず、サービサーに取立てが委託されたり、債権譲渡されるケースは、「債務者の財産についての情報がない」ことを理由に強制執行が申し立てられなかった場合がほとんどです。

強制執行を申し立てる際には、差し押さえの対象となる財産を債権者が特定しなければならないからです(1度でも差し押さえの手続きをすれば、その後は裁判所経由で債務者に「財産開示」を要求できます)。

たとえば、「勤務先の倒産が原因で借金が返せなくなった場合」や、「借金苦に原因に転職した場合」などには、勤務先の情報がわからずに給料を差し押さえられず、金融機関が回収を断念することも珍しくありません。

したがって、TSB債権管理回収株式会社から「裁判済みの借金の返済」を求められているときには、「勤務先」や「口座を持っている銀行」といった、差し押さえ可能な財産に関する情報を伝えてはいけません。

裁判済みの借金でも消滅時効が完成することもある

裁判済みの債権(借金)がサービサーに譲渡されるケースでは、「裁判後かなり時間が経っているケース」も珍しくありません。

裁判前の借金と同様に、裁判(支払督促)後の借金であっても消滅時効で解決できる場合があります。

ただし、裁判済みのケースでは、消滅時効の完成までにかかる期間がかわることに注意が必要です。

裁判済みの場合には、「判決(支払督促)の確定日の翌日から10年」経たなければ消滅時効は完成しません。

このケースでは、過去に必ず「判決」や「支払督促」が裁判所から送達されているはずなので、その記録(記憶)を基に判断することができます。

裁判所から送られてきた判決書などを捨ててしまったというときには、督促状記載されている情報から判断するほかありません。

TSB債権管理回収株式会社の請求を消滅時効で解決できない場合

TSB債権管理回収株式会社から返済を求められている借金などに消滅時効が完成していないときには、支払いに応じるほかありません。

TSB債権管理回収株式会社との交渉に不安を感じたらすぐに弁護士などに相談を!

サービサーから借金等の返済を求められるときには、請求額も大きい場合が少なくありません。ほとんどのケースでは、長期間の滞納となっているため遅延損害金がかなり膨らんでいるからです。

もっとも、サービサーも遅延損害金を含めた請求額の満額を簡単に回収できるとは思っていない場合が多いといえるので、分割払いや、遅延損害金・将来利息のカットといった交渉に応じてくれるケースは多いといえるでしょう。

200万円の借金であっても、サービサーは20万円程度で買い取っている可能性だってあるからです。

しかし、分割払いなどの交渉に応じてもらえたというだけで安心しきるのは危険です。

当然のことながら、サービサーは、少しでも自社に有利に交渉を運ぼうとするからです。

実際にも、サービサーのペースで分割払いの交渉が進められたことで、「返済し続けるのが難しい金額」で同意させられてしまったということは珍しくないようです。

少しでも不安を感じたときには、できるだけ早く弁護士などに相談しましょう。

債務整理すれば、さらに支払総額を減らせる可能性がある

サービサーからの請求を債務整理で解決できれば、自分で交渉する場合よりも有利な条件で、支払いを解決できる可能性もあります。

また、借金問題・債務整理の相談は、ほとんどの弁護士・司法書士事務所では、無料で相談を受けることができます。

相談をしたからといって必ず債務整理を依頼しなければならないわけではないので、「自分でサービサーと交渉する上で注意すべきこと」を聞くために相談を利用するのでもかまわないと思います。

まとめ

サービサーは、普段の生活では全く接点のない会社といえます。

全く身に覚えのない会社から突然多額の支払いを求められると誰もが驚きます。

しかし、慌てて対応をすれば、本当は支払う必要のなかった借金を返済させられてしまうこともあるので、注意しましょう。

また、サービサーから請求される借金は、長期間の滞納となっているものがほとんどです。

一括ですぐに返済できないというときには、できるだけ早く弁護士などに相談をした方がよいケースが少なくありません。

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