「スポーツ選手が破産するときの注意点は?」
「借金を抱えたときは破産しかない?」
「破産すると何もかも差し押さえられる?」
こんな疑問を抱いていないでしょうか?
スポーツ選手といえば、一般的に高収入のイメージがあります。
しかし、実際には遠征費や用具代・トレーニング費用といったコストもかかりますし、生活がギリギリで借金を抱えている人もいるでしょう。
スポーツ選手でも、基本的に一般人と債務整理の手順は同じです。
今回はスポーツ選手で債務整理を考えている人に向けて、以下の内容をまとめました。
- 自己破産以外で借金を解決する方法
- 債務整理する際のポイント
- 自己破産したときの財産の扱い
この記事を読めば、法律の知識がない人でも適切な債務整理の方法がわかります。
借金問題は、放っておくとどんどん事態が悪化します。
現状で返済しきれない借金を抱えているなら、この記事を読んで債務整理に向けて動き出してください。
Contents
スポーツ選手が破産以外で借金を解決する方法
最初に覚えておきたいのが、借金の解決方法は自己破産だけではないということです。
債務整理には、主に3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
借金額が小さい場合は「任意整理」を行い、利息の免除と返済期間の見直しを行います。
任意整理で解決が難しい場合は「個人再生」を行い、借金を減額したあと、残りを3年間かけて支払います。
収入がない、もしくは低い場合は「自己破産」によって借金を全額免除してもらうことも可能です。
債務整理は状況に応じて、適切な方法を選ぶことが重要になります。
それぞれの債務整理方法については、下記の記事で紹介しているので参考にしてください。
参考⇒任意整理のメリットとデメリット?債務整理で1番多い手続きの注意点
参考⇒個人再生は家を残せる大きなメリットがあるが2つのデメリットもある
参考⇒自己破産はメリットしかない?家族や子供、仕事にデメリットはないの?
スポーツ選手が債務整理するときのポイント
同じスポーツ選手でも、働き方によって債務整理の事情は変わってきます。
実業団に所属しているケース、個人事業主のケースでそれぞれ債務整理のポイントをまとめたので、参考にしてください。
実業団に所属しているケース
実業団に所属している場合は、一般的なサラリーマンの債務整理とほぼ同じです。
毎月の給料がある人は、安定収入が証明できるので自己破産よりデメリットの小さい任意整理や個人再生で解決できるケースも多いでしょう。
自己破産以外の方法なら、家や車などの財産が差し押さえられる心配もありません。
会社に雇われていて安定収入がある場合は、自己破産以外の選択肢も考えることをおすすめします。
個人事業主のケース
個人事業主のスポーツ選手が債務整理する場合、注意点がいくつかあります。
特に注意しておきたいのは次の3つです。
- 安定収入が証明できない可能性がある
- スタッフに未払いの給料は減額・免除されない
- 継続契約はやや複雑な処理になる
順番にわかりやすく解説します。
(1)安定収入が証明できない可能性がある
個人事業主の場合は、任意整理や個人再生が難しい場合があります。
なぜなら、会社に雇われている場合と違って、安定収入を証明できない可能性があるからです。
任意整理・個人再生は手続き後も返済を続ける必要があるので、安定収入がないと判断されてしまうと認められないのです。
特に生活がギリギリの人は、任意整理や個人再生が難しいこともあるでしょう。
(2)スタッフに未払いの給料は減額・免除されない
もし雇用スタッフに対する未払いの給料がある場合、債務整理をしてもそれらは減額・免除されません。
個人事業主が従業員へ支払う給料は、債務整理で減額・免除されない「非免責債権」だからです。
非免責債権には、他にも次のようなものがあります。
- 年金
- 租税公課
- 養育費
- 慰謝料
- 罰金等
上記のような支払いは、債務整理しても支払い義務がなくならないので注意が必要です。
(3)継続契約はやや複雑な処理になる
スポーツ選手が個人再生や自己破産を行うとき、トレーニングのジムやコーチに対して未払いがあると、少し複雑な処理が必要になります。
まとめると次のとおりです。
- 過去の未払い分は再生債権・破産債権となる
- 将来の支払い分は共益債権・財団債権となる
簡単にいうと、トレーニングジムやコーチに対して過去の未払い分があれば債務整理の対象となりますが、将来の分は満額支払う必要があります。
競技生活において、サポートスタッフは欠かせない存在のはず。
契約解除にならないためにも、個人再生・自己破産をする場合は早めに弁護士に相談しておきましょう。
スポーツ選手が自己破産するときの財産について
スポーツ選手が自己破産するとき、財産に関しては次のような扱いを受けます。
- メダルやトロフィーは売却すると差し押さえられる
- 競技に必要な道具も差し押さえられない
任意整理・個人再生の場合は財産の差し押さえがないため、上記は関係ありません。
自己破産を選択する人は、必ず確認しておきましょう。
メダルやトロフィーは売却すると差し押さえられる
競技で獲得したメダルやトロフィーは、差し押さえの対象外です。
メダルやトロフィーは民事法131条に定める、差し押さえ禁止財産に該当します。
債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
引用:民事執行法第131条
ただし、メダルやトロフィーを売却するなどして現金化した場合、差し押さえの対象になる可能性があります。
競技に必要な道具も差し押さえられない
競技に必要な道具類も差し押さえの対象外です。
競技用具は民事法131条に定める、差し押さえ禁止財産に該当します。
技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
引用:民事執行法第131条
例えば、プロゴルファーならゴルフクラブやパターなどは競技に必要です。
自己破産しても、競技用具が差し押さえられることによって仕事を続けられなくなる、といった心配は要りません。
まとめ
スポーツ選手が借金を解決する方法は、自己破産だけではありません。
まず、債務整理には主に以下の3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
債務整理は収入や借金額に合わせ、適切な方法を選ぶことが大切です。
法律の知識がないと適切な判断をすることは難しいため、弁護士・司法書士に相談してみると良いでしょう。
借金問題は、放置すればするほど状況が悪化します。
抱えきれない借金を抱えているなら、今すぐ法律相談事務所へ相談して、借金解決に向けて動き出しましょう。