債務整理と差し押さえ

借金で悩んでいる方は、「返済できなければ差し押さえされるかも」と心配になったことがあるのではないでしょうか。

しかし、差押えの不安はあっても、詳しくは知らないという方が多いかと思います。

本文で説明するように、通常は、借金を延滞しても、いきなり給料は差し押さえられません。

差し押さえをするには、訴訟を起こす等の必要な手続きを踏まなければならないからです。

ただ、差し押さえが開始されると、それを解除するには非常に手間がかかります。

また、給料が差し押さえられることになれば、勤務先での評価にも悪い影響がでます。

この記事では、「差押え」について最低限知っておいたもらいたいポイントについて説明していきます。

給料等を差し押さえられる前に、弁護士・司法書士に債務整理を依頼することが重要です。

また、『債務整理をしなければ問題解決出来ないのはどこかで、分かっているけど放置している。』

『給料が出ても支払いや返済をすると生活が厳しく、カードでしのいだり月末になるとまた借りてしまう。』

このような状態まで状況が悪化している方は、すでに黄色信号が点滅している危険な状態です。

1人で悩み続けて手遅れになる前に、今すぐに法律事務所に相談をしてください。

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それでは解説をしていきます。

借金での差押えには「手続き」が必要

差押え(強制執行)は、「財産権(所有権)」という非常に重要な権利を制限する手続きなので、慎重に行われる必要があります。

通常は、「借りたお金を返していない」というだけでは、差押えはできません。

差押え(強制執行)の手続きを申し立てるには、「執行文の付与された債務名義の正本」が必要となります。

少し長い表現ですが、法律実務ではお決まりの表現です。債務名義の典型例は確定判決です(詳しくは下で説明しています)。

執行文は債務名義の発行者に付与してもらいます。確定判決であれば言い渡した裁判所、執行証書であれば公証人です。

なお、強制執行の手続きの詳細については、裁判所ホームページでの説明も参考にしてください。

債務名義となるもの

「債務名義」とは、簡単にいえば、「法律上確定した権利義務関係を記した書類」のことです。

たとえば、アコムやアイフルといった消費者金融が発行する「金銭消費貸借基本契約書」は、「権利義務関係を記した書類」です。

しかし、「法律上確定したもの」ではないため、契約書は債務名義にはなりません。

完済後も契約書が破棄されずに残っているケースもあり得るからです。

「債務名義」として扱われるものは、民事執行法22条各号で決められています。

代表的なものは次のとおりです。

確定判決
仮執行宣言付き判決
仮執行宣言付き支払督促
執行証書(公正証書)
確定判決と同一の効力を有するもの

「債務名義」を作成する最も一般的な方法は「民事訴訟」です。

「お金の貸し借り」については、訴訟よりも簡易な債務名義作成手続きである「支払督促」もよく利用されます。

また、「確定判決と同一の効力を有するもの」の例としては、和解や調停した場合の調書があげられます。

たとえば、「特定調停」が成立した場合の調停調書(あるいは17条決定)は、確定判決と同一の効力があります(民事調停法16・18条)。

つまり、「特定調停」成立後に返済を延滞すると、「調停調書に基づいて」差し押さえられる可能性があります。

通常の任意整理では、債務名義(執行証書もしくは即決和解)は作成しません。

したがって、「任意整理は延滞してもすぐ差し押さえされない」が、「特定調停は延滞すると差し押さえされる」という大きな違いがあります。

いずれにしても借金問題は時間との勝負です。

時間がたてばたつだけ状況は悪化し、取れる対応策も減っていきます。

1人で抱え込むのではなく、1日も早い段階でその道の専門家に相談をすることをおすすめします。

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離婚調停した方は注意が必要!

借金で困っている方のなかには、離婚で負担した養育費の支払いが遅れている人も少なくありません。

離婚調停の調停調書も確定判決と同一の効力を有しています。

したがって、離婚調停した場合に養育費の支払いを延滞すると、調停調書に基づいて強制執行されます。

なお、養育費は、自己破産や個人再生しても減免されず、全額支払う必要があります。

養育費の減免は、相手方(元配偶者)と任意で交渉するか、養育費減額調停を申し立てる必要があります。

裁判所から「支払督促」が届いたら早急に相談!

借金の返済を延滞していると裁判所から下のような書面が届くことがあります。

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これは「支払督促」とよばれる「簡易に」債務名義を作成する手続きです。

「金額を支払え」と書かれているので、返済の督促と勘違いして「お金がないから払えない」と無視してしまう人がいますが、無視してはいけません。

上の例でも記載のあるように、支払督促は「送達後2週間以内に異議申立て」をしなければ、債務名義となります。

つまり「差押えが可能になる」ということです。

なお、「仮執行宣言付き支払督促」は執行文付与が不要なので、(民事執行法25条但書き)、確定判決の場合よりも迅速に差押えまで進みます。

異議を申し立てたには、支払督促は通常訴訟に切り替わります。

「なんだ結局裁判で負けるのか」と思った方もいるかもしれません。

しかし、通常訴訟に切り替えることで、弁護士・司法書士に相談して債務整理に着手する(差押えを回避する)時間を稼ぐことができます。

万が一「支払督促」が届いたら、決して無視せず、早急に弁護士・司法書士に相談しましょう。

公租公課の滞納があるときは、早急に相談しましょう

所得税や住民税、年金といった「公租公課」は、借金とは異なり「裁判によらず」に直接差押さえることが認められています。

公租公課の滞納分は、自己破産・個人再生しても減免されません。

公租公課の滞納が多額すぎるときには、再生計画が認可されないケースもあります。

公租公課の滞納があるときには、多額になる前に、弁護士・司法書士に債務整理の相談をしましょう。

給料の差押え

給料は「全額」が差し押さえられるわけではありません。

民事執行法152条で差し押さえできる上限が定められています。

実際に差し押さえられる金額は、「手取月収44万円」を基準に取扱いが異なります。

・手取り44万円未満・・・給料の1/4の額が差し押さえられる
・手取り44万円以上・・・33万円を超える額が差し押さえられる

たとえば、手取りが「20万円であれば5万円」が差し押さえられ、「50万円であれば17万円」が差し押さえられます。

なお、「個人事業主の請負報酬」や「役員報酬」は、上記の「給料」とは取扱いが異なります。

つまり、「全額の差押え」が可能となるので注意が必要です。

あえて繰り返しますが、借金問題は1日でも早い段階で対応をすることが鉄則です。

早期の段階であれば、借金問題を解決するのはそれほど難しいことではありません。

少しでも早く専門家と対策を講じていくことをおすすめします。

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「給料の差押えを理由した解雇」は不当だけど・・・

給料が差し押さえられるときには、当然、勤務先に「差し押さえ通知」が送付されます。

「給料の差押えを理由とする解雇」は法律上認められていません。

しかし、実際には勤務先に居づらくなるということが少なくないでしょう。

給料差押えを解除するのは大変

給料の差押えは、個人再生や自己破産を申し立てることで中止(停止)させることができます。

しかし、強制執行が中止(停止)されただけでは、厳密には給料の差押えはなくなりません。

つまり、「差押えの中止」は、「差押え債権者への配当が止まる」のみなので、給料を満額受け取れません。

給料を満額受け取れるようにするには、さらに「執行取消し」の手続きが必要です。

取消手続きをしない場合には、「再生計画認可決定」が確定するまで待つ必要があります。

一度差し押さえられると、それを元通りに戻すのは大変なのです。

また、差押え開始後に自己破産した際には、差押え解除の手続きのために破産管財人を選任する必要があります。

そのため、保有財産がなく同時廃止となるケースでも管財事件となり予納金の額が多くなります(30万円以上)。

詳しくは下記の記事で解説をしています。

参考⇒債務整理すると給料は差し押さえられる?給与所得者が注意したい事

家財道具の差し押さえ

古い映画やテレビドラマなどでは、「家にあるすべての家財道具」が差し押さえられるシーンを目にすることがあります。

しかし、現在の実務では、家財道具のほとんどは差し押さえられません。

民事執行法131条は、たとえば次の動産(財産)の差し押さえを禁止しています。

これを受けて、東京地方裁判所民事21部(強制執行を所管する部局)では、たとえば下記のような財産は「差押禁止」としています。

ほとんどの裁判所が同様の運用をしていると思われます。

・タンス
・洗濯機(乾燥機付きを含む、ただし1台まで)
・調理用具
・食器棚や食卓セット
・冷蔵庫(容量を問わない、ただし1台まで)
・電子レンジ(オーブン付きを含む、ただし1台まで)
・テレビ(29インチ以下、ただし1台まで)
・掃除機 (ただし1台まで)
・冷暖房器具(但し、エアコンを除く)
・エアコン(ただし1台まで)
・ビテオデッキ(ただし、1台まで)

基本的には、「日常生活で使用する家財道具」は差し押さえられないと理解してよいでしょう。

担保が設定されている財産(自宅・自動車等)

住宅ローンや自動車ローンは、自宅や自動車に担保権(抵当権・所有権留保)が設定されています。

担保権は、自己破産・個人再生の影響を受けずに回収できる強力な権利です。

自宅の場合には、個人再生(住宅ローン特則)を利用することで、開始された強制執行の手続きをなかったことにできる場合があります。

実務では「住宅ローンの巻き戻し」とよんでいますが、利用できる期限があるので、早急な対応が必要です。

自動車ローンを延滞したときには、自動車の引き上げを阻止することは難しいです。

担保権の実行は「阻止できない」のが原則です。上の「住宅ローンの巻き戻し」は、例外中の例外です。

差し押さえられる前に債務整理に着手しましょう

通常の借金では、延滞してもいきなり差し押さえられることはありません。

しかし、「差し押さえられないなら延滞しても良い」わけではありません。

延滞が続けば必ずいつか差押さえされるのです。

差押え手続きが開始されれば、日常生活に大きな影響がでます。

また、差押えを解除することは、上で説明したように簡単ではありませんし、余計な手間や費用がかかります。

弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、「差し押さえ」を「事前に回避」できます。

債務整理することで、勤務先に借金がバレるということもありません。

債務整理すれば返済額が減ります。

「このままでは差し押さえされるかも」不安に感じている方は、債権者から「差押えの予告」をされる前に、弁護士・司法書士に相談してみてください。

後から取り返しがつかない状態になる前に、1日でも早く行動をすることが非常に重要です。

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