夫婦の借金問題と債務整理

夫婦揃って借金を抱えてしまったというケースは、珍しくありません。

家計が同じなので、夫の借金の返済を妻が借金して支えるということもあるでしょう。

また、近年では「夫婦ペアローン」で住宅を購入するケースも増えています。

夫婦の借金は、片方の返済が行き詰まると、もう片方の返済も行き詰まるリスクが高まります。

借金の悪化にともなって夫婦関係が悪化することもあるでしょう。

夫婦2人共に借金があるケースでは、慎重な対応をしなければならないことが少なくありません。

また、重要なことなので先に結論からお伝えします。

既に夫婦で多額のお金を借りている状態であれば、1日でも早く専門家に相談することをおすすめします。

『現実的に考えて、お互いの今の収入で自力で借金完済するのは厳しいと分かりつつも後回しにしてしまっている。』

『お互いの借金が1年以上減っていない。若しくは増えている。』

このような状態まで状況が悪化している方は、既に黄色信号が点滅している危険な状態です。

夫婦だけで悩み続けるのではなく、手遅れになる前に今すぐ法律事務所に相談をしてください。

どの法律事務所に相談をしたら良いか分からない方は、匿名で利用できる無料シミュレーションサイトの利用が便利です。

それでは解説をしていきます。

夫婦2人の借金を早めに債務整理すべき3つの理由

借金の問題は、「深刻化する前に解決」することがベストです。

特に、夫婦揃って借金している場合には、次のような問題が生じるので、「早期処理」がさらに重要となります。

夫婦の関係が悪化する

借金が悪化すれば、精神的な負担が大きくなります。

返済で生活が苦しくなれば、さらに負担も大きくなります。

そのため、夫婦関係が悪化するリスクが高まります。

ところで、日本人は「お金の話」が苦手な方が多い傾向にあります。

特に「共働き」の夫婦では、「配偶者の財布事情を詳しく知らない」という方も少なくないようです。

借金がかなり深刻化してはじめて「配偶者に打ち明ける」あるいは「債権者からの督促でバレてしまう」といったことで、夫婦間の信頼関係にヒビが入ることも珍しくありません。

借金だけでは離婚できない

夫婦の関係が悪化すれば離婚の可能性が高まります。

しかし、「協議離婚」できないときには、問題はさらに難しくなります。

協議離婚できないときには、裁判所等に離婚調停を申し立て、離婚の協議をします。

離婚調停でも離婚できなければ、離婚訴訟を提起して、離婚を求めます。

これを「裁判離婚」といいます。

裁判離婚は、民法770条1項が定めた「法定離婚事由(原因)」がなければ離婚できません。

法定離婚事由の最も典型的なものは、「不貞行為(民法770条1項1号)」や「過度の浪費・DVといった婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)」です。

実は、「配偶者に借金がある」というだけでは、「法定離婚事由には該当しない」というのが、民法の一般的な解釈です。

配偶者の借金には返済義務がある

借金には様々な理由があります。

ギャンブルやブランド品購入、風俗通いといった「遊興費を原因とする借金」もあれば、生活費を補填するために「やむなくする借金」もあります。

たとえば、「ギャンブル好きの夫が多額の借金を抱え、生活費を全く支払わない」のであれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められ、裁判離婚も可能でしょう。

さらに、上記のような借金は、「保証人(連帯保証人)になっていない限り」、配偶者に返済義務はありません。

借金した本人のみが返済義務を負います。

しかし、次のような支出のための借金は、「日常家事債務」として「夫婦は連帯して責任を負う」ことになります(民法761条)。

家賃 ・光熱費 ・医療費 ・保険料 ・養育費 ・教育費
食料品、医療品、家具、家電製品等の生活に必要な物の購入費
適当な程度の娯楽費(分不相応でない家族旅行等の費用)

なお、日常家事債務の借金は、「離婚事由」には該当しません。また協議離婚しても、返済義務(連帯責任)は免除されません。

離婚すれば「相手方」とは疎遠になることが一般的です。借金の返済義務を抱えた相手方と連絡が途絶えることは、非常に危険です。

夫婦2人の借金を債務整理する流れ

夫婦で借金している場合の債務整理の流れについて説明していきます。

夫婦揃って借金しているときには、「離婚の可能性を問わず」協力して返済に取り組むことが大切です。

夫婦揃って法律相談を受ける

夫婦の片方の借金が多いケースでは、「借金の多い方」だけが弁護士・司法書士に相談することもあるかもしれません。

しかし、夫婦揃って借金しているときには、「借金の額」を問わず、夫婦揃って法律相談を受けるべきでしょう。

夫婦揃って借金しているケースでは、「同時に債務整理すべきか」、「片方だけ債務整理すれば十分なのか」は、すべての事情を正確に把握しなければ判断できません。

法律知識のない方が「借金の額」だけで、「夫(妻)だけ債務整理すれば大丈夫」と決めつけてしまうことは、非常に危険です。

夫婦が互いに「問題を共有して協力して取り組む」という意味でも、夫婦揃って法律相談を受けることが重要でしょう。

いずれにしても、借金問題は時間がたてばたつだけ事態は深刻化していく状況が好転することは絶対にありません。

逆に言えば、早い段階であれば借金問題は債務整理することで比較的簡単に解決することが可能だとも言えます。

1日でも早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

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債務整理の方法

債務整理の方法には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」があります。

それぞれを簡単に説明すると、次のようになります。

任意整理は、「利息を免除」してもらって分割払いをやり直す方法

参考⇒任意整理のメリットとデメリット~債務整理で1番多い手続きの注意点

個人再生は、「利息免除に加えて借金を減額」してもらい3年で分割返済する裁判所の手続き

参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある

自己破産は、「自己破産したときの財産」で「すべての借金」を「強制的に清算」する裁判所の手続き

参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?
借金がそれほど多額でなければ「任意整理」、分割でも返済しきれないほど「多額」であるときには「自己破産」を選ぶことが多いと思います。
個人再生はその中間的な借金の場合や、「住宅ローン残った自宅を手放したくない」ときに利用します(住宅ローンの問題については、下で別に説明しています)。

しかし、「どの手続き」を使うのか、「夫婦同時か片方だけか」ということは、借金や収入・財産の状況に照らして慎重に検討する必要があります。

弁護士・司法書士と相談の上で決めると良いでしょう。

住宅ローンが残っている場合

消費者金融やカード会社からの借金のほかに「住宅ローン」が残っているケースでは、特に慎重な対応が必要です。

消費者金融やカード会社を任意整理するだけで解決できるのがベスト

「任意整理」は特定の債権者だけを対象に行うことができます。

たとえば、消費者金融2社からの借金と住宅ローンを抱えているケースでは、「消費者金融2社だけ」を債務整理できます。

消費者金融を任意整理することで、「住宅ローンはこれまで通り返済できる」のであれば、自宅を手放すことなく、借金を整理することができます。

しかし、任意整理は、「利息の免除」と「分割払いのやり直し(返済期間の再設定)」によって「返済しやすく」する方法に過ぎません。

通常の任意整理では「借金の額」は減らないことに注意が必要です。

自宅を手放さずに済むためには、「住宅ローンの返済」はこれまで通り(当初の約定通り)行う必要があります。

したがって、「任意整理で解決できる借金の額」は、「住宅ローンのないケース」よりも少なくなることに注意が必要です。

住宅ローン特則付きの個人再生を利用しても「住宅ローン」は減額されない

「任意整理では返済できない」ときには、「住宅ローン特則付きの個人再生」を利用します。

住宅ローン特則を利用すれば、抵当権の実行を阻止しながら「住宅ローンの返済条件」を再設定することが可能です。

また、住宅ローン特則を利用すれば、「延滞により失った期限の利益の回復」、「既に申し立てられた競売手続きの停止」が可能となることもあります。

ただし、「住宅ローンが減額」されることはありません。

住宅ローン特則は、「返済条件の見直し」、「返済のやり直し」は可能だけど、「返済の減免はできない」と覚えておくと良いでしょう。

住宅ローンと債務整理の関係については下記ページで詳しく解説をしています。

参考⇒住宅ローンと債務整理~自己破産ではなく個人再生で借金を減らす方法

あえて繰り返しますが、この状態になる前に解決してしまうのが1番なのは間違いありません。

時間がたてばたつだけ状況は悪化し、最終的に待っているのは闇金に手を出し破滅するパターンです。

自分は大丈夫だと思っていても、追い込まれるとつい闇金に手を出してしまう方は少なくはありません。

最悪の状況に陥るその前に、まずは今すぐ専門家に相談することをおすすめします。

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アンダーローンの場合には個人再生は不利になる

住宅ローンの返済がかなり進んでいて「アンダーローン(売却評価額がローンの残債務より大きい)」の場合には、個人再生を利用しても「借金が減らない」可能性があります。

中高年の夫婦の借金の場合には、「アンダーローン」の場合が少なくないでしょう。

また、若い夫婦よりも「借金が多額」となりやすいことにも注意が必要です。

「任意整理」でも「個人再生」でも返済できなければ、「自己破産」で自宅を手放すほかありません。

「ペアローン」のケースは、弁護士選びも慎重に

近年では、「ペアローン」を組んで住宅を購入する夫婦が増えています。

ペアローンを抱えた夫婦の債務整理は、非常に大変です。

まず、お住まいの地域の裁判所によっては、「ペアローン」があるときには住宅ローン特則を利用できない可能性があります。

民事再生法の定めでは、「住宅ローンの他に担保権が設定されている」ケースでは住宅ローン特則を利用できません(民事再生法198条1項ただし書き)。

この規定は、「住宅ローンの他に不動産担保ローンが組まれている」ケースを想定したものです。

不動産担保ローン(追加の借金)とペアローンは、趣旨の違う借金ですが、条文の解釈としては、「ペアローン」だと住宅ローン特則は使えないことになります。

実は、「住宅ローン特則」が制定されたときに「ペアローンの普及」は想定されていませんでした。

つまり、「ペアローンで住宅ローン特則を利用できない」のは、「制度の不具合」ともいえます。

そこで、東京地裁・大阪地裁では、ペアローンのケースでも「夫婦が同時に個人再生を申し立てる」ことを条件に、「住宅ローン特則の利用を認める運用」をしています。

しかし、地方の裁判所では、裁判所の都合等で「ペアローンでも住宅ローン特則を認める運用」が始まっていない可能性があります。

また、その地域の裁判所で運用されていなければ、「ペアローンの個人再生を受任してくれる弁護士」が見つからない可能性もあります。

東京地裁・大阪地裁の実務運用は、次第に全国に拡がることが一般的です。

したがって、「手助けしてくれる弁護士さえ見つかれば」、東京・大阪ではないからと「ペアローンでの個人再生(住宅ローン特則)」を諦める必要はありません。

ペアローンを抱えている夫婦が個人再生の利用を検討している際には、特に慎重に弁護士を見つける必要があります。

借金問題は早期対応が一番

ここまでお話してきたように、夫婦で借金している場合には、対応の難しい問題が少なくありません。

法律知識のない方は独自に判断せずに、弁護士・司法書士のアドバイスを必ず受けましょう。

また、借金の額が増えるほど、難しい対応を迫られることになります。

特に、中高年の夫婦の場合には、「世間体」等を気にするあまりに、債務整理の着手が遅くなることがあります。

住宅ローンを抱えている場合には、「まだ頑張れる」と先延ばしにすることが悪い結果となることもあります。

返済が厳しいと感じたら、1日でも早く夫婦揃って弁護士・司法書士に相談しましょう。

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